転生したら女の子だった 作:カヤをいじり隊
あとブルアカのイベ読みまくったせいか地の文が消えて会話劇になってる修正していかないと((+_+))
コツ コツ コツ
複数の足音が聞こえる。
暫くしてお付きの子が扉を開き、きらびやかなオーラを纏う一行を招き入れた。
「ごきげんよう不知火さま。…見知らぬ道でしたので
出来立てほやほやの応接室に淑やかな声が響き、私は立ち上がって彼女たちを向かい入れた。
「ごきげんよう天座さま。いえいえ、此方まで貴女に
「そうでしたか、不知火さまの
「はい、
「流石不知火さまですわね、それを聞いてとても安心しました*5」
向かいの席に天座さんが腰掛け、まるでこの部屋の主であるかの様に振舞っています。
ほら天座さんの後ろに控えてる派閥の子たちも私の派閥の子たちも笑いあっていて、絵に描いたようなトリニティのお嬢様の心温まる交流ですね。
しかし秘密の地下通路まで使って天座さんを招いたのは勿論、こんな嫌みを言いあう為ではありません。なのでお互いの派閥にとって建設的なお話といきましょう。
「お茶が冷めてしまいましたね、新しいモノを用意させましょう」
直ぐに給仕が洗練された所作で紅茶を淹れる。
悪くなった部屋の雰囲気を押しのけて、ポットの中で舞い踊った茶葉が部屋いっぱいに良い香りを広げた。
天座さんも高級品には慣れているでしょうが、今この場にあるのは不知火家が品質を保証し開発している茶葉ばかり…必ず天座さんのお気に召すものが2つや3つ見つかるはずです。
現に彼女は給仕にお湯を注がれたティーポットの一つを興味深げに見つめております。
まだほとんど香りがしていないはずなのですが?本当にトリニティのお嬢様、とりわけ上級令嬢の紅茶に対する嗅覚はなんなんでしょうね…警察犬かよ
天座さんとのやり取りをしながらそんなことを思った。
…しかしこの程度の皮肉の応酬で顔に出してしまってる子たちは大丈夫でしょうか。
この程度のくだらない皮肉の応酬、トリニティじゃ挨拶にもなりませんよ?
最初の険悪なムードは既になく、天座さんは楽し気に机に並べられた紅茶を品評している。
「ふむ、この紅茶…。嗅いだことのない不思議な香り…味も悪くないですわ」
「そちらの紅茶は圧力を掛けカフェインを抜いたものになりますね。ノンカフェインのものが気に入ったのでしたら、こちらのポットを用いて淹れることでカフェインレスの様々な紅茶を作れますよ」
「そのようなものがあったのですか… これは普段使ってるものより二回りほど大きいですが調度品として不自然というほどではありませんわね」
はい、本日お招きした方は天座ジュキさん。
薄緑がかった長い金髪のトリニティの中でも高い家の格と政治力を持つ方です。今のナギサさんが経験を積んで正当進化したようなものと言えば分かりますかね。
このトリニティ付属中学の
入学から2月も経たない間にセイアさんから第一派閥を奪われた敗北者とも言えますが…あれは事故みたいなものですからね
ティーポットの話に華が咲く。
「はい、しかしこれでも小型化してあるのですよ。最初に作らせた試作品はケーキスタンドくらいの大きさでしてね、持ち運びに手間取ることも多かったですよ」
「それは…普段使いには向いておりませんね。しかしこのポットでしたら普段のお茶会でも調和を乱すことなく使用できそうですわ」
新しいポットのお陰でスムーズに商談までいけました。
…約束の時間から一時間以上遅れてお越しくださったのには思うところもありますが、私も一年生ながら大概好き勝手に動いてますからね。
それにジュキさんからしてみると下級生、それも歴史ある貴族視点では金で爵位を買った新参者から自分も知らない道を使って来いと呼び出されたのです。
先ほどの挨拶までの完璧なポーカーフェイスの下ではどんな激情が荒れ狂っているのか知れたことでもありませんでしたし。
