レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトと転校生

朝、真白が登校してくると何やら教室が騒がしかった。

 

「今日転校生が来るって知ってるか?」

「え? そうなの」

「昨日先生たちが話してるの聞いたんだけど女の子らしいよ、なんか外国の子みたいだよ!」

「なるほど。どうりで教室が騒がしいんだね」

 

玲二とひなたが転校生のことを教えてくれる。

道理で教室がざわめいていると思ったら、転校生が来るから雰囲気がいつもより違うんだなと真白は思った。

男子は可愛い子がいいなぁと期待に胸を膨らませ、女子は外国の子ということで女子もそれなりに興味を持っているようだ。

やがて担任である牧野先生が教室へと入ってきて、生徒達はそれぞれの机へと戻る。

 

「あー、もうみんなは知ってるようだが、転校生を紹介する。入ってこい」

「はい」

 

女の子の声がして、扉が開き、教室内の注目が集まる。

まず目を引いたのはその髪。金髪の髪に腰まで届くロングヘア。肌も白く、手足がスラリとしているが、身長はそれほど高くない。

正面を向いて見えた瞳はの青色をしていた。可愛い印象の子である。

黒板に辿々しいカタカナで自ら名前を書く。

 

「ウェンディ・マークベルです。よろしくお願いします」

 

流暢な日本語で自己紹介をし、ペコリとお辞儀をする。

 

「マークベルは両親の仕事でこちらに来たそうだ。彼女はある国の貴族家の出身でな。家庭教師の方が日本人だったため、言葉については問題ないそうだが、こちらの文化に関してはあまり詳しくはない。みんな助けてやってくれ」

 

先生がそう補足すると、「はーい」と美少女にお近付きになりたい男子と、お嬢様に興味津々な女子が元気よく返事をする。

 

「それじゃあマークベルは草摩の隣の席に。あそこだ」

「はい」

 

ウェンディは由紀の隣に着席すると、笑顔を見せて軽く頭を下げた。

由紀も笑顔を見せて軽く頭を下げた。間近で見ると、確かに可愛い子だと真白も思った。

 

「よーし、じゃあ朝のホームルームを始めるぞー」

 

先生の声に、真白は横目で彼女に向けていた視線を前へと戻した。

 

「小清水ひなただよ。困ったことがあれば私達を頼ってね! 」

「草摩由紀だよ。これからよろしくね」

「私は柊潤だ。よろしく」

「はい、皆さんこれからよろしくお願いします」

 

案の定というかクラスの人気者達がウェンディに話しかけてきた。ヒナタ、ユキ、潤の三人は頼りになるので困ったことがあればウェンディの助けになるだろう。

 

「マークベルさん、日本語ペラペラだね」

「家庭教師が日本語だったので。でも話すことはできても、文字はまだうまく読めないですし、書けません」

「日本は初めて?」

「はい。伯父夫婦がこちらにいますので、その家にお世話になっています」

「あれ? ご両親のお仕事でこっちに来たんじゃないの?」

「ああ、、えっとですね」両親の仕事について行くと、地方をひっきりなしに移動することになるので。それなら伯父夫婦の家に厄介になった方がいいとなったんです」

 

四人に続いてクラスメイト達による質問攻めが始まる。男女入り交じり、質問の雨を降らせていた。

横目で眺めながら見ていると玲二が前の席に座ってきた。

 

「マークベルさん、人気者だな」

「転校生だからみんな興味があるんだよ。おまけに可愛いから、男子達は仲良くなりたいんでしょう」

「真白も行かないのか?」

「あの輪に行くほどの積極性はないよ」

「それもそうか」

 

授業開始のチャイムが鳴ったので、シロウらは自分の席に戻る。

横を見るとウェンディが小さくため息をつく。お決まりの転校生の儀式とはいえ、ご苦労様ですと真白は思った。

学校が終わりいつものように『アストラル』をやるために帰る。

 

「弟くーん、帰ろう♪」

「ん、了解」

 

教室まで迎えに来た紗希。

 

「そうだ、真白君のクラスに可愛い子が転校してきたんだって?」

「ん? どうしてそれを知ってるの?」

「クラスの男子達が可愛い子が転校してきたって言うのを聞いてね」

「ああ、なるほどね。だから昼休みに男子達が来てたのか」

 

