レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトと事故処理

「末長くよろしくお願いしまっす!」

「うん? はい、お願いします」

 

 少々不思議な挨拶をされたものの、真白は特に気にしなかった。

 

「ちょ、解剖って!? こいつらシスベルさんを解剖しようとしていたの!?」

「はい、神が宇宙人説を証明しようとなんか暗躍してました」

「……なんかの宗教かなにか?」

「さあ? わからないです」

「異能者がいるのは確認してるんで、そいつらは私に任せてほしいな。悪いようにはしないから」

 

 ちらり、とウィルを窺う。

 彼は頷いてくれた。

 

「じゃあ、よろしくお願いします」

「いや、真面目な話だけど、宇宙的ななんかで記憶消してチャラにはできないんじゃないかな。よくわかんないけど、グレイとの遭遇とかお父さんにしか話せないし!」

 

 確かに、宇宙人とはいえ誘拐をしているし、結果的には殺害もしていただろう。

 解剖を企むなど、ただの殺害よりもタチが悪い。

 しばらくお勤めするか、記憶と一緒になにもかも脳を白紙にしてもらって人生やり直したほうがいいと思う。

 

 星宮雅の車に真白たちは乗り込んで、神原家に向かっていた。

 龍翠が呼んでくれた星宮署長という人が、雅よりも頼りになりそうな警察官と術師を複数名連れてきてくれたおかげで、現場を引き継いだものの、さすがに「宇宙人」の存在には顎が外れんばかりに驚いていた。

 一通り、問題も丸投げしたので帰ろうと思ったところ、ウィルとシスベルもご一緒したいと言ったので雅に送ってもらっていた。

 急に三人も連れて帰って、しかもふたりは宇宙人なんだけど、と頭を抱えていると、なんとウィルとシスベルは人間に擬態できるそうで、さっそくしてもらった。

 すると、金髪碧眼のイケメンと、美女が現れたではないか。

 雅も笑顔がよく似合う美人だ。

 運転席に雅が、助手席に真白。膝に琥珀とクロウを乗せる。楓はジャックとナンシーに挟まれて後部座席だ。 側からみると親子に見える。

 しばらくして、真白の家に車が到着した。

 

「ただいま〜」

「おかえりなさい! 怪我はない?」

「おかえりなさいお兄ちゃん!」

「おかえりなさいませ。無事に解決できたのですか?」

「うん、無事にウィルの恋人であるシスベルさんを救出できたよ。この通り怪我もしてないよ」

「それで真白様、その後ろにいる三人の方は?」

「ああ、どうも初めまして琥珀さんの要請を受けてきた星宮雅です」

「人間に擬態しているがウィルだ。紹介しよう私の婚約者であるシスベルだ」

「初めましてシスベル・ユークリアですわ」

「初めまして、私はセレナと申します」

 

 無事にウィルの恋人であるシスベルを救出できた真白はセレナ夕食を交えながら話すことしたのだった。

 

「それじゃあ私はこれで失礼するね」

「星宮様、よかったら夕飯食べて行きませんか?」

「雅でいいよー。お邪魔しちゃっていいの?」

「もちろんです。真白様を送ってくださいましたので、ぜひ食べていってください。まだお仕事中でしたか?」

「いや、そうじゃないんだけど」

 

 送るだけ送ったら帰るつもりだったのか、雅は食事に誘われて少し戸惑い気味だ。

 

「真白くん、食べていっていいのかな?」

「いいですよ。セレナが良いって言ってますし。雅さんも一緒に食べましょう。いろいろお疲れ様ってことで」

「真白くんまで……じゃあ、遠慮なくご馳走になるわ!」

 

 今日の夕飯はカレーだ。真白は空腹でお腹がペコペコだった。

 

「では温めてなおすので少し待っててください」

「何か手伝えることある?」

「真白様は休んでいてください。大変だったでしょうから」

「それじゃあお言葉に甘えて」

 

 宇宙人との出会いや異能者との戦いで、精神的にも肉体的にも疲れはしたのでセレナの言葉に甘えて任せた。

 

「いやー、食べた食べた。満腹! 最近は、仕事が忙しくてちゃんとご飯食べていなかったから、まともなもの食べられるとかラッキーだったよ。セレナちゃんありがとうねー」

「満足していただいたようでよかったです」

 

 全員満足した様子で口にあってよかったとセレナは思った。

 

「ごちそうさまでした。それじゃあ私は帰るね。もし何かあれば連絡してねー」

「よかったら泊まっていきませんか?」

「え? 迷惑じゃ」

「ウィルとシスベルさん泊まりになるって聞いているし、部屋も余っているからよければですけど、どうぞ」

「いやー、なんかすまないね」

「いえいえ。雅さんには助かりましたし」

 

 それに雅には色々と聞きたいがあるのだ。

 

 真白のジャージを着る雅は、ベッドに腰を下ろす。

 雅に話があって部屋に来てもらったのだが、歳上の綺麗な女性と夜の自室で二人きりというのはなかなか緊張する。

 ウィルとシスベルもお風呂の後、少し早めに休むそうだ。

 そんなわけで、お風呂上がりの雅と向き合いちょっと緊張気味の真白だ。当たり前の匂いだと思っていた、シャンプーやボディーソープの香りが雅から香ると、胸がドキドキするのはなぜなんだろうか、とぎこちなくしている。

 

「んで、話ってなにかなー?」

「えっと、こういうことを聞いて良いのかどうかわからないんですけど」

「……お姉さんのスリーサイズが聞きたいのかなー?」

「じゃなくて、ちょっと真面目なお話なんですけど」

「ん、わかった」

 

 真面目な話だと伝えると、ベッドの上で背筋を伸ばして話を聞く体勢になってくれた。

 

「警察って、能力者がその力で悪さをしたら取り締まるんですか?」

「あー、そういう話ね。正直なところ、場合場合かな。力を使って傷害や殺人とかなら捕まえてぶち込むの。院って知ってる? 能力者の互助組織みたいなところなんだけど、そこに能力を封じることのできる人がいるんで、お願いする場合もあるね。ときどき、人としての範疇を超えた犯罪をするバカがいるんだけど、そういう場合は……高校生に言うことじゃないんだけど、最悪ぶっ殺したり、副作用とか気にせず能力を二度と使えないようにぶっ壊すとかするの」

「力を破壊?」

「私は対応したことがないんでわからないけど、力を奪うとかじゃなくて、封じるとかでもなくて、霊能的な力をまるっと使えなくしちゃうようにぶっ壊すんだって。ま、いろいろ障害が残っちゃうから終手段のひとつね」

 

 なるほど、と真白は頷く。

 

「すみません、変な話しちゃって」

「いやいや、全然構わないよー。おねーさんだからねー、相談くらい余裕。さてと、真面目な話もしたんで──お部屋チェックでもして気分転換しますか!」

「お部屋チェックって……」

「エロ本をどこに隠しているのか探す、宝探しゲームみたいなものだよ!」

「こらこら、人の部屋を漁らないでくださいよ」

 

 部屋を漁り始めた雅に真白は注意する。

 真白の部屋にはそういった物は置いてない。紗希と瑠璃に見つかると後で面倒で大変だからだ。

 

「んー、全然ないね」

「見つかると大変なのでないですよー」

 

 体の疲れはほとんどないがこの日真白は宇宙人との邂逅があり精神的な疲れがあったのだった。

 

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