「興味がお有りでしたら幾つか差し上げますよ。中の茶葉に圧力を加え淹れるので同じ茶葉でも風味が変わります。なので様々な茶葉で試して頂いて、良かった茶葉の感想を聞かせてくださるとありがたいですね」
「天座さまほどの方がお勧めする組み合わせでしたら大事な商談の席でも胸を張って提供することができます」
「ふふっ、では遠慮なく頂きますわ」
先ほどまであった敵愾心はもう消え、ポットを抱えて笑みをこぼしています。
建設的な対話ができるステージまで漕ぎつけました。内容自体はジュキさんに利するものですから失敗することはないとと思うのですが…心の均衡が傾いている際、人間どんな選択をするか分かったものではありませんからね。
さっさとフラットにまで戻しておくに限ります。
「ふぅ…少し恥ずかしい姿をお見せしてしまいましたね。では不知火さんが私を呼んだ理由を聞かせて貰えますか」
ジュキさんが年に似合わぬポーカーフェイスを貼り直して尋ねた。
凛としてこちらを見つめる顔には中学部とはいえこのトリニティの政治の場で二年間生き抜いてきた重圧を感じさせられます。
…大口の商談の時間ですね、ここで躓くとこの後の計画に響いてしまいます。
「はい、ではどうかご清聴を…」
これは天座さんの派閥にだけ聞かせる計画ではありません。寧ろ一番値踏みされているのはこの場に連れてきた目端が利く商人たちでしょうから…
「とその前に天座さんにお聞きしたいのですが今の学校は秩序が乱れていると思いませんか?」
「…ふむ、どうしてそう思うのですか?」
回答を濁した。
…もし私がセイアさんと手を組んでいた場合、天座さんの回答次第ではクーデター未遂をでっち上げられる可能性がありましたもんね。
分かるんですけど私たちは中学生なのですよ!なんで日常の中での言葉狩りに気を付けないといけないのでしょうね
「はい、まず多くの良家の子女が集まるこの中学校はトリニティの縮図とも言えます。その学校で例年ならば起こりえない事が起きているからです」
「・・・・」
シーンと静まり返る応接室、いえ隣の部屋で給仕の子たちの声がかすかに聞こえてきます。
うーん、それにしても見事なポーカーフェイスです、何も分かりません
「有力な家の令嬢が形を作り、そこに人が集まり派閥となる。派閥はその勢力を伸ばすために他の派閥と争い合う…これはトリニティにおいて当たり前の常識です。しかし入ったばかりの一年生が大派閥を率いることはとても珍しい…それが複数あるともなればなおさらです」
少し天座さんの感情の色が読めてきましたね。そうですよね、貴女にとってこれは見過ごせる事ではない。しかしこれを覆すために強引に大きく動いてしまうには甚大なリスクが付きまとう。
「そしてその中の1人が学校の趨勢を担う最大派閥を率いてしまっている」
「・・・・・」
「何もしなければこの状況は3年後のトリニティ総合学園でも同じになるでしょう」
そう、今の派閥争いは後のトリニティ総合学園での派閥争いに直結しする。
このままセイアさんのサンクトゥス分派の台頭を許してしまえばジュキさんは今だけではなく3年後にもその権威を振るうことが難しくなります。
これはかなり悩んでいましたね、いえ派閥の統制を握り直すので精一杯だったのか。最大派閥から落ちるという事は他所の派閥からの攻撃だけでなく自分の派閥からの攻撃を受けるという事でもありますので…
「ですがもし…もし最大派閥を率いているのが彼女だったら、貴女はその感情を飲み下してサポートの為に補佐に回ることすら出来たでしょう」
「ですが、今その地位にいるのはサンクトゥス分派の神子である百合園セイア…」
「数回言葉を交わしましたが、政り事に対してそこまで興味を持っている様子は有りませんでした」
「そうですね、百合園セイアはその地位を嫌がっている様にも感じましたわね…」
やっとジュキさん自身の言葉が出てきましたね。
ジュキさんをこの会談を招いた意味と私の狙いが飲み込めたといったところですかね?
