転生したら女の子だった   作:カヤをいじり隊

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エタらんぞ…  
ただ推しの子が最終章に入ったのでちょっとそっちに注力しますm(__)m

でもキヴォトスの異常者たちに振り回されるカヤちゃんをすっごい書きたいので、月1くらいで更新する予定


お披露目会

トリニティ総合学園中等部

そこは本校には及ばないまでも他の高等部と比べても一線を画す施設が揃えられています。

 

プールや体育館などの運動施設、図書室や音楽ホールといった屋内施設まですべてが一級品。

施設の使用許可を申請すれば誰でも借りられるものから、そもそも一般の生徒には噂程度しか知らされてないモノまで…様々設備が存在しています。

 

そんな中でもトリニティの象徴ともいえ、やり過ぎってくらいに人も予算も注ぎ込まれているものがあります。それはーーー

 

 

「流石は不知火様ですわ。こちらの特別練を全て貸し切りにするなんて…」

会場を見渡した少女が思わず感嘆の声を漏らした。

 

「今日この校舎で行われるお茶会は全てダミー。この会場へ向かっていることを悟らせないためだけに開かれたと…文字通り動かす資金の桁が違います」

「これだけの数の生徒を集められる不知火様ならば、あの落ちぶれた天座様の派閥なんてすぐに追い落とせますわ♬」

 

他にも集まった人や面子を見て、なにやら幸せな未来を夢見ている令嬢方が話しかけてきます。

 

ここは特別練で最も大きなパーティ会場。

数百人規模で行われるお茶会を想定して作られたはいいものの、年に数度しか使われることのないトリニティ屈指の不良在庫物件です。

掃除だけは行き届いているけど普段は全く人気のない伽藍洞も、今は想定通りの能力を発揮しています。

 

 

はい、私は今主催者として100を超えるご令嬢たちを招いて持て成しております。

ふふっ、不知火家の力を使えば校舎事借り切ることなど容易いのですよ?

 

「皆さん、あまりお口が過ぎてはいけませんよ。これでも私、天座さんと同盟を結んでいる(・・・・・・・・・・・・・)のですから…ね」

 

「ふふっ、そうでしたわね。今の不知火様は(・・・・・・・)天座さん同盟を結んでいるのでしたわ」

「あらこれは失敬しましたわ。…ですがもし、もし不知火様が天座さんを…しようとなされるのでしたらぜひお声掛けくださいね」

「ありがとうございます。皆さんにそう言って貰えるなんてとても頼もしいです、その時がきたらどうぞよろしくお願いします」

 

腹に一物どころか二物も三物も抱えているお嬢様との会談が続きます。

 

「うふふっ、私も銃のメンテナンスの際に面白いものを仕入れましてね」

「おやおや、それはとても気になる(・・・・・・・)お話ですね」

「不知火様に隠し事は出来ませんわね。実は…」

 

ふむふむ、なるほどそんな危険物を持ち込んで…

いや、そんなモン学校に持ち込んでるんじゃねぇよ!?

 

 

上座となる私のテーブルには様々な派閥のそれなりに有力な貴族の令嬢たちが同じ席について楽しくお話しています。

そして先ほどから茶会の話題は私とジュキさんのことでもちきりで…まるで芸能人にでもなったようですね♪

胃痛案件も多いのですけど…

 

「あの女ずっと目障りで…おっと失礼。私も不知火様と天座さまの末永い(・・・)お付き合いを祈っておりますよ」

「へぇあの人も来ているのですか…後で声を掛けておきましょうか、…これだけの人数がいて旗頭は不知火様と、ふふっ楽しいになりそうですわね」

「そうですね、長い付き合い(・・・・・・)となりますと考えることも多い(・・・・・・・・)ですので」

 

更に周りを見渡せばこちらのテーブルの方より家の格が下がるとはいえ、同じようなご令嬢が何十人とティーカップを手に茶菓子を楽しんでいます。

あっ、ちょうどこちらを見ていたアシュリーさんと目が合いました、手を振っておきましょう。

見回したところ見知った顔(・・・・・)が少ないのでサービスですよ、サービス♬

 

ほら折角校舎ごと貸し切った秘密のお茶会なのですから、そんな引き攣った顔なんてしてたら楽しむに楽しめませんよ?

