転生したら女の子だった 作:カヤをいじり隊
「ふぅ、色々と突発的になりましたが先生の移動手段を確保出来たことを喜びますか。これであとは現物を用意して派遣する生徒の選定を…」
「まぁ少しくらい役得があっても許されますよね」
シャーレへの予算やヘリについてリンちゃんたちと話し合いをした帰り道。
プルルル…
「おや、電話…っと」
「非通知ですか、こちらはプライベート用なのですが…」
この番号を知る人は少ないハズ…
調整作業の疲れもあり通話ボタンを押すのがすこし遅れた…筈だった。
(ーーッ。あー、カヤさん聞こえてるぅ?)
なんか勝手に通話が始まったのですが…?
って、この声は…ッ
(カヤちゃんやっほー!今度シャーレに乗り物贈るって聞いてね)
「なるほど、ヴェリタスの皆さんでしたか…」
「耳が早いですね、その通りです先生の長距離移動手段に多目的のヘリを贈ろうとしていた所ですよ」
早いってもんじゃないですがヴェリタスであるなら、まぁ…
(聴いていました、私たちも何か手伝えることはありませんか?)
「(…聞いていました?)あぁ、ヴェリタスにはシステムのプログラムを頼もうかと…」
(でもそれじゃあ渡したらすぐに終わっちゃうよね)
「え、えぇ…なので運転等については優先権をと」
(…ご褒美券(ボソッ))
「・・・・」
「最近の先生ずっと忙しいよね。いつでもシャーレに来てい良いって言われてるけど、遊びに来てる子も多いし」
「前はずっと先生の声だけ聞けてたのに…」
「わ、分かりました!シャーレ提携に合わせて不知火グループはシステム部門を立ち上げます!」
「その為に外部の専門の方を招きたいのですね!えぇ!どこかに確かな腕があり、信頼がおけて、すぐに動ける方が居ればなー!(ヤケクソ)」
(ん―、ありがとう)
満足してくれたようですね。まぁいつも使ってる労力に比べればマシなので良いのですけどね!!
「…ですがあまり露骨に優遇していると不味いので…他の部や学園にも役割は分担させて貰いますよ?」
(しょうがないなー!でもいいよ最近は先生とあまり話せてなかったし。何より先生と一緒にお仕事出来るのがいいよねっ)
「でしたら良かったです」
他所との釣り合いを不自然にならないように色々交渉しておかなければ…
先生が関わる事柄への影響力は未知数なので胃が痛いです。
(悪いね、カヤ。うちの子たちが張り切り過ぎてヤらかさないか見張っとくから)
「…お願いします」
(じゃ、コタマは暫く謹慎しとくこと。……どうして?)
そんな会話を最後に電話は切れました。
「ふぅ、では部署設立の書類と外部委託の申請書でも作りますかね」
ふふふっ、何故かシステム部門を立ち上げることになりましたけど問題はありません!
このように少ないとはいえ先生の時間を都合出来るというのは使いようによって交渉の強いカードになると証明できたのでプラマイゼロ!
これからの事を考えるとプラスの方が多いに違いないですからねッ!
先生も気にされるでしょうから直接クレジットなどは頂きませんが…多少の配慮くらいは頂いても構いませんよね?
