トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
本編とは関係ない話。
伊藤 開司(いとう かいじ)
元アルバイト仲間の古畑の保証人となり、借金返済のため
エスポワールシチーの部屋。
「……!?」
ベッドで寝ていたエスポワールシチーが眠たそうにパチリと目を開ける。
「……なんだってーの」
つい先ほどまで見ていた奇妙な夢にエスポワールシチーは文句を言いながら身支度を始めた。
数時間後。
「どうした、エスポ?」
トレーニングの時間になり、ジャージに着替えたエスポワールシチーは自身のトレーナー(エスポトレ)に尋ねられた。
「別に……」
プイッとそっぽを向くエスポワールシチーにエスポトレが優しく尋ねる。
「エスポ、何かあったんだろ? 言ってみろ」
「……いや、なんでもねぇし!」
ジ~と微笑みながら自分を見つめるエスポトレにぶっきらぼうに答えるエスポワールシチー。しかし変わらず微笑みながら見つめるエスポトレに根負けして「……誰にも言うんじゃねぇぞ!」と釘を刺してから昨晩見た夢を語りだす。
「実はさぁ、昨日変な夢見てさ。なんかどこかの港にいたわけよ。そしたら目の前に明かりが
「ふむふむ、それで?」
「で、中はかなり広くて内装も豪華。二階には展望スペースがあるわけよ。あとあーしよりも先に乗り込んでいた人でいっぱいだった。で、よくわからないんだけど星3つとグー、チョキ、パーが書かれたカードを4枚ずつ渡されたっけ? あとお金を貸しつけられた……詳細は忘れたけど、すごい暴利だった。それでジャンケンしろって変なおっさんに説明された」
「……」
何か思い当たる節があったのか、エスポトレの顔色が複雑な表情になる。それに気づかずエスポワールシチーは続ける。
「で、『なんじゃそりゃ!?』ってなるじゃん? だから周りの人と同じように抗議したわけよ。そしたらおっさんなんて言ったと思う?」
「……何て言ったんだ?」
『
尋ねたエスポトレに、エスポワールシチーは男が見せた全てを切り捨てるような表情で答えると再びいつもの反抗期全開のギャル口調で話し出す。
「そんで後は『大人は質問に答えたりしない。それが基本だ』とか『世間はお前らの母親ではないっ……!』とか『金は命より重い……!』とか『勝たなきゃゴミ……』とか言っていた。あと
「……」
「そのおっさんの演説で感化して泣く人もいたのよ。そんでもってよくわかんないけど誰かと手を組んだりジャンケンのカードを買い占めたりして……でよく覚えてないんだけど全裸にされた後、薄暗くてコンクリートむき出しで一面だけがガラス張りの中が丸見え状態の部屋に連行されてさ。その部屋にいた男が持っていた宝石を何かの際に
「……」
「いやぁ、夢とはいえ薄気味悪いクルーズだったよ。で、トレーナー。夢って夢占いとか何かを暗示したりとかあるわけじゃん? この夢ってあーしに何が言いたかったんだと思う? ……って!?」
肩をがっしりと掴まれた上に真剣な目で自身を見るエスポトレに、エスポワールシチーは意味が分からず固まってしまう。
「エスポ、ぜっっっっっったいに連帯保証人になるな!! あとギャンブルは絶対にやったらダメだ!!」
「……え? ……は? ……何?」
突然の『連帯保証人』と『ギャンブルは絶対にやったらダメだ!!』という予想外の言葉にエスポワールシチーは動揺する。そんな彼女にエスポトレはカッ! と目を見開き強要する。
「返事は!?」
「へっ?」
「連帯保証人になってギャンブルをするのか? しないのか? どっちなんだ!?」
「し、しない! しません!!」
エスポトレの迫力に負け、素直に返事をするエスポワールシチー。
「よし!」
望んだ答えを聞けたエスポトレはエスポワールシチーの肩を握っていた手を放した。
「じゃあ、トレーニングを始めようか!」
先ほどまでの強烈な圧を与えた顔から一変、不安が解消されたかのような晴れ晴れとした表情に不気味さを覚えたエスポワールシチーは
「……わ、わかりました……」
と、いつもの反抗的な態度が嘘のように素直な返事で返した。