レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトの放課後

行き先は駅近くにあるゲームセンターだった。

かなり大きな施設でゲームセンター以外にもカラオケ・ボウリング・スパ・気軽に楽しめるスポーツなど複数の娯楽を提供する複合アミューズメント施設になっている。

学生達が放課後の遊び場として人気な施設だ。

 

「よーし! 遊ぶぞー!」

『いぇーい!』

 

ゲームセンターの階にやってくる。

UFOキャッチャーやアーケードゲーム、他にはメダルゲームなど様々なゲーム機があった。

 

「すごいねー!」

「ウェンディはゲーセンに来るのは初めてなの?」

「ええっと……あまりこういう施設にはあまり行かなくて」

「そうなんだね。とりあえず適当に遊んでみようか」

 

潤の言う通り、とりあえずゲームセンター内をぶらつく。

すると一代のUFOキャッチャーの前で由紀が止まった。

 

「草摩さん、どうしたの?」

「あ……う、うん。このぬいぐるみ可愛いなって思って……」

 

由紀の視線の先には、可愛いらしい大きな熊のぬいぐるみが置かれていた。

 

このゲームセンターはアームの力が強いので取りやすいし、物の重心や配置、アームの力のかかり方さえ理解していれば案外ぽろっと取れる。

小学生時代、両親の代わりに紗希の母親が『これはねー、ここにアームを差し込むと取れるのよ。こっちはタグのところにアームを通せばいけるわね。』と色々と教えてもらったおかげだろう。

紗希の母親が無駄に多才なところを見せてくるので、真白も妙なテクニックやら知識やらが付いてたりする。

由紀には日頃お世話になっているし日頃の感謝として取ってあげようと思った。

あとは単純にぬいぐるみを抱えた由紀が可愛いだろうな、とちょっぴり私欲が混じっていたりする。

アームの強さや配置を見た限りでは、ワンコインで充分だろう。何百円かかけないと取れないものもあるが、これくらいなら問題なく取れる。

熊のぬいぐるみの頭と胴体の接続部分を狙ってアームを合わせると、うまい事アームに頭が引っかかって胴体は落ちているが頭で支えて固定された状態のまま持ち上がる。

あとはレバーから手を離せば、自動的に取り出し口に落ちてくるのものだ。

ぽてんと落下した熊のぬいぐるみを取り出して由紀に渡す。

 

「はい、これ」

「え、ええ!? も、もらえないよ!」

「僕は草摩さんに取ってあげられたらいいなと思ってやっただけだし……それに草摩さんにはお世話になってるし、日頃の感謝みたいなものだと思って受け取ってほしいな」

「か、神原くんがそれでいいなら……ふふふ、ありがと!」

 

どこか遠慮がちな由紀に渡すと、由紀は嬉しそうに笑ってお礼を言う。

大事に抱えて、どこか嬉しそうな由紀にドキッとする。

光瑠や他の男子が惚れる気持ちもわからなくもないなと思う。

 

「ねえねえ、潤。もしかして由紀ちゃんって神原君のことが?」

「ああ、うん、そうだよ」

 

少し離れた距離で観察して見ると、由紀は真白に好意を抱いてるのを感じた。

 

「へぇー、天草君は由紀ちゃんに対する視線とか態度がわかりやすく違ったからそうなのかなって思ってたけど」

「そうだね。私は由紀の恋を応援してるけどね」

「肝心の神原君の方はどうなのかな?」

「んー……まあ少なくとも由紀に対して悪くない感情は抱いてるはず……私としては由紀の方を応援してるよ。でも由紀は光瑠のことを気にして一歩踏み出せないでいる感じかな。神原君も光瑠を気にしてて気後れしているみたいなんだ」

「そ、そうだったんだ」

 

複雑な人間関係なんだなぁと感じたウェンディ。

二人が話しているうちに真白はセレナにも家事の方ではお世話になっているので日頃の感謝として、ぬいぐるみを取っていく。

ただセレナはなにが好きなのかは知らないので、とりあえずいくつか可愛い系のぬいぐるみを取っていった。

そんな感じでUFOキャッチャーを楽しんだ真白達はとあるカーレスのゲームで遊び。

 

「うぅ……何度も落ちちゃう」

「由紀ちゃん頑張って!」

「どけどけ! 私が通るんだから!」

「あっ! 真白、当てやがったなぁ!」

「ふふ、お先にー」

「よーし、負けないぞー!」

「さてさて、ウェンディ。どっちが一位か勝負だよ」

 

結果はウェンディの勝利だった

他にもシューティングゲームとか色々と楽しんだ真白達は一度休憩することにした。

 