ミレニアムに話は通した(通されていた)のであとはトリニティとゲヘナに話を付けてから他学園から美味しい話をば…コホン!お話をさせて頂きましょうか。
ゲヘナはヒナさんとマコトさんに話を通せば良いので楽です。
それしか窓口知らないだけでもあるのですが…あの2人なら何とかしてくれるでしょう。
ということで私は今トリニティを訪れています。
元から予定していたナギサさんとの会談。その手土産に今回の件はちょうど良いですし、他と比べたらトリニティは比較的落ち着いて…まぁ一時期に比べれば落ち着いてるのでセーフ
しかし場所柄お得意様も多いので気を引き締めて行かないといけません。
エデン条約のごたごたの際は帰省した感じしなかったので会談まで久々にゆっくり出来そう。
しばらく校内をうろついていると…
「あっ、カヤさん!」
馴染みのある声がしましたね。気のせいでしょうか胃の調子が…
「…サクラコさん、お久しぶりですね」
「お久しぶりです、今日は商談ですか?」
「はい、今日はナギサさんとの会談があってきました」
礼拝堂の近くを通ったからか、笑顔が素敵なサクラコさんと出逢ってしまいました。
ウキウキと声を弾ませるサクラコさんと一緒に花壇を巡っていく。
「ナギサさんと会談…お時間はよろしいのですか?」
「えぇ、まだ時間はありますので少し校内を散策しておりました」
「カヤさんが転校されてからだいぶ経ちますからね。うぅ…思えばアレから私への誤解が増えた気が致しますぅ…」
それまで楽し気だったサクラコさんの表情が落ち込んでいる。
流石に過剰表現過ぎませんかね?サクラコさんが誤解されるのは事実ですが、シスターフッドの部員からは人気ありますし。
「サクラコさんの立場上ある程度は仕方ないことですからね」
目に涙を浮かべているサクラコさんを眺めながらそう思う事しばし…良いことを思いついたとパンと手を合わせたサクラコさんが提案してきた。
「カヤさん、久々に私とお茶しませんか?シスターフッドのみんなで育てた茶葉があるんですよ」
自信作なんですとニコニコで誘ってくれるのはいいのですが…あの、距離近くないです?
「いえお気持ちは嬉しいのですが私はこれかr…」
「例の話もありますしね。ダメ、でしょうか?」
縋りつく勢いで誘ってくるサクラコさん。
ぐぬぬ…あの話の顛末は聞いておかねば後に差し障りかねます。発起人の一人でもあるサクラコさんなら詳しいことも知ってるでしょうし
が、サクラコさんとのお茶会ですか。
やだなぁ、思えば私が一番サクラコさんと仲が良かったのって一番最初のお茶会だったかもしれません。なんというかサクラコさんは良い人なのですけど、知れば知るほど距離を取りたくなるというか…
いえ、私が秘密を抱えすぎているって面もあるんですけどねっ!
結局サクラコさんの勢いに押されて私は教会へと連行されていきました。
いえ、結局アレもコレもそれも私の邪推に過ぎなかったのです。
サクラコさんは腹芸もできるちょっと権力を持ってるトリニティの一生徒!寧ろ派閥の長としては純粋で優しすぎるところのある良識人!!
なのでサクラコさんとお茶会しても何も問題は起きない!…はず、なのですよ?
「最近もご活躍されたと聞きましたよ。流石ですね*1」
「ありがとうございます(どれのことでしょう。普通に不知火グループの業績の話でしょうか?最近だと温泉関係のこともありますが?ふふっ、まさか先日成立した先生との交渉のことやとカイザーとの事は知るはずないでしょうから!)」
「そうです。最近シスターフッドではアリウス自治区の方へ物資を届けるためにヘリを活用するようになったんですよ」
「…っ、そうなのですか。陸路での自治区との行き来に問題が多いと言ってましたからね!(先生との契約を知っての牽制…いや考えすぎですよね)」
「はいそうなのです。空路で資材を運べるようになって漸く校舎の再建の目処が…あっ、あの件はカヤさんに頼んで正解でした。そちらでも仲良くされている様ですし…私も時間が取れたらカヤさんのところに遊びに行きたいですね*2」
「っ!い、今は時期が悪くてですね。すみません、とても友達を招待出来る状態ではなくて…」
前にサクラコさんたちに依頼された仕事を振り返った。
(彼女たちのことですよね?私の家に…まさかあの事がバレて…)
(いやでも彼女たちから情報を貰っているとしたら…)
(私の内情は既に把握していてもあり得ないことでは、ない?)
