レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトとエリアボス

 翌日。

 

「おはよー! 弟くん、お姉ちゃんが起こしに来たよー!」

「おはようございまーす! 可愛い妹がお兄ちゃんおこし……」

 

 朝、紗希と瑠璃がシロウを起こしにやってきた。

 

「お兄ちゃん! この子は誰ですか!?」

「んー? どうしたん?」

 

 朝から騒がしく、シロウは眠気を感じながら起きた。

 起きるとベッドには琥珀とカラスに幼女先輩が眠っている。

 また幼女先輩がベッドに潜り込んでいた。

 

「妹だよー」

「い、妹!? 私という妹がいるのに浮気ですか!?」

「ちょちょ、落ち着き。瑠璃ちゃんは妹みたいなものだけど幼馴染でしょ」

 

 幼馴染で妹みたいな存在ではあるが別に兄妹ではない。

 家の事情を知っている紗希と瑠璃は真白に妹がいることなんて知らない。

 

「瑠璃ちゃん、落ち着くんだぞー」

「ひでぶー!」

 

 瑠璃を落ち着かせるために紗希は瑠璃に頭突きをお見舞いする。この偽姉は嬉しくなったり、落ち着かせる際には頭突きをするというちょっとやばい人なのだ。

 真白も紗希の頭突きを何度も食らったことがあるのだが、めちゃくちゃ痛い。

 当の本人は石頭なのか全然痛がることはない。

 

「確かに血の繋がりはないですが、それでも私はお兄ちゃんの妹なんです!」

「落ち着いて瑠璃ちゃん。そもそも真白くんには妹がいないはずだよ」

「実は生き別れの妹がいましたーって、通じないかな?」

「通じないね」

「通じませんね」

「あはは、ですよねー」

 

 紗希と瑠璃は幼女の存在を知りたいようだ。

 誤魔化しは聞かないし、自分にの身に起きたことを話していいものか迷う。

 

「……わかった。話すよ、ただし見たこと聞いたことは他言無用でお願い」

「うん、わかったよ。ご飯できてるから支度を整えたら、降りてきてね」

「了解です。待ってますからね」

 

 紗希と瑠璃は部屋から出ていった。

 

「琥珀、二人に話しても大丈夫かな……?」

「話しても構わんぞ。お主はあやつらに隠し事をしたくないのじゃな」

「そうだね。大切な人達だから」

 

 琥珀の許可をもらえたので真白は紗希と瑠璃の二人に能力について話す決意をした。

 一階に降りてきた真白は朝食を食べながら紗希と瑠璃に琥珀と幼女と烏の正体と不思議な力について話した。

 

「……その、こんな話を聞いて信じられないかもしれないけど本当なんだ」

「…………うん、真白くん言うなら信じるよ。けど頭が追いつかないよ」

「私も頭が混乱してきました。神様に陰陽師に猫ちゃんの正体は妖でカラスと幼い子は式神って……」

「二人ともお茶をお持ちしました」

「セレナちゃんありがとう」

「ありがとうございます」

 

 紗希と瑠璃は信じてもらえたが混乱している。

 ちょうどセレナがお茶を持ってきてくれて、気分を落ち着かせる。

 

「セレナちゃんはもう知ってるんだね」

「はい、琥珀様を保護した際に教えてもらいました」

「猫ちゃんたちに名前はあるの?」

「真白からは琥珀と言う名を授かったぞ」

「幼女とカラスにはまだ名前をつけてないけど、名前はもう決めてあるよ」

「カ!?」

「……!!」

 

 カラスと幼女が、期待に満ちた目でこちらを見てくる。キラキラした眼差しで見てくるが、あまり期待はしないでほしい。

 

「まずは、カラス。君の名前は、『クロウ』だ」

「カー! カー!」

 

 これは、喜んでいるって事で良いのだろう。

 

「次は、幼女先輩。君の名前は、『楓かえで』だ」

「…………ん!」

 

 今、喋ったみたいでまだ、何か話しそうだ。

 

「…………あ……あるじさま」

「あ、あるじさま?」

 

 主さまとは真白のことだろうか。

 最初に話した単語が主さまとは、なんだか幼女に主さまと言われるとかなりやばい気がする。

 楓を生み出したから主では合っているが。

 名前を決まったのはいいが、楓の洋服を買う必要があった。真白の服を着せているが、さすがにサイズが合わない。ダボダボだ。召喚時に着ていた白装束はあるのだが、それ一着では今後困るだろう。なので楓には可愛い服を着てもらいたい。

 

「楓ちゃんの洋服も用意しなくちゃいけないんだけど、付き合ってくれないかな?」

「もちろんいいよ。私達のお下がりもあげるよ」

「ありがとう。助かるよ」

 

