トレセン学園の謎〜ウマ娘達が消費する食料は何処から来ているのか?〜 作:筆先文十郎
理事長室。
理事長の
「……ギムトレ。今回の呼び出し、わかっているのな?」
「……は、はい」
やよいの重い口調にギムトレは何とか言葉を紡ぐ。やよいの言葉を引き継ぐように、たづなが「ギムトレさん……」と一枚の紙をギムトレに手渡す。
「な……!?」
その紙を見たギムトレがギョッとする。そこには今までタニノギムレットが壊した木柵の費用が記載されていた。
「ギムトレさん。貴方の気持ちはわかります。そしてタニノギムレットさんが壊した柵を自分で直すことで修繕費の節約をされているのも……しかしタニノギムレットさんが直すにしてもお金がかかりますし、何度も破壊すればいくら直すといっても廃材になってしまう柵もバカには出来ません……そしてその廃材を処分するお金も」
「……はい、おっしゃる通りです」
たづなの指摘にギムトレは視線を地面に向けることしか出来ない。
「なのでギムトレさん。貴方にはこれ以上の出費が出ないようにお願いします」
「これ以上は私たちでもかばうことは出来ないし他の生徒にも示しがつかない」
「はい、重々承知しています。それでは失礼します……」
そう言ってギムトレは二人に頭を下げると理事長室を後にした。
一時間後。
「ん?」
タニノギムレットが廊下を歩いていると目の前からギムトレが歩いていた。肩を落とし暗い表情で自室へと向かうギムトレにタニノギムレットは話しかける。
「どうした、トレーナー? そんな
「あ、あぁ……迷宮、なのかもな……」
それ以上何も言わないギムトレにタニノギムレットはどんな困難も笑って吹き飛ばすような自信満々な笑みを浮かべる。
「トレーナー。私とアンタは
悩み事があるなら包み隠さず言って欲しい。その優しさにギムトレの顔にわずかながら笑みがこぼれた。
「わかった、じつは──」
先ほどあった理事長室でのやり取りを黙って聞くタニノギムレット。話が終わると額を抑えて「ハァ~」と重い溜息を吐く。
「すまない、私が求める
「い、いや頭を上げてくれギムレット!」
ギムトレの言葉にタニノギムレットは頭を上げる。そして何かを思いついたのか、腕を組んで考えを整理する。
「トレーナー。私に一つ考えがある」
「考え?」
「そう。
一ヶ月後。
「「…………」」
言葉を失うやよいとたづなの視線の先……理事長室の机には大量の札束が山のように積まれていた。
タニノギムレットの策。それはタニノギムレットが作った廃材をギムトレがどう加工するかをデザインし、それを元にタニノギムレットが加工するというものだった。
バイクに
ギムトレは必要経費を除いた売上額を中央トレセン学園に寄付。こうしてタニノギムレットの木柵破壊問題は一時保留となった。
積まれた札束の山を見ながら、秋川やよいは呟いた。
「違う……問題の根底は『柵を破壊するな』であって……お金を稼げではないんだ……」