 

「あらあら、不知火様とアシュリーさんは仲がよろしいのですね」

「学内でも大きな派閥を率いているとはいえ不知火様もまだ齢13歳ですものね」

「何か困りごとがありましたら頼ってくださって結構ですわよ」

 

そう今日ここに集まっているのは前まで最大派閥であったジュキさんに痛い目を見せられたり、純粋に気に食わなかったり、足を引っ張って美味しい思いをしようとする貴族家の方々なのです♪

 

集めた私が言うのもなんですが…こんなに集まるとは思ってもいませんでした。

あとは…私と同じく1年生の子もいますけど連れ添いや付き合いで来た感じでそこまで熱があるわけではなさそうですね。

 

「ありがとうございます。ではそんな頼もしい皆様に相談がありまして……」

 

そうして私は反『天座ジュキ』の思惑を持つ先輩方に細やかなお願いをした。

 

 

「「「「それでは不知火様、御機嫌よう」」」」

「御機嫌よう皆様、またの機会を楽しみにしていますよ」

 

お茶会が終わり満足な表情をして皆さん帰っていきます。

 

「不知火さん、少しよろしいですか?」

「はい?あぁ…例の件ですね」

 

数人の上級生の方に呼び止められました。あぁ、あの件ですね…

「不知火さん…例の件は我々が主導して宜しいのですか?」

 

「はい。あなた達にお任せしますよ、費用はこちらで全て引き受けいたしますので…是非良いモノをお願いします」

「ふふっ、任せられましたわ」

少し頭を下げてお願いすると、さぞ楽し気な上級生の方々が相談しながら帰っていきます。

 

漸く準備が終わりました…

えぇこれ以上ないモノを作られてくださいね。そちらの方が覚えも良くなりますので♬

 

 

 

お茶会が終わり各自が今日参加していることになっているお茶会へと帰っていく中、ここに来ていた数人の私の派閥の人たちを集めていた。

 

「進捗はどうですか?」

「はい、あちらも順調に進んでいるとのことです」

「それは何よりです。時期がずれてはいけませんからね」

 

連絡役の子が向こうの様子を送って来る…仕込みは上々ですね。

 

ダミーの方のお茶会の陣頭指揮を任せていた子が悩み顔でやって来た。

「カヤ様、その報告が…こちらで開いていたお茶会で茶菓子が足りなくなったとの報告が」

「あー、誰のせいなのか分かったので良いです。次からは十人前追加で出しておきましょうか」

 

絶対タイガさんですよね!?

もういいです。タイガさんの所には次から10人前…いやもう30人前ぶち込んでやります!

 

「いえ、それが一件だけでなく三件も起きてまして…」

「えっ、そんなに足りなくなったんですか⁉」

 

他の場所も足りなくなっているとは想定外です。なんで不足したのでしょうか…

「十分な量を用意しているはずなのですが…運搬に問題があった?それともただのクレーマーか。何が起きていたか調査お願いします」

「分かりました」

 

ぱたぱたと報告書をまとめてくれた子がうちの派閥の子たちに詳しい話を聞きに行き、広間の扉が閉じた。

入れ替わりで違う案件を任せていた子が報告する。

 

「こちら今回の貸し切り及び裏工作にかかった費用です。流石にこの規模のお茶会を毎回となりますと予算が厳しいかと…」

「ふむ、けれどあと数回開く程度では問題なく回せますね。今回の件を参考に次回からのお茶会の構成を組み立ててください」

 

派閥の子が持ってきた打合せの進捗や茶会で起きた問題、経費の書類などを見聞きして指示を出す。

私の派閥は商人の子たちが多いので計算や現場判断が出来る子たちが多いので凄い助かってます。特にジュキさんとの密約を結んでから直ぐにこちらに移ってきた子たちは先見の明がありますから