 朝食を食べ終えて、二人は幼女のためにお下がりの服を取りに真白は運ぶために手伝う。

 一時間後。二人のお下がりの服が入った段ボールを真白は運んできた。

 

「真白くん、楓ちゃんの洋服持ってきたよー」

「ぜひ着てください!」

「助かるよ、ありがとう」

「……! ……!!」

 

 

 二人は楓のために洋服を持ってきてくれた。洋服を持ってきてくれた二人に真白はお礼を言う。

 楓は何か言ってるかたぶんお礼を言ったのだろう。

 

「楓ちゃんのお洋服を買いに行きましょう!」

「……! ……!」

「わしらは留守番をしておこう」

「カー」

「瑠璃ちゃん張り切ってるね」

「瑠璃ちゃん、お姉ちゃん風吹かせて楽しいんじゃないかな」

 

 真白らは目的地の衣料品店へ来ていた。

 

「さあ、楓ちゃんの服を買いますよー! 私が見繕ってあげます!」

「……!」

「お兄ちゃん予算は!?」

「え? えっと、上から下まで全部、何着か必要だから……。四万円くらい?」

「おお、太っ腹です! よし、楓ちゃん! いざ、突撃ですー!」

「……!」

 

 ダーッ! と、子供服売り場へ駆けていく二人。なんだろう。子供が二人いる。

 

「大丈夫でしょうか……」

「瑠璃ちゃんも妹のような存在ができて嬉しいんだろうね」

 

 

「ほらほら、お兄ちゃんも早くー! スポンサーが似合ってるか見ないとダメですよ!」

「ははは……はいはい」

 

 結局、真白は瑠璃の主催するファッションショーに付き合わされた。

 瑠璃に言われるままに着せられていた楓だったが、式神でも好みがあるらしく、好きな服とあまり気に入らない服とでは、やはりテンションが違っていた。

 式神でもやっぱり、女の子なんだと。

 大量の服や靴を買い、その後、瑠璃たちとファミレスで食事をして、真白らは無事に帰宅した

 

 シロウはアストラルにログインした。

 神前試合のこともあり、あまりログインできていなかったが、週末に次のエリアボスを倒そうということになり、セレナ達は地道にレベルを上げながらも、スキルを成長させていった。

 シロウ達は【クリスタル洞窟】に来ていた。

 

「皆様、準備はいいですか?」

 

 セレナの声にみんなは頷く。

 ここのエリアボスはゴーレムで打撃系や刺突系に火属性が効きやすいと聞く。

 シロウは扉を開き、中に入っていく。すると正面に【クリスタルゴーレム】が鎮座している。

 警戒して武器や杖を構えて、少しづつ近づくとクリスタルゴーレムは動き出した。

 

「【火属性付与】【属性強化】」

「【スピードアップ】」

「【オーロラベール】」

 

 シロウはセレナ達に火属性と属性強化を付与し、ウェンティは素早さが上がる魔法をユキは防御力アップとダメージカットを全員にかける。

 クリスタルゴーレムは大きく吠え、大きな拳を振り下ろす。シロウ達は散開してそれを躱した。

 ズドンッ! と、殴られた地面が拳の形にめり込む。あんなのをまともにくらったらたまったもんじゃない。

 

「せいっ!」

 

 回り込んだヒナタが正拳突きをクリスタルゴーレムの足に叩き込む。クリスタルゴーレムはわずかに揺らいだが、すぐさまヒナタへその足を突き出した。

 

「きゃあっ!?」

 

 直撃を避けたが、それでもクリスタルゴーレムの足を避けきれなかったヒナタが何メートルも吹っ飛ぶ。すぐさまユキが駆け寄り、回復魔法をかけていた。

 

「【クロススラッシュ】」

「「【ストライクショット】!」」

「【ウィンドカッター】!」

 

 シロウは斬り裂き、ルリは矢を放ち、ウェンティは風の刃を放った。ある程度のダメージを通ったが、硬い長期戦になりそうだ。

 セレナが背後から襲いかかり、短剣を突き立てるが、ほんのわずかしかダメージが通らない。

 今度は比較的隙間が多い膝裏部分に短刀を突き入れる。

 

「私わたくしが引きつけますので、ユキ様とウエンティ様は魔法で攻撃を」

「「了解」」

 

 セレナがあえて囮の役を引き受ける。このパワーじゃ盾役のサキだってタダじゃすまない。セレナは一番効率がいいと考えたのだ。

 ユキに回復してもらったヒナタも立ち上がり、再びクリスタルゴーレムに向かっていく。

 セレナがクリスタルゴーレムの注意を引いてくれるが攻撃力が高くないので、なかなかクリスタルゴーレムの注意を引くのが難しい。

 少しずつだが、削れていってる。しかし地味な戦いだった。

 そんな油断を突くようにクリスタルゴーレムは腕から岩を飛ばしてきた。セレナはギリギリなんとか躱した。

 躱して躱して躱しまくる。余裕があればサキ達は敵愾心ヘイトが向かないようにしつつも、攻撃をする。セレナはその合間に何度も鉱石の継ぎ目に白銀のダガーを突き刺して、ダメージと敵愾心ヘイトを稼ぎつつ、注意を向けさせる。