「であれば尚更の事、正さねばならないと思いませんか?」
「人にはそれぞれ領分というものがあります。『政事は貴族に 教義は教会に 信仰は偶像に 』古来より続いてきた伝統…この学校もそう在るべきだと思いませんか?」
その言葉を聞いたジュキさんが考え込んでいる。
ふと視線を逸らすとジュキさんが連れてきた側近の人たちのポーカーフェイスが崩れていた。あっ、私の視線を追ったジュキさんにも見られてしまいましたね…早く立ち直らないとあとで怒られますよ?
いつの間にか顔を上げていたジュキさんの瞳が私を射抜く。
「流石です天座さん。貴女に隠し事はできませんね」
「不知火家は今でこそ上級貴族の末席を頂いていますが、その本質は商人なれば私もその例に漏れず商いを主にしたいと考えています」
「しかし私は伯爵家の一員でもありますので…最低限
シンとした沈黙が満ちた。20人弱の生徒がいる煌びやかな部屋がまるで何もない深海の様。
澄ました顔の下でジュキさんがこの話を受けるメリットとデメリットを、その先にある展望が良いものであるかどうか計算し続けている。
…もう一押しといったところですか
指を組み揺れているジュキさんの目を見据え応える。
「不知火の名に懸けて」
「良かったんですか?」
ジュキさんたちが帰ったあと、給仕をしてくれた子たちがこっそり(?)余ったお菓子を食べながら後片付けをしている。そんな会場の片隅で私とアシュリーさんはお茶をしていた。
「全く良くないですよ!あのドラ猫め…」
「前々から大事な会談があるから予定を空けておいてくださいと言っていたのに…なんですかドタキャンって⁉代わりに出てた子が緊張とプレッシャーでグロッキーになってるじゃないですか」
タイガさんの代わりとして当日に私の左に座ることになった子が椅子に寝かされていた。この対談で話しをしていたのはほとんど私とジュキさんで事務的な話はアシュリーさんが向こうの子と打ち合わせていたので、彼女は形式的な挨拶とお茶についての雑談しかしていないはずなのですが…
まぁ話の密度が重たかったのでしょう、途中ジュキさんと
「いえ、そちらではなく…」
「あの条件での同盟、他の派閥からは私たちが天座さんの派閥に従属したと見られてもおかしくないのでは?」
アシュリーさんが今回の同盟の懸念点を伝えてくる。
「そうですね…
確かに今回の契約は私がジュキさんの顔を立てた契約になっているのも事実ですしね。
「うぅ…今回の話が公になればジュキさんに屈したと私は侮られて(チラっ)派閥の貴族派の人も少なくない数がジュキさんの元へと流れてしまうかもしれません…(チラっ)」
「あっそうだ。アシュリーさんもどうですか?今ならジュキさん好待遇で迎えてくれると思いますよ?」
「えっ、アシュリー様いなくなっちゃうんですか!?」
片付けをしていた子が驚いた様子でこちらをみてくる。ちょっと面白くなってきましたね…
「ふふっ、どうなんですか?」
アシュリーさんは呆れたようにため息を吐いた。
「はぁ…そんな事するわけないでしょう。というかそれも狙いですか…人が悪いですよ」
「あとそのウソ泣きはムカつくのでやめてください」
アシュリーさんから機先を刺されてしまいました。やろうとしていた悲しんでる演技を止めて…一応他の子たちにも伝わるようにしておきましょうか。今いるのは給仕役を引き受けてくれた