 

今誰についてどうすればお金が稼げるのか良く分かってます。それが頼もしくもあり恐ろしくもあり…

まぁ私に匹敵する方はいないのですが、使えるものは全部使ってしまいましょうか♪

 

 

「ふぅ…」

「お疲れですか、カヤさん?」

あらかた指示を出し終わりました。

メイドからお茶を淹れて貰い、一服しているとアシュリーさんの声が

 

「いえ、そこまででは…ですが今は一番周りを見なければならない時なので」

「そうですわね。それにしても思い切りが良すぎませんか?もっと穏便かつ堅実に進めていく方法があったのでは?」

 

次の計画で手札の一つを晒すことについて不満そうに詰め寄ってくる彼女。

まぁ、確かにこれは強力な武器となりえるのですが、早かれ遅かれどこの派閥にも感づかれますからね。

ならば今回の件で使い切ってしまっても問題ないです。

 

「ありましたよ?ですがそれだとまた別の問題が起こりますからね。ならば『拙速は巧遅に勝る』ってやつですよ一番効果的なタイミングで使い切ってしまいましょう」

「聞いたことありませんわね、そのような言葉」

「そうですか?まぁ商人と貴族とでは感覚が違いますからね」

 

ふふっと笑うとアシュリーさんが片手で目をおさえていた。

こればかりは慣れてもらうしかありませんからねー

 

「で、アデラさん(サンクトゥス派)からの返事はどうでした?」

 

声を潜めてアシュリーさんへと尋ねる。

この交渉をしくじると厄介なことになりかねませんからね。まぁ向こうの立ち位置もありますしそこまで心配しているわけではありませんが。

 

「はい、以前と同じ勢力を保証するのでしたら問題ないと…それと念書を既にアデラさんにも送ってます。あとは…」

明朗に報告をしていたアシュリーさんが少し口ごもった。

 

「数名紛れ込んでしまうかもしれない…と」

「なるほど…悪い人ですねアデラさんも」

喜ばしい返答に思わず口角が上がってしまう。

 

「あなたが言いますの、それ?」

「ふふっ、考えたのはジュキさんですからね。私はおこぼれに預からせて頂くだけですよ?」

 

(じーっ)

そう返した私をジト目で見つめてくるアシュリーさん。ほんとに美人さんですね…

とはいえいつもそんな顔していると小じわが寄りますよ?

ですが折角の腹心候補を政治嫌いにさせてしまっては本末転倒ですので…少しばかり楽観的な予想を一つ。

 

「まぁまぁ、暫くすれば状況は落ち着きますからね」

「どこも内情は同じようなモノといったところです。派閥が大きくなるという事も考えもの…本当の意味で派閥が統制されるようになればアシュリーさんの悩み事も少なくなりますよ」

「そうですわね、どのみちこんな爆弾を抱えて高等部まで行きたくないですからね」

 

一応は納得して頂けた様子、そのまま話は仕事とは全く関係ない雑談へと移った

 

「そうですわ。ここに入った時はこんなに事務仕事させられると思ってませんでしたよ。もっとこう、パーッと色んな派閥に殴り込んでいって成りあがっていくものかと思ってましたわ」

私に対する愚痴と意外と好戦的な思考に思わず苦笑い。

 

「あなたの古巣と一緒にしないで頂けます?あんなことが許されているのは団長の人柄とか構成員の気質に救われてるだけですからね。というか私の派閥はどうしても頭脳労働が主になってしまいますから…殴り込みなんて恐ろしくてできませんよ?」

あれだけ弾薬を集めていますのに…よく言えますね

「えっと今なんと?」

 

何かアシュリーさんが呟いてしましたが聞こえなかったです。

まぁ良いです、そう大したことではないでしょうし。

 