 そうやって、クリスタルゴーレムの残りHPが三分の一以下に下がったとき、突然クリスタルゴーレムが大きく吠え、全身を覆っていた鉱石を四方八方に飛ばしてきた。

 

「【カバー】!」

「【防御障壁】」

 

 サキはセレナとヒナタを盾で庇い、ユキは自分達に飛んできた鉱石を魔法の障壁で守った。

 クリスタルゴーレムは今までの動きとは違う速さで突進し、サキ達に突っ込んでくる。

 

「なっ!?」

「がっ!?」

「くっ……!」

 

 クリスタルゴーレムの突進でセレナとヒナタは吹き飛ばされる。サキは【不動】のスキルで吹っ飛ばされはしなかったが、かなりのダメージを受けた。

 吹き飛ばされなかったサキにさらに追撃をかけようと、その大きな拳を振り上げた。

 

「【加速アクセル】」

 

 シロウはクリスタルゴーレムの懐に入る。

 

「【クロススラッシュ】」

 

 拳と剣がぶつかり合う。

 よろめいたクリスタルゴーレムが少し後退する。シロウは抑えきれなかった衝撃で吹き飛ばされて、倒れそうになったが踏ん張った。

 

「【全武装展開】【攻撃開始】」

 

 シロウは武装を展開して、発射された砲撃にクリスタルゴーレムはバランスを崩し、地面に倒れた。

 

「【ホーリーレイ】!」

「【サンダーストーム】!」

「【ストライクショット】!」

 

 倒れたクリスタルゴーレムへ向けてユキとウェンティの魔法が炸裂し、ルリの矢が当たる。そのチャンスを逃さないとばかりにヒナタとセレナにサキがスキルを発動する。

 

「【ブレイズキック】!」

「【セイクリッドブレード】!」

 

 飛び込んだヒナタが、倒れているクリスタルゴーレムの胸部に炎を纏った蹴りを入れる。それに続いてサキが光の剣を胸部に突き刺した。

 

『ゴォォォォン……!』

 

 低い断末魔の声を上げてクリスタルゴーレムはガラガラと崩れて、ゆっくりと光の粒子になっていく。なんとか倒した。

 ファンファーレが鳴り響く。

 

『エリアボス、【クリスタルゴーレム】の討伐に成功されました。

 

 討伐パーティの七名

 

【シロウ】

【セレナ】

【ヒナタ】

【ユキ】

【ウェンティ】

【サキ】

【ルリ】

 

 

 以上の方々に討伐報酬が送られます。討伐おめでとうございます』

 

 討伐成功をお知らせする個人メッセージウィンドウが表示された。

 それとシロウは討伐報酬を確認する。『クリスタル鉱石』と『鉄鉱石』が三つずつで、『土属性魔法【石弾】』のスキルオーブがあり、そして『ソルオーブ』を見つけた。

 ソルの塔を攻略するのに必要な鍵、ソルオーブの二つ目を手に入れた。

 

「ふえぇぇぇ! しんどかったよー」

「もう疲れたー」

 

 ヒナタとウェンティがその場でへたり込む。セレナとヒナタにサキは無事なようだ。

 

「みなさん、あれを」

 

 セレナが指し示す、クリスタルゴーレムを倒したことで扉が開き、次のエリアに進めるようになった。

 

「みなさま、お疲れでしょうが先に進みましょう」

 

 セレナの指示に従って、シロウらは階段を上る。

 

「あ、扉がある!」

 

 ヒナタが指し示す先の岩壁が一部大きな扉になっている。

 正面に立って取ってを押す。ギギギ……と重い音を軋ませながら大きな扉が開いた。

 全員がその扉をくぐり、ぐるりと岩場を回り込むような道を歩いていると、出口が見えてきた。

 出口が見えてくるとヒナタとウェンティは走り出した。

 

「……なにこれ?」

「不気味なんだけど」

 

 景色は、一面の荒野とそこに残る古びた墓標だった。

 薄暗く少し霧のかかったエリアは空からの月の光を受けて不気味に見える。

 このエリアは廃墟になった建物やアンデット系が多いと聞く。

 

「おー……ん?」

 

 景色を見ていたシロウが右手を握られてその方を向く。

 そこには見るからに顔色の悪いセレナがいたのだった。

 つまりよくあるホラーゾーン、それがやってきたのであった。

 

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