「いえいえ、この程度の事も分からないような方は端から必要ありませんよ?」
「えっ、と…」
片付けが粗方終わってこっそり盗み聞きをしてた子たちがおろおろしてますね。ここに居るのは貴族でも商家でもない一般の子達なので仕方ないことですが
「おやアシュリーさん。このままでは貴女を慕っている子たちが居なくなってしまうかもしれませんよ。そうならないように今後どのようになるのか説明お願いします」
「はぁ…あまり人に話してはいけませんよ?」
アシュリーさんが周りで聞いてる子たちに確認する。
「「「はい!」」」
「まず今回の話はカヤさんとジュキさんの派閥が同盟を組むというものです。同盟といってもカヤさんがジュキさんに従ってサポートするといったものでしたが」
「それだとジュキさんは良くてもカヤ様にとっては損にしかならないんじゃ…」
「貴族の方たちが面子?があるからジュキ様の所に行っちゃいそうです…」
アシュリーさんの周りに更に人が集まってきました。
「いえ、確かに政争の場でジュキさんをカヤさんは立てないといけません。が、代わりに商いの場ではジュキさんはカヤさんにほぼ白紙の委任状を手渡した形になります」
「そういう意味では互いの貴族派と商人派を交換した形になりますね」
「えっ、それってスゴい事じゃ…」
「ジュキさまが政治、カヤさまが商売を引き受けたってことで良いですか?」
「はい、大体それであってますよ」
色々な条件を付けられたとはいえ普段のジュキさんであれば積極的には結びたくない条件でしょうから。
「次に今後の派閥争いですが…今起きている小競り合いなども減っていきます。大派閥が同盟を組んでいる上にジュキさんを立てているので以前の天座会長の元の秩序が復活するでしょうから」
「派閥闘争に明確な序列が付き、次からは暗闘に…いえなんでもありませんわ。夏が終わる頃にはあのシスターフッドと騎士団の派閥の子であっても友達になれるかもしれませんよ」
「あんな仲悪いのにですかー」
「昨日もバチバチやってましたよ?」
アシュリーさんの話を聞いて信じられなーい!と驚いている。
なんだこの純粋過ぎる生き物?…今度マジシャンでも呼んで反応を見たいですね。
「えぇ、それくらい平和になるでしょう!あとあれってサクラコさんが騎士団の子を引き抜いたということもありますからね」
「コホン!カヤさん、その話しは置いておきましょう。最後に今回結んだ同盟の話には圧倒的に我々が有利な点があります。分かりますか?」
「えーっと…なんだろ?」
「お金がいっぱい貰える?」
「ジュキさまは、来年卒業…?」
「その通り。ジュキさんは3年生、カヤさんは1年生です。ジュキさんが卒業した後この同盟はどうなると思います?」
「ジュキさまが居なくなるから無くなる?」
「でも、そしたらジュキさまの派閥の人たちどうするの」
「私たちと一緒になる?でも…」
「はい、全員とはいきませんが。今さら他の派閥に行く人も多くはないです。此方に合流する人も多いでしょうね」
部屋に歓声が響く。
「うおーっ!」 「カヤ様頭良い!」 「一生付いていきます!」
可愛いですねェ…
はしゃいでる子たちを見て思う。この子たちにはあんまり擦れて欲しくないですね。
ホント…さっきから周りに気付かれないよう私を睨み付けてる
「…で?」
「おっと顔が怖いですよ。どうされました?」
アシュリーさんがお冠です。凛々しいお顔が台無しですよ?