「なんでもありませんわ。はぁ、とにかく今はお披露目会へと向けて準備すればいいのですよね?」

「はい、あれを成功させないと意味がありませんからね。アシュリーさんたちにも苦労をお掛けします」

「はいはい、任されましたわ」

 

 

時間も良いところなので今日のところは解散です。

 

やる気無さそうに手を振っていますが彼女の交渉の手腕はかなりのものです。

最初に交渉術の基礎は叩き込みましたがやった事といえばそれだけ。

にも関わらず1年生ということで軽んじられる上級生相手でも契約をちゃんと取ってきますからね。

 

しかし私は人材に恵まれていますね。しかも一年生に仕事任せられる人が多いというのは今後を見据えると本当に…本当に助かります。

ふふっ、この調子のまま行けばティーパーティのホストの座は確約されたも同然。

 

その為にもまずは今の計画を進めていきましょうか。

今度のナギサさんの茶会では面白い土産話を持っていけそうですしね♪

 

「お嬢様、前に仰っていた通りパティシエを集め終わりましたよ。最終選考方法はアレでよろしいので?」

「んー、準備出来ましたか。なら私が直接見て…タイガさんも連れていきましょうか報酬として丁度良さそうですしね」

「畏まりました。その…タイガ様だけでよろしいのですか?あと数人か増えても負担は変わりませんが」

 

奥歯にものが挟まったように聞き返してくるじぃじ

「はい、タイガさんだけ(・・・・・・・)で良いですよ。そちらの事業は派閥としても使うでしょうけど、私個人で使うことが多いでしょうから」

「はっ、ではそのように」

 

帰宅中の車の中、これからの派閥の展望を考えて過ごした。

 

 

 

 

本校舎と離れをつなぐ地下道。

強度を重視したため殺風景な灰色のコンクリート通路に楽し気な声が響く。

ジュキさんとすれ違い様に幾らか言葉を交わした。

 

「御機嫌ようジュキさん。お加減は如何…なんて聞くまでもありませんね」

「御機嫌ようカヤさん。ふふっ、仕方がないですわ長年積もっていた埃を落とせるのですから♪」

 

そう広くはない地下通路で20人以上の人がひしめいていた。

私の後ろにはアシュリーさんとタイガさんたち数人が、ジュキさんの後ろには20人くらいいますからちょっとした大所帯となってますね。

お互いこれから向かうパーティ会場で必要なものを携えて…

 

「ではご健闘を祈りますよ」

「ふふふっカヤさんこそ、とそんな少なくてよろしいのですか?」

「はい、寧ろ過剰すぎたかもしれません」

 

その後アシュリーさん(・・・・・・・)がジュキさんのところへ、逆にジュキさんの派閥の№2(・・・・・・)がこちらへと合流した。

そうして二つの集団はお互いの通って来た道へと消えていく。

 

 

「では、参りましょうか本日のパーティ会場(反不知火カヤ決起集会)へ」

 

 

にしても、銃と爆薬持参のお茶会とは一体…???

 

 

その会場には40人以上の生徒が集まっていた。トリニティらしくテーブルで紅茶を片手に噂話やここには居ない誰かの批判で盛り上がっている。

女が三人寄れば姦しいとはよく言ったもので普段ならばあまり口にしないような話を話し合っていた。といってもアイツのここが嫌いだ・こんな奴のせいで私は…といった愚痴や嫉妬ばかりだが。

 

しかし彼女たちが開放的になるのも仕方のない。

何故ならそこは彼女たちが最も嫌う不知火カヤと現在暗闘真っ盛りの天座ジュキが用意した会場であり、周りには自分と同じような境遇や妬みを持つ者ばかり、それにこのお茶会に参加する為には厳選な審査を通り抜ける必要があるのだから。

だからそれは必然だった。

 

 

「お待たせしました」

ジュキさんの№2が広間へ入っていく、主役に準ずる彼女の登場に会場のボルテージが上がる。

 

ちょっとしたライブ会場みたいですね。あいにく私は行ったことがないのですけど

ちょうどいい感じに温めてくれたところで満を持して主役の登場です。

いや~、皆さんどんな反応をしてくれるのか楽しみですね♬

 

