次のエリアはホラーゾーンだった。
シロウはホラーやグロい系は大丈夫だが、女性陣の方を見て見るとユキとセレナが顔を真っ青になっている。
「ユキとセレナって、ホラー苦手?」
「べ、別に怖くなんてない……です」
「ごめんなさい。私はこういうの無理……」
「セレナ、そんな顔を真っ青にしてちゃ説得力ないよ」
セレナがホラーが苦手なのは意外だった。セレナには苦手なものはないと思っていた。
「なんですか? ニヤニヤして気持ち悪い……」
「いやー、セレナにも苦手なものがあるんだなってね」
セレナは恥ずかしかったり、照れると罵倒してくる。まあセレナの愛情表現みたいなもんだと思い、気にすることはなかった。
「ふふふ」
「ホラーが苦手なんですね」
「お二人とも笑ってどうしたんですか?」
「可愛いところがあるなと思ってね」
サキとルリはセレナが可愛いと思った。
ユキとセレナはホラーが苦手で、サキとルリとウェンティは大丈夫みたいだ。
「この道はゾンビ系のモンスターが出てくるけど戦える?」
「む、無理かも……」
「無理です」
ユキとセレナは無理そうだ。
この二人はホラーがダメみたいなので、ここのエリアボスを早く倒して、次のエリアに行った方が良さそうだった。
ギルドの一人でもエリアボスを倒せばいけるので、セレナとユキの二人には別のエリアでレベリングしてもらうしかない。
周りを見渡すと、空は薄暗く曇っていて墓地がそこかしこにある。いかにもゾンビやスケルトンが地面から這い出てきそうである。
「それじゃあ急いで次の街に行こうか」
次の街に行こうとしたが、左右から柔らかいものに包まれる。右にユキが左にははセレナが腕に抱きついてきた。
二人ともどことは言わないが、かなり立派なモノを持っている。
「あのー、二人ともくっつかれると動きづらいのだけど……」
「ご、ごめんなさい。その怖くて……」
「別に怖くなんてないですから」
美少女であるユキとヒナタの二人にくっつかれて、シロウはドキドキする。
「シロウくん、モテモテだねー」
「両手に花だね!」
ドキドキするシロウにサキとウェンティがからかってくる。
「薄暗くて不気味だなぁ」
「レメはホラー大丈夫そう?」
「すこし苦手だぞ」
セレナとユキはきょろきょろと落ち着きなく視線を動かしている。
道中に墓地から【ゾンビ】や【スケルトン】が地面の中から現れるのだが、そのたびにセレナとユキの二人は悲鳴を上げる。
【スケルトン】はまだ骨だけなのでマシなのだが、【ゾンビ】は醜悪な怪物でグロテスクだ。
「【クロススラッシュ】」
「【ブレイズキック】!」
「【ウィンドウカッター】」
シロウは【ゾンビ】を切り倒していき、ウエンティは風魔法でまとめて薙ぎ倒して、ヒナタは火を纏った蹴り技を【スケルトン】に放っていく。
ゾンビを切っていく感触は人を切っているみたいで、なかなか嫌な感触だった。
ユキとセレナは戦えそうにないみたいでルリとサキに任せた。
道中アンデッド系を倒しながら進んで行くと、【廃都ネビエラ】に辿り着いた。
外観は廃屋だが、中に入ってみれば普通の店と変わらなかった。
「「はぁ……」」
セレナとユキのニ人は大きく息を吐くと、パネルを操作してログアウトの文字を表示する。
「では……シロウ様。ここのエリアボスを倒したら帰ってくるので……」
「ここのエリアボスは騎士くん達に任せていいかな?」
セレナ達は力なく微笑むと、シロウの返事も聞かず、逃げるように消えていった。
逃げるようにというよりは正に逃げた訳なのだが、それも仕方ないとシロウは思ったのである。
「セレナちゃん達とは探索はできないみたいだねー」
「ああまで言ったら……戻ってこなそうね」
今回ばかりは諦めて、シロウらは一旦解散して一人で町を見て回ることにした。
どっちに行こうかと左右を確認する。
「うん。セレナ達が戻ってきた時に全部教えられるくらい見て回ろうかねー」
シロウはそう意気込んで月明かりに照らされた夜道を歩いていった。
「うわあ……どこも廃屋ばっかり。多分中は普通なんだろうけど……ひゃっ!?」
時折ある完全に崩れ切った廃屋跡の側を通ると、首筋を生温かかったり冷たかったりする風がふわっと撫でるのである。
シロウが後ろを振り返ってもそこには何もいなかった。
「これ、セレナとユキは町も歩けないかも」
窓には青い人魂がちらっと映ったりもして、鋭い感覚を持ってしまっているセレナは、そういうものに余計に気づいてしまうのである。
シロウが探索をしている頃。
現実世界へと戻ってきたセレナはベッドに寝転がっていた。
「……無理です。別にいいですよね、他の階層でレベリングしてれば」
セレナはは未練などないというようにごろごろとしていたが、しばらくすると情報を調べ始めた。
そうしてまず出てきたのはMP増加系のスキルが手に入るというものである。
「シロウ様が取りますかね……欲しいですけど……レイス? スケルトン? ……無理です」
出現する敵を見てセレナがそう独り言をこぼす。
セレナはその後も情報を確認していく。
まだほんの僅かしかないものの、分かりやすい場所で手に入るものは調べることができた。
そうして出てきたのは、状態異常を与えられるようなスキルに、低確率で一部アイテム効果を二倍にするスキル。【AGI】強化に、加速スキル。
そして、空中に透明な足場を一つ作ることが出来る靴である。
「はぁー……」
ため息をため息を吐きながら、セレナは画面を指でなぞって確認する。しかし、そこに書かれている文字は変わらなかった。
そうしてセレナは再度ゲームを始める準備をしてはそれを止め、もう一度始めようとしては止めを繰り返して部屋をぐるぐると歩き回った後、最終的にその日はぐったりとベッドに倒れこんだのだった。
現実に帰還した真白は目を覚ました。
「おお、戻ってきたか」
「……! ……!」
「カー」
ログインしている間琥珀は真白の様子を見ていた。
「しかしそのmimiとやらは不思議じゃの。それを使えば仮想現実とやらに行けるのは」
「すごい技術だよね。現実と変わらない体験をできるなんてさ」
琥珀とクロウと楓はmimiに興味があるようだ。
興味を持ってもらえているため、是非とも琥珀達と一緒にアストラルをプレイできたら嬉しい。
楓は式神だが人型なので問題はないはずだ。琥珀とクロウと琥珀がプレイできるのかは疑問に思うのだった。
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