レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

77 / 103
プリンセスナイト対エンデヴァー

『空間跳躍』を使い、真白は家の前に転移してきた。

 

「一瞬で場所が変わった!?」

「なんですかこれ!?」

「後で説明します」

 

 二人は一瞬の風景が変わり驚いていたが、舞花がエンデヴァーの足止めをしてもらっているので説明する暇がない。

 

「カー!」

「主さまー!」

「真白様」

「真白くん」

「お兄ちゃん」

「大丈夫か」

「真白さん大丈夫ですか」

 

 真白の気配に気がついたのか、クロウと楓にセレナ、紗希と瑠璃にウィルとシスベルが駆け寄ってくる。

 

「ごめん、悪いけど叶魅さんと皐月さんをお願い。それと家の外には絶対に出ないで、家には結界が張って安全だから」

 

 エンデヴァーは厄介な相手だ。傷は完治しておらず、本調子ではないだろうが油断はできない相手だ。

 真白は再びエンデヴァーの元へ転移した。転移して戻ってくると舞花はエンデヴァーに締め上げられていた。

 

「舞花さん!」

「……戻ってきたか。少しは退屈しのぎにはなったぞ」

 

 そう言ってエンデヴァーは舞花を投げてきた。急いで駆け寄って抱き抱える。

 

「はあはあ、……ゲホッゲホッ……神原くん……ごめんなさい。大した足止めはできなかった……」

 

 舞花はものすごく悔しそうにしている。

「アイ」

『ハイ』

「アイは少し下がって、舞花さんのそばについててほしい。離れすぎないで」

『了解デス。マスター』

 

 舞花を離れた距離に下がらせて、アイに任せる。

 真白は警戒しつつ拳を構えて、エンデヴァーを睨みつける。

 

「ルチルからは関わるなと言われてるが、この状況じゃ仕方ないだろう」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、エンデヴァーが拳を構えた。なるほど、こちらの事情は関係ないわけだ。

 叶魅達を襲ったのは許せないし、そちらがやる気なら受けて立つ。

 舞花その横へ鞄とアイを置く。

 そして、真白も拳を構える。

 

「いくぞ!」

 

 素早い足運びとともに、いきなり眼と喉を突かれそうになる。ギリギリのところで躱す。

 エンデヴァーは的確に膝や鳩尾を突いてくる。

 最初の構えからボクシングかと思ったが、違った。ジークンドーか。

 

「タフというより、ダメージが無効化されてるみたいだな。それも陰陽術か?」

「企業秘密です!」

 

 この前のシルクハットと違って、この人は『陰陽術』を知ってるみたいだ。

 先ほどから死んでもおかしくないほど急所を突かれているが、『身代わり札』のおかげで無傷だ。

 しかし、枚数には限界がある。やられっぱなしではいずれ負ける。

 

「こちらも反撃させ……ゴハッ」

「反撃の暇は与えない」

 

 首を掴まれ、アスファルトに叩きつけられた。背後には、重機ロボの鉄拳と同じくらいのクレーターが出来上がっている。

 首を掴んだまま真白を地面に押し付け、反対の腕で拳を放ってきた。

 

「このっ!」

 

 だが、黙ってやられるつもりはない。首を掴むエンデヴァーの腕を掴み返し、巴投げの要領でエンデヴァーを蹴り飛ばす。

 

「攻撃の無効化に怪力か。報告では、空飛んだり斬撃飛ばしたりもできると聞きまていたが、厄介だが面白い」

 

 困ったようなセリフを吐きながらも、エンデヴァーの笑みは深まっていく。バトルジャンキーだ。

 

「俺を楽しませてくれよ!」

「ちょっ、まっ!」

 

 エンデヴァーは、こちらの意向など無視して容赦無く攻めてくる。

 空手にムエタイに中国拳法。技のデパートだしかも、そのどれもがかなりのレベルだ。

 

「がっ、ぐはっ……」

「ふん、この程度か?」

 

 神様が強化してくれた身体能力に『強化』の異能を重ね掛けしても、パワーは互角。

 その為、純粋な武術の熟練度と戦闘の経験差で押し負けている。

 

「くっ……!」

「多少は武術の心得があるみたいだが、無駄だ!」

「がはっ」

 

 真白が放つ拳も蹴りも、難なく躱され倍になって返ってくる。

 その度に繰り出してくる技を習得してはいるが、その技は相手の体格と体重に馴染んだ動きなため、真白使用すると僅かなズレが生じる。

 動画で習得した技も同じだ。オリジナルには敵わないのである。

 こんな事なら、ちゃんと鍛えればよかったと真白は後悔する。

 

「『アストラルバインド』『捕縛』『鈍足スロー」

「鬱陶しいが、効かん!」

 

 エンデヴァーを拘束する。しかし動きを止められたものの拘束を解かれてしまう。

『鈍足スロー』もあまり効果がなく、少し動きが鈍くなった程度だ。

 