「悪~い顔してるよカヤちゃん?」

「何を言うんですかタイガさん!これはポーカーフェイスというものですよ?」

 

そのまま会場入りした。

 

 

「えっ?」

「どうしてここに…っ!」

 

変化は劇的なものでした。

騒然とするお茶会場、困惑が伝染し静寂が広がる会場。

その静寂を切り裂くように闊歩し全体が見渡せる演説台へと登壇する。

 

「ご紹介にあずかりました不知火カヤです。暫く皆さんの話を耳にしておりましたが、とても歓迎してくれているようで…」

「この調子だと自己紹介は必要なかったですね」

 

あぁ、会場の人たちからの視線に頬が緩んでしまいます。

それに対して見回されている方は堪ったモノではない。

 

なぜなら今カヤに言っていた悪口や謀り事を聞かれているということで…

その言葉の意味を理解していくうちに静かになっていくお茶会場。

今この場で自由に振舞っているのはカヤとカヤと一緒に来た者たちだけ、アシュリーさんから仕込まれた彼女たちは演説をするカヤを守るようにさり気なく移動した。

 

「し、不知火様。なぜここに?ここはジュキ様から招待されなければ来れないはず…」

「それにあなたは今日別のお茶会への準備で忙しいはずでは⁉」

混乱から解かれた理解力がない生徒から質問が飛ぶ。

 

へぇ、ジュキさんはこのお茶会(決起集会)を自分で開いたんですか…ご苦労なことです。

 

「あぁ、あのお茶会ですか。実はアレ私がホストってことになってますけど準備も呼びかけも出席者の確認も親切な先輩がやってくれまして、ね」

「いやぁ助かりましたよ、茶会の為に骨を折ってくれた先輩たちには後日お礼をしなければなりませんね」

 

でっも自分の為にあんな大規模な会を開いてくれたのです。ジュキさんからの覚えもさぞかし良いでしょうし必要ないかもしれませんね♪

しかしこれでこの場に居る全員が状況を理解しましたね。この場から逃げようとする者、他人に誘われただけだと責を押し付けようとする者、あとは抜け目なく会場と私の周りを確認する者…

まぁ、そうなりますよね?

 

「そうです。今更なのですが皆さんに伝えておかねばならないことがありました。私不知火カヤは天座さんと同盟を組み今の混迷とした派閥闘争を終わらせることを宣言しますなので是非あなた達にはこのことを自身の所属する派閥へと広めて頂ければなと…」

*1

 

私とジュキさんによる他全ての派閥への宣戦布告。文字通りの一蓮托生です私とジュキさんの同盟の重さが分かるでしょう。

 

こいつらを助けるために二つの大派閥を敵に回す選択が出来る派閥はありません。

宗教色が強いシスターフッド、サンクトゥス派には同盟の選択肢がない。救護騎士団は絶賛険悪なムードのシスターフッドとは組めない。

唯一他と同盟を組める選択が出来るナギサさんのところもこんな短期間で他の大派閥と同盟を組むほどの信頼がない。二年のあの人は少なくとも中学の間は政治に絡んでこないでしょうしね。

 

これでチェック

会場を見回すと30分前まであった楽し気な雰囲気は消え失せこれからの自分たちの運命を悟って呆然としてる人の群れ…そんな中だからこそ余裕の表情を崩さない人はとても目立ちますね。

 

「それはどうかしら、不知火カヤ」

「…と言いますと?」

いまだ余裕のある一人が立ち上がって挑発的に見つめてくる。

そいつは周りを確認して私を見てニヤニヤしながら言葉を重ねる

 

「なるほど、大変興味深いお話でしたわ。あなたと天座さんが手を組んだと…確かにこのままでは私たちは派閥闘争に負けてこれからのトリニティで居場所がなくなるのでしょう」

「そうですね。今までのように幅を利かせることはできなくなりますね」

「えぇ、そしてそれはあなたとジュキさんが無事に同盟を組めればのお話です

 

 

「おや?ここまで話を進めている同盟が上手くいかないことがあるというのですか」

「えぇ、もちろん」

自信がある彼女の言葉に諦めていた周りの生徒たちの目に生気が籠っていく…そしてその様子を見て満足したように彼女が言葉を続けた

「簡単なことですわよ。ジュキさんと同盟を組まれる前に潰せばいいのですから!」

 

ザッ…ジャキ!