「もうそういうのは良いですから…」
「まさか天座さんとの同盟がこれからも続いて契約もキチンと守られる… な ん て 頭お花畑なことを考えている訳じゃないですわよね?」
「ふふっ、あの説明で喜んでた子達は純粋無垢で可愛らしかったですね~」
あんなキラキラした顔でアシュリーさんの適当な説明を信じられるなんてトリニティではまず見かけられませんからね…
特に高校に上がれば組織間闘争と派閥競争が複雑に入り組んできますから、あの無垢さはすぐに蒸発することでしょう。今のうちに楽しんでおかねば…
「はぁ…トリニティで同盟相手なんて『一番近くにいる敵』とでも考えた方が建設的ですわ。あの同盟の条件も書面に残しているとはいえ、探せば幾らでも抜け道はあるでしょうあの契約書?」
「言い得て妙ですね。他の敵よりは近いところにいるので相手の行動が分かり、勿論自分の行動もバレるのでお互い手が出しにくい… 手を出すとしても余程入念に準備するか、相手が弱り切ったタイミングになる。こんな関係を同盟と呼んでること多いですからね~」
「あぁ契約書の穴はお互い様ですけど、少なくとも私は契約を遵守しますよ。家の名前も使ってしまいましたからね」
「ならば何故?確かに互いの貴族派と商人派の交換は為されますし、貴方に任される事業の予算は膨大なモノになりましょう…しかし結局それを采配するのは天座さんですよ!キリの良い所で切り捨てられてもおかしくありません」
「寧ろ天座さんが卒業する際には自派閥の人を据えて『自分が居なくなるから契約は終わりですね、お疲れ様でした』など言われても…」
「それに天座さんは貴族至上主義ですし、カヤさんと切り捨てた後何食わぬ顔でナギサさんと手を組むなんてことも…」
「もそもあなたの方が会議の場で主導権を握っていたじゃないですか!なんであんなに譲歩した契約を結んだんですか!?」
ふむ、ヒートアップしてきた彼女を諫める。
「アシュリーさん…。もし私が同盟を持ち掛けなかったら…この学校はどうなっていたと思います?」
私の真剣な声にアシュリーさんが普段の冷静さを取り戻した。
「どうなっていたかですか…。天座さんが最大派閥を取り戻すために他派閥に切り崩し工作を仕掛けるでしょうから、間違いなく派閥間競争が激化したでしょうね」
「はい、間違いなくそうなります。では、あなたがジュキさんの立場なら自分が返り咲くために何をします?」
「そう、ですわね。私なら元から組織の相性が悪いシスターフッドと救護騎士団から手を付けますわ。今ならちょうど火種も転がってますしそれを煽り立てればあとは勝手に潰し合ってくれるでしょう」
「私もそこから手を付けますね…他には?」
「うーん、ジュキさんと覇を競っていたアデラさんの派閥は宗教色が強いですから。派閥のメンバーの鞍替えが期待できない上にセイアさんを立ててサンクトゥス分派同士で団結しているので手を出せない…」
「ならば同じ貴族派閥で構成メンバーの傾向が似ていて鞍替えさせやすいカヤさんかナギサさんに仕掛けますわね」
うーんと上を見上げながら起きたかもしれないことを整理していく。
「はい、間違いなくそうなっていたでしょう。今この学校では
「なのでジュキさんが最大派閥へと復活するためには他の大派閥に仕掛けて影響力をそぎ落とし勢力を吸収するこれを繰り返すしかありません」
「っ!まさか仕掛けられるのが嫌だったから先に同盟を持ち掛けたと!?」
「確かに天座さんからの裏工作は面倒ですけど…ですがそれで崩されるほど私たちは脆くないでしょう!!」
凄い剣幕でアシュリーさんが食って掛かってくる。こんなに怒ってくれるくらいアシュリーさん結構私の派閥に入れ込んでてくれたんですね…ちょっと驚きました。
「当然です。ジュキさんに簡単に崩されるほど私の派閥は脆くないですよ?」
「えぇ、そうですわよね…」
あっけらかんと返すと感情の矛先を失ったアシュリーさんがポツンと取り残される。
さて…
