トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
ミホノブルボンのトレーナー(以下ブルボントレ)の部屋。
「マスター。ゴールドシップさんは宇宙人なのでしょうか?」
突然のミホノブルボンの疑問にブルボントレは意図が分からず固まった。
(確かにゴールドシップの言動は宇宙人と言っていいほど理解できないが……)
おそらくそう言った意味で尋ねた訳ではないと悟ったブルボントレは尋ねる。
「……えっと。どういった理由でゴールドシップが宇宙人だという疑念を持つようになったんだ?」
「はい、実は──」
そう言ってミホノブルボンは昨日のことを話し始めた。
昨日 食堂。
「今日の日替わり定食はコロッケ定食。キツネ色のカラッと揚がった衣から匂い食欲がそそられ『歓喜』を感知」
トレイに乗ったコロッケを見ながら嬉しそうに微笑むミホノブルボンは席に座ろうと空いている場所を探す。その時だった。
「あー、あー、あー……」
声のした方角にミホノブルボンが視線を向ける。そこには扇風機の風を真正面から受けるゴールドシップの姿があった。そして
「ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ!!」
と手のひらで喉を叩きながら扇風機に向かって話していた。
誰もが「ゴールドシップがまたバカなことをしている」と呆れる中、ミホノブルボンはコロッケが冷めるまでその場で思考停止させていた。
「…………」
ミホノブルボンが何故ゴールドシップが宇宙人だと思うようになったのかという話を聞き、ブルボントレはどこから説明したらいいのか分からず途方に暮れた。
そんな様子に気づかず、ミホノブルボンが自分の考えを述べる。
「ゴールドシップさんは『ワ・レ・ワ・レ・ハ』と言っていました。『我々』とは一人称『我』の複数形の人代名詞。つまりゴールドシップさんの他に宇宙人がいるということ……!」
ある結論にたどり着いたのか、ミホノブルボンがハッ! とする。
「ゴールドシップさんが言っていた我々が差す言葉。それはウマ娘ということではないでしょうか? つまりウマ娘は宇宙人。ウマ娘は宇宙人なのだから当然私も宇宙人ということになります。
しかし私の両親は地球育ち。宇宙の中に地球があるので広義的に言えば私は宇宙人ということができますが厳密に言えば地球人であって宇宙人ではない。
私の母が宇宙人ということになればその血を引き継ぐ私は宇宙人ということになるかもしれませんが、一度も宇宙に出たことのない私は宇宙人と言えるのでしょうか?
どうか私に明確な回答をお願いします、マスター」
真っすぐな瞳で自身を見るミホノブルボンに、ブルボントレは思った。
(マジでどこから説明したらいいんだ!?)