彼女が私に向けて銃を構える。続くようにその後ろから安全装置を外した銃口を突き付ける集団がくる。

そして同じ方法(ここで私を潰す)を考えていた生徒たちが呼応して立ち上がった。

 

「なかなかおつむは良いようですけれど詰めが悪かったですわねぇ」

「こんな人数で私たちを相手に出来るとでも思いましたか?そもそもここにいるのはお前をが気に食わない人ばかり…のこのこ現れたあなたは飛んで火にいる夏の虫なのに…ふふっ、ご高説中に笑いを抑えるのが大変でしたわ」

攻撃的な笑みを浮かべる彼女の様子に意気消沈していた周りの生徒たちも立ち上がり私に向けて銃を向けてきた。

 

ほら見たことか…と周りの生徒が立ち上がるさまを見て勝ちを確信したのか嗤いながら問いかけてくる。

「なにか言い残すことはありまして、遺言くらい聞いて差し上げましてよ」

勝ち誇った顔で尋ねてくる彼女、それに対して私は…

 

「では、ティータイムといきましょう」

彼女の言葉を無視して私の警備に着いてくれた子に話しかけました。

まだ立ち上がってないのは三人だけと…これはもしかするかもしれませんね。

 

私の周りにいた派閥の子たちが警戒を解いて(・・・・・・)席に着く。そして私も同じく用意されたテーブルに着いた。

「今日の銘柄は少しの渋みが癖になるトリニティ産の茶葉です。苦みが嫌いな方はミルクを入れると良いですよ」

 

「はっ?」

 

いれたての茶葉の香りが広がる。

銃を突きつけているにも関わらず完全にシカトされ、目の前でのんびりと行われるお茶会に目が点になる反逆者たち。

 

「あぁ、タイガさん…もう良いですよ?」

「…んぁー。やっとぉ?待ちくたびれたんだけど、ここの茶菓子あんまり好きじゃないしー」

「ふむ…でしたら今度パティシエを招いて新しいお菓子を作らせるのですが…一緒にどうです?あなたの口に合う茶菓子をオーダーしておきますよ?」

どこから拝借したのやら…パウンドケーキを片手に眠そうな声で伸びをするタイガさんにそう問いかける。

 

これでチェックメイト

 

確かにここで私を倒してしまえば見せしめにされるどころか私の後釜に着くことが出来たでしょう。

そしてジュキさんと一緒にトリニティで采配を振るうことも出来る、まさに逆転の一手でした

が、桶狭間しかり赤壁の戦いしかり…起こりえないからこそ歴史に名を遺したのですよ?

 

「なっ⁉」

私が入ってからこの場所の扉は締め切られている。

そして私の護衛が他にはいないことを確認してから銃を構えたのだ。なのにいきなり姿を見せたタイガさんに驚きを隠せていない。

 

「はっ、誰かと思ったらたった一人?それで私たちがどうにかなると思ったら…」

なりますよ

 

ティーカップにレモンを入れながら答える。

えぇ、この世界には凡人が束になっても敵わないモノがいるのです。そのことを私たちは幼い時から(・・・・・・・・・)よーく知っていますからね

少し飲んだ紅茶にミルクを入れまた一口…トリニティ産の紅茶も美味しいですね。

 

 

 

「んーこれで終わりっと。…もっと早く合図してもよくなかった?」

運動して少し服が寄れているタイガさんが給仕に整えて貰いながら席へ座ってくる。

 