考えている私にサクラコさんはニコリと微笑んだ。
「はい、分かっておりますよ。今は時期が悪いのですよね*3」
「…はい、そうです」
何故でしょう、凄いここから逃げたいです。
「あとは、そうでした。是非カヤさんに相談したいことがありまして。…先ほども申しましたが今私たちはアリウス自治区の調査・支援を行っているのですが…そこで残されていたオーパーツが少し問題*4となっておりまして」
「ごふっ!ん、んー。そ、それでオーパーツがどうしたのです」
「?えぇ突然の環境の変化にまだ落ち着かないアリウス生徒たちが…」
Pruuu…ガチャ!
「もしもし、…エェーソンナコトガー。すみませんサクラコさん早急に対応しないといけない案件が出来まして!」
「お話の途中で申し訳ありませんが!お詫びと言ってはなんですがこちらをお受け取りくださいっ!」
持ってきていたそれをサクラコさんに手渡す。
「えっと…こちらは?」
「詳しいことはそちらに書いておりますので!」
「あっ、カヤさ…」
「あとこのことはどうかご内密にお願いしますっ!」
後ろから声がしましたが、こっそりセットしていたスマホを手に礼拝堂から駆け出した。
逃げた先はよく使っていた隠れ場です。
生徒が訪れることがまずなく、トリニティの重要施設へのアクセスにちょうどいい立地になっています。
…アシュリーさんたちしっかり整備してくれてるんですね。
そんな場で一息ついてこれからの予定を振り返る。
「…で、ナギサさんへの手土産どうしましょうか?まさかトリニティにあるものを持っていく訳にもいきませんし」
会談まであと1時間、これからティーパーティのホストに渡せるようなものを調達しろと?
ちょっと無理ゲーですね。しかし一商会の長としてトリニティのホストとの会談に大したモノを用意しないという訳にもいきません。
…今までのクソゲーに比べればこの程度なんとやらです。
えぇい、私は不知火カヤ!
キヴォトス屈指の事業を立ち上げ、今やキヴォトスの経済に存在感を持つ、大商会の主なのですよ!
この程度の難題くらい解決してみせましょうとも!!
「というよりもナギサさん…貴女それで良かったのですか?」
ナギサさんとの会談終わりの帰り道…色々と疲れたトリニティへの帰省でした。
「厄を落としましょう!最近ついてないですし、あり得ないとは思いますが私の端末が盗聴されている可能性も出てきましたので!」
ということで商会で使うの携帯の納入に合わせて新しいプライベート携帯の契約をしてしまいます。取って来たカタログを見ながら性能などに目を通した。
「とりあえず耐久性があって不正アクセスされてたらすぐに分かるものを…」
新しい携帯と電話番号を手に入れて一息つく。
「そうですね、親しい方へ番号の変更を知らせねばないと…」
とはいえ前使っていた携帯もまだ使うので急がなくても良いのですが。
Pruuuu…おっと電話です
「はい、不知火です」
電話に出てから気づいたんですけど
「依頼です…あの腐ったボラの浮かぶ淀んだ濁水と調査して来てください」
「えっと、ヒマリさん?」
「端末に情報を送りました」
有無を言わせぬ冷淡な声とともに通話をきられました。
「えぇ…」
ツーツー耳元から機械音が響いている。
えっとヒマリさん凄い怒ってましたけど何したんですかリオ…?