「ふぅ……久々に大はしゃぎしたぜ」

「ぼ、僕も……」

「はしゃぎすぎてちょっと疲れたね」

「ふふ、そうだね。でもこんな風にみんなと遊ぶのは楽しいよね」

「だよねー」

 

それぞれが一息ついていると、紗希が小声で聞いてくる。

 

「真白君、それってセレナちゃんにあげるやつ?」

「うん、セレナにもお世話になってし、日頃の感謝としてあげようかと。ただ……セレナはなにが好きなのかわからないから、喜んでくれるのかはわからないんだよね」

「きっと喜んでくれると思うよ」

「そうだといいな」

 

セレナが喜んでくれたらいいなと思うのだった。

それからひとしきり遊んだ後ひなた達と別れて家に帰るのだがなんと、ウェンディと帰る方角が同じでしかも家がお隣さんだった。

隣といっても、お互いの庭がそこそこ広いため、結構離れている。

 

「驚いた。家まで隣なんてね。びっくりだよ」

「こっちもだよ。あ、じゃあお世話になる伯父さんの家って……」

「うん、ここだよ。四條先輩の家とも近いですね」

「だねー。あはは、私も驚きだよ」

 

確かお隣りさんは二人とも60くらいの外国人の奥さんと旦那さんだった。

 

「今日は楽しかったねー。転校してきた私を遊びに誘ってくれたし、みんな良い人達ばかりで」

「わかる。小清水さんと草摩さん、柊さんは良い人達で頼りになるよね」

「神原君と四條先輩もありがとね。先輩達に絡まれて困ってたところを助けてくれて」

「僕は別になにもしてないよ。全部姉さんのおかげだし。何か困ったことがあれば気軽に頼ってくれていいよ」

「困ったことがあれば頼ってくれていいからね」

「ありがとうございます。もし困ったら二人に頼らせてもらいますね。それと私のことはマークベルじゃなくてウェンディでいいよ。さん、もいらないから」

「了解、わかったよ」

「神原君はゲーム上手いみたいだけど、何かやってたりするの?」

「うん、色々とやってるけど今は『レジェンドオブアストラル』をやっているよ」

「『アストラル』をやっているの!? 私もやってるよー! 四條先輩は?」

「紗希でいいよ。私は真白君ほどじゃないけど、たまにをやるくらいかな」

「ウェンディもゲーム好きなの?」

 

ゲームセンターでのテンションの上がりっぷといい、ゲームの話になると嬉しくなるみたいだ。

真白も好きな話になるとテンションが上がるので、気持ちはわかる。

学校での初印象とだいぶ違うし、話し方も違かった。こちらの文化に慣れてないって話だったが、どうも違うみたいだ。

 

「あっ、ごめんなさい。本国にいたときはゲームの話をする相手もいなかったから、ついテンション上がっちゃった……。こっちに来たらゲームの話をできると思ってたんだけど、あまり女の子ってそういう話題をしないって聞いて、学校では黙ってたの」

「そうなんだね。でも女の子でもする子はいると思うよ」

 

それからしばらく真白らは玄関でお互いの状況を話し合っていた。

 

「じゃあウェンディは魔法と剣術をメインにしてるんだね」

「うん、初めはパーティを組んでたんだけど、今はソロでやってるんだ。たまに野良パーティ組んでたりするよ。神原君も魔法と剣術をメインにしてるんだね」

「よかったらでいいんだけど、僕らのパーティと一回組んでみない? 僕以外は女の子ばかりだから話をしやすいと思うけど」

「え?……女の子ばかりって……ハーレムパーティ……?」

「違うからねー。僕は彼女達を『プリンセス』にするために塔の頂上を目指して、協力しているんだよ」

 

なんだか、変な誤解をしているので、きちんと説明をしておく。確かに言葉だけだと周りからそう思われても仕方ないが。

 

「あはは、冗談冗談。で、神原君のプレイヤーネームは?」

「『シロウ』だよ」

「へ? 『シロウ』ってまさか……」

「本名から取ってましろ……シロウだよ」

「もしかして、神原君ってイベントで毎回三位に入ってたりする?」

「あはは、まあうん入ってるねー」

 

シロウと聞いて、ウェンディはもしやと思った。

案の定、上位プレイヤーに入るシロウだと気づいた。

照れくさそうに苦笑いしながらも、シロウは答える。

 

「まさか神原君がシロウだったなんて……」

「僕のこと知ってるんだねー」

「イベントで上位一位から十位までのプレイヤーについては結構調べてあるからね。神原君のこと、真白って呼んでもいいかな?」

「うん、もちろん構わないよ。ウェンディのプレイヤーネームは?」

「私は『ウェンティ』だよ」

 

しばらくたわいのない話をし、お互い晩ご飯を食べてからログインして向こうで会う約束をして別れたのだった。

 

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