「まぁ、そうした方が早かったのは確かですけど…あの人たちは一度折ってしまった方が良かったので」

「人が悪いよカヤちゃん。あっ、それ頂戴!」

あれだけ食べていたのにまだお菓子を要求するタイガさんに呆れる。

いや、マジで何人前食べるんでしょうか…それくらいお安いモノなのですけどね

 

「お行儀が悪いですよ。それにあながち間違いではありません。あのまま成長してしまえば彼女たちはいかに上手く人を蹴落とすか、それが基準となってしまったでしょうから」

「んー、またカヤちゃんの難しい話?」

 

机の上に在った茶菓子をブラックホールみたいに食べながら聞いてくる。

他の方もいるのですけど?給仕に追加の茶菓子を頼んだ。

 

「まぁ、そうですね。幼い頃の成功体験は人生観に大きな影響を与えます。なまじ政治において相手を蹴落とすことは一定の成果を上げられますので…。そのようなことを続けるうちに彼女たちは更に足の引っ張り合いへと傾倒していたでしょう。」

「政治だけやるのならばそれで構いませんが…とても健全な価値観とは言えませんからね」

「ふーん、分かんないけど分かったー!」

気の抜けた声で特注の茶菓子を口いっぱいに頬張るタイガさんの姿に毒気が抜かれる。

 

「ところで彼女たちはどうするのー?」

「彼女たち…?あぁ、忘れるところでした」

タイガさんに全滅させられた人たちで死屍累々の中、机の下で小さく震えながらも反逆に手を貸さなかった彼女たちに声をかけた。

 

「どうでしょう。私と一緒にお茶といきませんか?」

「今のカヤちゃんが言うと脅迫にしか聞こえないねー」

 

失礼な!純粋な善意からだと言いますのに…

でも結局残っていた子たちはタイガさんの方へ座って一人を除いて私と目を合わせようとしてくれませんでした。

 

あれだけ暴れてたタイガさんの方がいいとか…私も少しは傷つくのですよ?

 

 

この後ジュキさんの会場にも向かい反ジュキ派の方々を鎮圧しました。

裏切者だの卑怯者だの散々恨み言を頂きました、が

 

おかしなことです。

最初から私はジュキさんの同盟者だと公言していましたのにね。

 

同盟者(・・・)ジュキさんの敵(・・・・・・)一緒に倒す(・・・・・)

なにかおかしなことがあったんでしょうか甚だ疑問ですね?

 

 

「また悪い顔してますわよ。今度は何を考えているのですか?」

「人聞きが悪いですよアシュリーさん。最近は皆さんから一歩置かれてるようなのでそのような言い方はおやめください!」

「100人以上の生徒を処断したあなたが笑顔で近寄ってきたら、一般生徒は逃げ出しますわよ」

 

「・・・・」

 

 

知ってますよそんなこと!

…しかし今後の為に必要なことだったとはいえちょっとやり過ぎましたね…

 

せっかく茶会のマナーや派閥のパーティなどで一般生徒たちにも馴染まれてきたというのに努力が水の泡です…

はぁ、しかしこれで同年代の中では一躍トップに躍り出たといっても過言でありません!

 

ふふーん、この不知火カヤの華麗なトリニティ生活…その輪郭が朧気ながら見えてきましたね

このままの権勢を保ちティーパーティに入る、そして必ずやホストの地位を手に入れてみせます!!

 

*1
私とジュキさんへの翻意を持つあなた達を処分します。あなた達が所属している派閥がこの判決に不服があるというのでしたらどうぞ庇われてください…私とジュキさんがお相手致します。あなた達はその末路をもって私とジュキさんの同盟したという事実を知らしめてくださいね




カヤちゃん初めて出てきた時は強キャラ感凄かったんだよな…
マジでどうしてああなったのか(・・? 

このカヤちゃんはコンセプトは【劣化超人】、それに至る手段は『商人』となっております。


次回『たのしいおちゃかい2』
中学生編終わったら高校1~2年をダイジェストで流していきなり先生着任から開始するかも?
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