…触らぬ神に祟りなし。送られたデータを確認、10分ほど経ってから事情を知っていそうなエイミさんへ電話します。
「もしもし、室長?」
「もう室長ではないのですが…。それでエイミさんにお聞きしたいことが」
「ヒマリ部長の件でしょ?」
「はい、そうです。どうしてあんなに怒っているのですか…?」
「というかこの文明のぶの文字すら無さそうなジャングルに一体何があるというのです?」
送られてきた地図を確認したところ、キヴォトスの中心から遠く離れた大森林が調査地だと分かりました。上空からの俯瞰図くらいしかまともな情報がなく、明らかに前人未踏のアマゾンの調査なんてやりたくないです。
…絶対熱いし野生動物が怖すぎます。こんなところに何があるというのですか。
「えっと少し前に会長が来てね、部長にハッキングで勝負を挑んできたの。会長も人から影響受けるんだね、友情イベントとかなんだか言ってたよ」
「はぁ、アレですか。私もアヴァンギャルドくんに追いかけ回させられましたよ…」
「ドンマイ室長。で、部長が訝しみながらもその勝負受けたんだよね」
温泉の時にで感化されたのかリオさんがヒマリさんに勝負を挑んだと。まぁ今のリオさんならやってもおかしくないですね
「ですがいくらリオさんといえども、ヒマリさん相手にハッキング勝負は勝ち目がないのでは?」
「うん、私もそう思ってた、でも…いやその時の記録みた方が早いかな」
「お願いします」
エイミさんから送られてきた映像を開いた。
特異現象捜査部の部室が映った。いつも通り多くのモニターが各地の映像を映していて異常がないかチェックしている。ヒマリさんとエイミさんがいました、休憩中でしょうか話していますね。そこに…
「邪魔するわ」
ノックと共に特異現象捜査部に珍しい客人が訪れた。ヒマリが部長を兼任してるヴェリタスやアリスがクエストと称したお使いで訪れる以外ではほとんど人が来ることがない特異現象捜査部。ましてやそこの部長であるヒマリから敵視(?)されているリオさんが直接訪れることはほとんどないと言ってもいい。
ヒマリの端正な顔がゆがみ、ため息を吐いた。
「邪魔だと分かっているのでしたらそのまま帰ったたらどうですか、リオ?」
「帰らないわ。無為にあなたの時間を貰うのは心苦しいとは思うのだけど…」
珍しく歯切れの悪そうなリオの様子に、リオのことを蛇蝎の如く嫌っているヒマリも興味が沸いた
「はぁ、それでなんの用なのですか?セミナーからの連絡ですか?それとも
「私が現在確認している危険因子は全てあなたに共有してあるわ。セミナーも落ち着いているから特に特異現象捜査部に対して伝えることはないわね」
「はぁ、でしたらなぜここに来たのです?」
あてが外されて少し戸惑った声でリオに問いかけるヒマリ、さっきまで一緒に話していたエイミは既に二人から離れてクーラ―の前に陣取っていた。
「ヒマリ…貴女と交流を深めに来たの」
「……今、なんと…?」
リオの口から出たと思えない言葉に思わずヒマリが聞き返した。
「あなたと交流を深めに来たのよ。あの子風に言うなら友情イベント発生ですといったところかしら」
「…エイミ。エアコンの温度を下げてくれませんか?お昼を食べたばかりでしょうか、微睡んで白昼夢を見てしまったようです」
「分かった」
「私おかしなことを言ったかしら?」
頭に手を当ててこいつ
「…はぁ、そんな理由で私にハッキングでの勝負を挑みに来たと…正気ですか?」
「その通りよ。あなたと交流を深めるならそれが一番でしょう?」
「最近アリスが『テッテレー!隠しキャラとレアクエストを達成しました!』と言っていたので
良い傾向なのでしょうか?まるで自分の提案が断られることを想定せずに持ってきていた機材をセットしているリオを見ながら思う。いえこの人でナシにそんな情緒が育つわけありませんね。しかしハッキング勝負でしたら私に分があります
既にリオが組んでいるプログラムに私がハッキングを仕掛け、それをリオが防衛して制限時間以内にクリア出来れば私の勝利と…舐められたものですね。確かにリオのハッキング技術はヴェリタスの子達に匹敵はしますが…逆に言えばその程度、持ち込んでいる特殊な機器を使ってその精度を高めていようが私が勝ちます。
ふふっ、この女に私との実力差を見せつけるというのも良いですね
「分かりました。その勝負お受けしましょう」
「えぇ、そう言ってくれると思ったわ」
心なしかリオが嬉しそうに笑う。今に見ていなさい、この勝負が終わる時にはその傲慢を砕いてあげますので
やる気満々のヒマリがリオを見据える。それを見たリオはやる気になってくれて嬉しいわとどこか穏やかな雰囲気のままだった
「じゃあ、私が審判するよ今から3時間以内に突破できれば部長の勝ち、できなければ会長の勝ちってことで…じゃ、スタート」
気の抜ける掛け声とともにハッキングを始める。要所要所でくるリオからの妨害を搔い潜りながらリオ謹製のシステムを把握していく。…それはそうとこの部屋冷房効きすぎじゃないですか、エイミ?