美少女が転校してきたという噂がすぐに広まったらしい。

昼休みに真白と玲二が弁当を食べていると。教室の前にやたらと人がうろうろと行ったり来たりしていたのは、美少女転校生を一目見ようと男子達が来てたのだ。

二年に広まっているなら一年だけじゃなくて三年にも広まっているかもしれない。三年には厄介な先輩達もいると聞く。

あの後、すぐに仲良くなったひなた達は放課後に遊びに誘っていた。

光瑠と隆太は部活の助っ人として呼び出されいなかった。あの二人は男避けとしては非常に役に立ち、男子達は気後れして由紀と潤に告白に至ってない人達が多いのだ。

今はあの二人がいないので、嫌な予感がした。真白としては杞憂に終わってほしいと思う。

 

「どうしたんだ。真白?」

「ちょっと嫌な予感がして」

 

何かを察した玲二と紗希は真白について行く。

急ぎ足で向かうと案の定、校門に人が集まっていて、ひなたと由紀、潤とウェンディが三年の男子達に囲まれていた。噂の厄介な先輩達かもしれないと真白は思った。

 

「名前教えてよ。あ、連絡先交換しない?」

「ねえねえ、彼氏とかいるの〜?」

「そっちの子も可愛いね〜!」

「俺達と遊ぼうぜ」

 

ひなたと潤は前に出て、後ろにいる由紀とウェンディを庇い、由紀とウェンディは困り気味でいた。

真白は三年の後ろから声をかけた。

 

「あの……」

「ん? 何キミ? 二年」

「その四人、僕の連れなんで……」

「へぇ〜……で? だからなに?」

「で、と言われましても。僕達はその四人と一緒に帰るので、そこ、開けてもらえませんか?」

「ブツブツなに言ってるのかわからないんだけど、はっきり喋ってくれない〜?」

「つーか俺らこの四人と話してるから、邪魔しないでくんねぇ?」

「てか、よく見たら四條といる奴じゃねー?」

「ああ、四條と仲良くしてるの前々から思ってたけど気に食わねと思ってたんだよ」

「俺もこんな地味な奴が四條に好かれてコイツのどこがいいんだろうなぁ?」

「へぇー、それはどういうことかなぁ?」

 

(おおっと、これはまずい……)

(おいおい、これはまずいぞ)

 

後ろからついてきた紗希は真白のことを快く思っていない先輩の言葉に反応する。

普段は優しく怒らない彼女だが、真白のことをバカにする人達に対しては容赦がない。

真白と玲二は焦る。笑ってはいるが、その笑顔が逆に恐怖を感じる。

 

「おっ、四條じゃん。こんな奴ほっといて……」

 

先輩達は紗希の怒りを見て固まった。

 

「げ……まずい」

「おい、行こうぜ……」

 

紗希の怒りを見てビビったらしい。三年の先輩達は逃げるように去って行った。

 

「……まったく、ビビるくらいなら言わなきゃいいのにね」

「はは、まったくそうですね」

「紗希姉さんのおかげで助かったよ。玲二もありがとね」

「まあ俺はいても役に立たなかったけどな」

 

ついてきてくれただけでもありがたかった。

先輩達に舐められていたので、真白だけじゃ引いてはくれなかっただろう。

 

「先輩と神原君に白鳥君、追い払ってくれてありがとう」

「ううん、どういたしまして」

「あはは、僕は先輩達に舐められて全然役に立たなかったけどね」

「俺もただついてきただけになちゃったぜ」

 

真白と玲二は役に立ててなかった。むしろ役に立ってくれたのは紗希の方だ。

 

「もうなに言ってるの、真白君が気づいたおかげでひなたちゃん達が無事だったんだよ」

「そうなの、神原?」

「まあ、いつもいる天草君と乙骨君がいなかったし、それにマークベルさんのことは三年生の噂になってみたいだからね」

 

良くも悪くも、この四人は容姿が整っている。そのため目立ってしまったのだ。

今回は光瑠と隆太がいなかったのと、転校生が美少女という噂が広まったため、先輩達に絡まれるという、運悪く起きてしまった。

暴力沙汰にならなかったことと、四人が無事だったことに安堵して、真白は帰ろうとした。

 

「神原に紗希先輩、白鳥もこの後よかったら私達と遊ばない?」

「僕達がお邪魔していいの?」

「うん、もちろんだよ!」

 

ひなたは由紀、潤、ウェンディに真白達を誘っていいか聞くと、快諾して真白達を誘うことにしたのだ。

 

「私は神原君達と遊びたいんだけどダメかな?」

 

由紀が不安そうに上目遣いで見てくる。その姿に思わず可愛いと思ってしまう。

光瑠や男子達が好意を抱くのもわかるなと思った。

 

「私は別にいいよ」

「俺もいいぜ」

「それじゃあ僕もいいかな」

「やったー! ありがとう」

 

真白達はひなた達の誘いに乗ることになったのだった。

 

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