「雅さん、僕が作業してる時は、いきなり抱きついてきちゃダメですよ」
「ごめんなさい」
習得した『玩具』の実験中、雅が抱きついてきたのである。背中に二つの柔らかいものを感じて、動揺したせいで、力加減を間違えてしまった。
「今度から気をつけてくださいね」
「はーい、ごめんね」
先ほどまでフリーズしていたのだが、今はなんとも無いようだ。壊れてはいないらしい。
スマホは大丈夫なのだろうか? 先ほどまで周囲をキョロキョロしていたのだが、今は全く動いていない。
◇
「そういえば、キミは何を食べるの?」
ふと疑問に思ったので、動き出したスマートフォンに聞いてみた。
「食ベ物ハ、イリマセン。充電シテ頂ケレバ、問題ナイデス。適正電圧ダト、嬉シイデス」
「なるほど。それが味みたいなもんなのかな?」
真白はスマホの会話機能とお話ししてるわけじゃない。本当に意思を持っているのだ。
なぜスマホが意思を持っているかというと、スマホに『玩具』を試そうとした際に、力加減を誤ったのである。他の物で実験をしていた際は成功したので、つい調子に乗ってしまった。
スマホに試した時は、クロウや楓を生み出した時と同じ感覚がしたので、多分ずっとこのままだろう。
要約すると、新しい家族が増えたのだ。
「ま、巨大ロボットとかじゃないから、いいかー」
今は普通のスマホ形態だが、トランスフォームすると手のひらサイズのロボットになる。
三頭身で、胴体と顔がディスプレイになっており、色は白とシルバーを基調としている。そして、顔には黒い点のような目が2つだけ付いた姿だ。
「マスター」
「ん? どうしたの?」
スマホの方から話しかけてきた。
「僕ハ、何トイウ名前ナノデショウカ?」
「名前?」
そういえば、まだ決めてなかった。
スマホの機種の名前にするのも味気ない。名前……機械、スマホ、コンピュータ、人工知能。
名前を思いついた。
「AIのアイからとって『アイ』でどうかな?」
「アイ。僕ハ、『アイ』デス!」
アイは喜んでくれているようで何よりだ。
「アイか、儂は琥珀だ。よろしくな」
「カー!」
「……クロウ様で私は楓にございます」
「セレナです」
「紗希だよー。よろしくね!」
「瑠璃です。よろしくお願いしますね!」
「ウィルだ」
「シスベルです」
「雅だよー。よろしくねー」
「琥珀サン、クロウサン、楓サン。セレナサン、紗希サン、瑠璃サン、ウィルサン、シスベルサン、雅サン、ヨロシクオ願イシマス」
アイに絡むみんなの姿を見ながら、思わず笑みがこぼれる。
少し騒がしいが、とても心地良い気分だ。
「それにしても……」
巨大ロボットじゃなくて本当によかったと思う。
「姉さんと瑠璃ちゃんは驚かなくなったね」
「今後も大変なことが起こると思うから、驚いていたらキリがないよ」
「ですね。もうお兄ちゃんに何があっても驚かないと決めましたから」
二人は半ば諦めの境地でいたのだった
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