暫く経ちお互いの攻防がひと段落する
「流石ヒマリね」
その頬に汗を流しながらリオが呟く。あれから一時間が経った。その結果リオのプログラムを守っている3重障壁のうち二つが解除され、残されたのは最後の牙城となる最終防壁とその中にあるプロテクトだけ
「えぇ、褒めてあげますよリオ。私にハッキングで勝負を挑もうとすることはあります。防衛プログラムに関してはヴェリタスの子たちより優れていますよ」
私もいつものような余裕はないです。リオの攻撃防壁を交わしながら攻略しているのです、頭を使いすぎて少しボーっとなってしまってます。エイミの設定した室温が心地よく感じるほどに全力でお相手しているのですから
しかしあと一つ。リオの性格上ここの防壁は前二つのモノと比にならないくらい堅牢なのでしょうが…時間はまだ残っています1時間以内に終わらせてみせましょう!
そう意気込んでいると…リオが立ちあがってストッキングを脱ぎ始めましたね。……えっ、どうして?思わず手を止めてしまいました
「はぁ?何をしているのですか?」
「?あぁ、ヒマリに対して失礼だと思ったのよ」
私の質問に答えながらも素足になったリオは持ってきていたキーボードを自分の使っている機器へと接続し始めましたね。はいっ?
「逆に聞くのですが…あなたが失礼でなかった時がありましたか?」
これは純粋な疑問です。あのいつもの傍若無人ぷりをこの女はどう思っているのか興味がります。
「礼儀やマナーは習得しているわ」
不思議そうに首を傾けるリオ…。はあぁこの女に期待した私がバカでしたね
「これだから
もう話すことはないですハッキングに集中しましょう。それを見たリオがポツリと
「いえ、それは叶わないわ」
「はい?いえ好きに言っていてください。あと一時間もあれば…いや30分で終わらせてしますので」
「あの子が言っていたのよね。
「はっ?何を言って…」
思わず顔を上げてしまったヒマリは見た。見たこともない笑みを浮かべたリオがその手に加えて足でもキーボードを打ち始めたところを
「なっ⁉」
「そもそも前提からしておかしかったのよ。ヒマリは
「えっ?…って、いや待ってください!足の分含めたとしてもこの速度、2倍どころじゃないですよね⁉」
「えぇ計算法を変えてみたの、古代の計算法でね。やってることは発想の転換なのだけどこれが凄く計算効率が上がってこれで計算すると2割くらい時間と手間が減らせるの」
「そんあ計算式があるのですか…!?って本当に早い、っ!」
「そうでしょう。ふふっ、この計算法をセミナーで披露したらユウカ三日でマスターしてきたのよ。セミナーの業務もあるのに…凄い向上心だわ。流石次期セミナーの会長ね」
「…でもノアとコユキから凄い目で見られたのよね、どうしてかしら」
普段は見せない嬉しそうな顔で後輩を自慢しているリオ。その言葉を返す余裕がないヒマリに代わってエイミがユウカに黙祷を捧げた。
「話が弾んでしまったわ。なんの話だったかしら、そうそうだからヒマリ…あなたも全力を出してちょうだい。ミレニアムが誇る全知…貴女の実力はこんなものではないでしょう?」
「・・・」
こ い つ ぅ ~ ッ!!
変なとこで疎いリオからのまなざし。その目は今まさに湯気を立ち上らせてハッキングしているヒマリが全く本気でないのだと確信していた
っ…ぁぁああ”~~!
ふざけないでくださいこの下水女ッ!…負けたくない!こいつだけには絶っ対にぃぃ!!