「ところでアシュリーさん。私今とても欲しいものがあるんですよ」
「なんですかいきなり…それが天座さんと同盟したら手に入るんですの?」
「いえ、ジュキさんと同盟を組んだ程度では手に入らないですねぇ」
「違ったのですか?」
「はい、しかしこの同盟のお陰でとても稼ぎやすくなりました」
「お金ですか?しかし暫くは順調にいくでしょうけど結局のところ天座さんが手のひらを返したら稼ぎづらくなりますわ」
困惑している顔も様になってますねぇ。アシュリーさんが考えているものと私が考えているものは全く違うのですが。
「いえいえ、今の我々がこれっぽっちも持ってないものですよ」
「私もあなたもタイガさんも私の派閥の子たちも誰も全然持ってなくて…それを使いたいのに全然足りてなくて…私凄く困っているのです」
「…いったい、何が足りてないのですか?」
おや、アシュリーさんもそんな顔されるのですね。
しかしこれで確信できました。
私の計画はジュキさんには
卓越した知能を持つ天才か、私と同じく
「私の本質は商人ですから派閥争いなんて続けられると困るんですよ。だって派閥争いの最中に他所の派閥の人が頼まれた
「『どこの派閥のモノか、誰が届けに来たのか、なぜこの時間に届けるのか、届けられたモノは何なのか、もしやあの派閥とあの派閥が手を組んだのか、いやいやアイツは様子を探りに来た密偵ではないのか…』と例を挙げ始めるとキリがありません」
「善意でサービスしてたりしたら最悪ですよ。『なんでこれが付いてくるのか、派閥内に潜んでいるスパイへの暗号では、中に何か仕込まれているのでは、何もおかしな所がないのはおかしい、やつは我々が悩んでいる姿を見て嘲笑うためにこれを付けたに違いない、それだ!』な~んて言われてしまったりしますからね」
過去に思い当たることがあるのかコクコク頷いてますね。
「しかし派閥争いなど無かったらどうです?」
「『
「さらに期日通りに
「こんな美味しいことはありませんよ。まさしくぼろ儲けというものですね」
「なので派閥争いはクソなんです、少なくとも
ホント私のトリニティ統一計画に差し障るので起こさせません、火種を見つけたら燃やそうとしたヤツごと踏みつぶして行きますので…覚悟の準備をしておいてくださいね?
「はぁ。だからカヤさんは天座さんと同盟を組んだのですね………あれ?」
「派閥争いを起こしたくない理由は分かりましたけど、それで天座さんとの契約については解決しませんよね。どうするんですか?」
おや、アシュリーさん?もう情報は出しているのですけどね、まだそんな先の影響についてまでは見通せませんか。
「 ? さっき言ったじゃないですか」
「…つまり、まだ教える気はないと」
はぁ…とため息を吐き諦めた様子
「いえそうではなく…さっきアシュリーさんが言ってたじゃないですか」
「は、い?」
「ジュキさんは来年卒業するので、その後ジュキさんの派閥の人たちは、私の派閥に吸収され、私が最大派閥としての権勢を振るうことになる、と」
「それはジュキさんが卒業するまでこのまま同盟が続いて、ジュキさんが自分の派閥から後継者を立てないで、その上カヤさんを後継者に指名し、派閥の引継ぎを任せた場合の話ですわ」
「まさか、そんな虫のいい話がある、わけ…」
(ふふっ…)
おや少し笑っただけなのにアシュリーさんが言葉を止め驚いた顔をしています。
そんな信じられないものを見るような目をされると悲しくなってしまいます。
「そんな顔で見ないでください、ですがジュキさんには当然のことをしてもらうだけです」
「成果にはそれ相応の対価で応える、商売…いえ上に立つモノとしての当たり前の事ですね」
「………」
アシュリーさんの聞きたかったことも無くなったようなのでこれで解散ですか。
「じゃあ、あの子たちの信頼を裏切らないように頑張っていきましょうね」
囁くような声なのに伽藍洞とした部屋によく響いた。
「あぁ、信用もですが…信頼を得るのも大変ですね」