「ほいっ!」

「背負い投げか。柔道の心得もあるようだな」

 

 大男の襟を掴み、一本背負いの体勢に入る。真白のほうが小柄な分、懐へ侵入しやすいのだ。

 

「だが、悪手だな」

「ガッ!」

 

 しかし、エンデヴァーに背負い投げは成功しなかった。

 さらに、生じた隙を突かれて蹴り飛ばされた。めちゃくちゃ痛い。

 

「まだだよ」

「いいタックルだな」

 

 痛みを堪え、すかさずタックルを仕掛ける。

 しかし殴る蹴るの応酬で、無理やり引き剝がされた。

 

「ガッ!」

「やれやれ、こんなものか? 琥珀はこの程度ではなかったぞ」

「うるさいですね。こっちは元々一般人なんですよ」

 

 真白は高い身体能力と一見見るだけで対象の技能、能力を習得はできるが熟練度が低い。

 琥珀は数百年生きる伝説の妖で戦闘経験が豊富だ。

 そして楓は純粋な正面戦闘では最強クラスの戦闘力を持つ。異能や陰陽術を使っても勝てるかどうか怪しい。

 

「『分身』」

「ふっ、今度は何をするつもりだ?」

 

 瞬時に十人まで分身する。全員でエンデヴァーを囲み、襲いかかる。

 一人、二人やられては分身を出しては、殴る蹴るを繰り返していく。少しずつだが確実にダメージを与えられている。

 

「チッ、鬱陶しい」

「『機神』『全武装展開』『攻撃開始』」

 

 爆音と共に全ての武装が火を吹く。

 分身達は一目散にエンデヴァーから離れた。

 砲撃がエンデヴァーに直撃した。一発一発の威力は高くない。普通の人間に撃ったらまずいが、相手は『強化』の異能者、身体能力が強化されているので、死ぬことはないが無傷とまではいかないだろう。

 煙が晴れると、エンデヴァーは立っていて服はボロボロになっている。

 ところどころ血が滲み出て傷が開いてきている。

 

「ふははは、面白い! もっとお前の能力を見せろ!」

「攻撃……がはっ!」

 

 エンデヴァーはさらに闘志を燃やして、分身をものともせずに真白に容赦なく攻める。

 こちらも応戦していくが、段々と苛烈になっていく。

 殴る蹴るの応酬を繰り広げていく。

 

「いい加減諦めてください」

「甘い甘いな! 戦いで死ねるのなら本望だ!」

 

 叶魅達を襲ったのは許せないが、死んでほしくはない。

 エンデヴァーもそれなりにダメージを食らっているのに、倒れる気配がなく、なかなかのタフだ。

 

「『アストラルバインド』『アイスバインド』『捕縛』」

「無駄だ!」

 

 エンデヴァーを拘束したが、またすぐに拘束から無理矢理振り解いた。

 一瞬だけでも動きを止められただけでも良かった。

 

「『加速アクセル』」

 

 動きを止めたエンデヴァーに急接近を仕掛けた。

 

「『フレアフィスト』!」

 

 スピードと重心、力を乗せてエンデヴァーに殴りかかった。

 拳がエンデヴァーの体に触れた途端、爆発を起こして燃えた。

 

「見事だ……」

 

 そう言い残してエンデヴァーは倒れた。

 

「や、やっと倒せた〜。うへえー、制服がボロボロだよ〜」

 

 かなりの辛勝だったが、なんとかエンデヴァーを倒せた。戦いの緊張が消えて、真白は地面に座り込む。

 持っていた身代わり札は全て使い果たしてしまった。家にはストックが残っているが、補充する必要がある。

 エンデヴァーが万全の状態だったら勝てなかっただろう

 今すぐにでも家に帰ってベッドに倒れ込みたいが、まだ事件は解決していない。

 

「マスター、無事デスカ!?」

「神原くん、大丈夫!?」

「大丈夫です。緊張が解けただけなので」

 

 戦いを終えると、アイと舞花人が駆け寄ってくる。

 

「舞花さんも怪我とかは大丈夫ですか?」

「うん、神原くんが身代わり札を渡してくれたおかげで怪我はないよ」

 

 エンデヴァーと戦う前、舞花と合流した真白はその時に身代わり札を渡しておいたので、舞花に怪我はなかった。

 真白は立ち上がり、エンデヴァーのところに向かった。

 

「『擬似・水療波』

「なぜ治療をした?」

「まだ意識あったんですか。タフですね」

「動けないがな。いいから答えろ」

「命令とはいえやったことは許せないですけど、敵であっても死んではほしくないですから」

「ふん、甘いな」

「叶魅さん達が心配なので、僕は家に帰りますが、舞花さん達はどうしますか?」

「私も楓原さんと月詠さんが心配だから寄ってもいい?」

「はい、もちろんです」

「あとの事後処理はお願いします」

「お任せください舞花様」

 

 術師に事後処理を任せた舞花は真白に連れられて、家に転移したのだった。

 

 To be comtinued

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。