怒りとともにヒマリのハッキング速度が上がる。
「流石ねヒマリ!さっきまでとは大違い…ッ!私も全力でその胸を貸してもらうわ」
「また暑くなってきた…温度下げよ」
そこから先の光景は燦燦たるものでした。リオもヒマリさんも指が何十本もある間のような早打ち、時たま跳ね上がるリオの対ハッキングにヒマリさんが血反吐を吐きながらも対応していき…
2時間と58分過ぎに響き渡ったヒマリの絶叫とともにヒマリがリオのプログラムを掌握した。そのまま机に突っ伏して動かなくなったヒマリにリオが声をかけた。
「ふぅ、完敗よ。これを作るのに一週間かけたのだけれどね。流石ヒマリ、ね」
「・・・・」
「ヒマリ、っ!凄い熱だわ…。こんな体調が悪い中で私の相手をしてくれたのね…」
ヒマリの様子を確認したリオがヒマリの異常に気付く
Pruuu…
要救助者が居るのだけど、そう至急お願いするわ」
「えぇ、そうよね。ミレニアムが誇る天才ハッカー明星ヒマリがこの程度な訳ないものね。」
救助を呼び、ぽつりとつぶやいたリオ。エイミは熱暴走しているヒマリを団扇で扇いでいた。
「」
「エイミ、ヒマリをお願い。救助は呼んでおいたからヒマリは私が居ない方が落ち着くでしょうしこれで失礼するわね。ヒマリにお礼を言っておいてくれる?」
「分かった」
それを聞いて安心して部室からリオは出ていった
背を向けたリオには分からなったが出ていく寸前にヒマリが口を動かしていた
「ゆ…し……ん」
「部長?」
その眼にはとても病人とは思えない執念が籠っていた
「・・・・」
「・・・・」
映像が終わった。私もエイミさんも何も言いません。
…これ見なかったことに出来ませんかね?できない…?知ってた()
現状確認をしておかねば、恐る恐るエイミさんに尋ねる。
「今ヒマリさんはなにを?」
「部長はヴェリタス呼んでまとめて相手してるよ。あとチヒロしか残ってないけど」
「そう、ですか」
天を仰ぐ…空気が済んでて星がきれいだった。ヨシッ!
「すぐにリオを連れてここを発ちます!なので暫く私に連絡は出来ないとヒマリさんにお伝えくださいッ!」
マズいっ、憂さ晴らしがてらヒマリさんに会社の株をぐちゃぐちゃにされる前に逃げなければ!
いくらヒマリさんとはいえ私さえ居なければ他の子に迷惑が掛かるだけなので自制してくれ…ると思うたぶん。
リオと連絡を取り、ついでに家にいるごく潰しを連れ出して飛行機を手配する。
Purrr…
携帯が鳴る。ヒマリさんですか⁉
いや普通に前使っていた携帯からですね…。
「はい、不知火です。すみませんが火急の用ありまして…」
「…あぁやはり私なんて」
あぁ~‼リテイク!リテイクをお願いします!!
ナグサさんだった~ッ!?
通話先からはダウナーですこし冷淡な声が、落ち込んでるときのものですね…
ですが、どうしましょう、あそこに放り込みますか?でも今あっちを刺激すると不味い…か?
もういい先生に丸投げしてやります!
ぽつぽつと弱音をこぼすナグサさんを慰めながらこの件を先生に放り投げる道筋を整えていく。
「あなたの話を聞いていたいのはやまやまなのですが、私これから1~2週間ほど遠くに行くことになりまして…」
電話の向こうから絶句する気配がしますね。
「どうでしょう?気分転換にこちらまで来て先生に話を聞いてもらうというのは?私の家空きましたし、こちらで滞在していただいてDUを巡ってみてはいかがですか普段と違う場所ならあなたも演じる必要はないですからね」
「分かった」
あぁ、キキョウさんからの小言が確定しました。返事を聞いてナグサさんがこちらに来てもいいように手配して…
先生頼みましたよ!帰ってくる頃にはナグサさんのメンタルをなんとかしておいてください!!
ほんとにこれ以上の胃痛案件は勘弁なのですよっ!
仕事はこちらが受け持ちますのでっ!
そうして私は未開のジャングルへと旅立った。
次はトリニティでの政治の話。
あと10話もすれば中学生編は終わる、はず