レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトと事件解決

ここは櫻川丘の病院。

一葉は念の為、病院で検査を受けるために水瀬家の術師に病院まで届けられた。

 

「叶魅! 皐月!」

「お兄ちゃんが無事でよがっだ! よがっだ、よおおおお!」

「一葉くん無事だったんですね。…よかった……!」

 

一葉、叶魅、皐月はみんな無事に再会できたことに喜ぶ。

無事に再会できたことで叶魅は感極まり、涙が溢れ出た。

再会を喜ぶ三人に、真白と舞花は見守っていた。

 

「ふふふ、無事に再会できてよかったね」

「そうですね」

 

みんな無事だったことに喜びつつ、真白と舞花は帰ろうとした。

 

「神原に水瀬さんだっけ、二人のおかげで助かったよ。君たちが助けてくれなかったら今頃、僕たちは組織に捕まっていただろう。本当にありがとう」

「「ありがとうございました!」」

「当たり前のことをしただけですよ。なので頭を上げてください」

「そうですよ。私は神原くんの様に、大して役には立ちませんでした」

「そんなことはないよ! 水瀬さんが来てくれなかったら、私たちは捕まってたわけだし」

「そうですよ。そんなこと言わないでください。もし連れ戻されてたら、地獄の様な日々に戻るだけでした」

 

舞花が足止めしてくれたおかげで、真白はエンデヴァーに勝つことができたのだ。なので舞花が役に立たなかったことなんてないのだ。

 

「この度は助けてくれてありがとございました。この恩は一生忘れない」

 

真白と舞花はお礼を言われて二人は照れるのだった。

 

 

 

「えー、それでは……一葉くんの救出成功を祝して…かんぱーいです!!」

「……乾杯」

 

ノノミはお酒を片手に、祝杯をを掲げた。

 

「にしても、本当に一葉くんを助けられるなんて、ビックリでしたね」

 

 戦闘が行われていた仮設支部の監視カメラをハッキングし、状況を観察していたノノミは、驚きの声を漏らす。

 

「全くだ。その高校生くんと白い猫以外にも、化け物じみた強さの幼女やカラスまでいるとは思わなかった。しかしびっくりだな…」

 

 ノノミと同じくその映像を見ていたキョウヤも、その事実に驚愕する。

 

「何がですか?」

「すんなりお前の目論見通りになったことがだよ。あんな不審なメールを信用した、神原真白さまさまだぜ」

「なぁっ……!? しつれーですね、キョウヤはッ!」

「ノノミ、大丈夫か?」

 

 筆をしたためるノノミの姿を目にして、キョウヤは彼女を心配した。

 

「大丈夫か? って何ですか? キョウヤ失礼ですねー。私だって手紙くらい書きますからね!」

「手紙くらいって、書いてるの初めて見るぞ」

 

 それどころか、筆記用具を持つ姿すら初めて見たと、キョウヤ心の中で思った。

 

「神原くんには本当に感謝してますからね。だから、彼が一番欲しがっているだろう物を送ろうと思いまして、それに約束しましたからね。だから、一筆添えているんです」

「まぁ、確かに約束したもんなぁ。確かに無駄にはならない物だな」

「ですよね!」

 

 ノノミが封筒に詰める報酬を見て、キョウヤは苦い笑いを浮かべる。

 

「それではこれを送るとしましょう。それじゃっ、ポストに入れてきますね!」

「ちょっ!『捕縛』」

 

 ポストへ投函するためにキャンピングカーから飛び出そうとするノノミを、キョウヤはあわてて『捕縛』した。そして、手に持つ封筒を取り上げる。

 

「やっぱりか……ノノミ、これじゃ届かないぞ」

「え?」

 

ノノミが出そうとしていた封筒には切手が貼られておらず、宛先すら書かれていなかった。

 

「あははー。手紙って、出した事ないので……」

「……教えるよ。それと、次からは俺の確認をとるようにしてくれ」

 

 電脳関連の知識は一流の技術者すら上回るノノミだが、それ以外の知識や常識については非常に疎い。

 そんな彼女を、キョウヤはいつも通りサポートするのだった。

 

 

 

 

『昨夜、櫻川丘市のビルが倒壊するという事故が……』

「チャンネル変えよう」

「うむ、そうだな」

 

 真白達が帰ってきてから一夜明け、今はみんなで朝食中だ。

 オムレツにご飯と味噌汁そしてサラダ、いつもの朝の風景である。

 

「『デウス・エクス・マキナ』だっけ? 叶魅さん達の件、無事解決したんだよね?」

「ああ、『次に何かしてきたら、この程度では済まさんぞ!』と言っておいた。また真白やウィルも彼らにちょっかいをかけてくる可能性は、低いはずだ」

「ふぃー……それならよかった。また一葉さん達を狙う可能性はあったりするのかな?」

「ふぁー……。しばらくはないと思うよ」

「あ、雅さん、おはようございます。事故処理お疲れ様です。ありがとうございます」

 

眠そうにしながら雅は起きてきた。

 

「もう、昨夜は大変だったんだから、ビルの倒壊に警察内部の組織の工作員の摘発と」

「警察内部に組織の者がいたんですか?」

「そうなんだよね。上層部の方も癒着している人たちがいてさ」

「それはお疲れ様です。戦いになったりとかしたり?」

「まあ抵抗する人たちもいたけど、うちには対異能対策課があってね。簡単に言えば、超常現象や異能者と戦う部署があるの。その人たちがいたから簡単に制圧できたけどね」

 

そんな対策部署があるのかと感心する。

 

「うーむ、戦力が減ったこともあるから、当分はないと思いたいの。別のやり方でやるかもしれんが、すぐには実行とはならないからそこまで、心配する必要はないか」

「しばらく襲ってこないなら、とりあえずよかった。平和に過ごせたらいいな」

 

もう戦うのは懲り懲りだ。平穏な生活をしていたい。

 琥珀達との雑談を終えると同時に、学校の支度も終えた。

 

「んじゃ、いってきます」

「イッテキマス」

「いってくるね!」

「いってきます!」

「うむ、気をつけていってくるのだ」

「カー」

「いってらっしゃいませ主さま」

「いってらっしゃいませ」

「いってらっしゃい」

「いってらっしゃいませ」

 

 異能者に襲われないよう祈りつつ、今日も真白達は元気に登校するのだった。

 

 

 

 

異能組織『デウス・エクス・マキナ』本部の司令室では、組織の総責任者であるターコイズに、各部門の長を務めるベリル、トルマリンの3名が会議を行っていた。

 

「ターコイズ様、ブレイブシリーズの整備が完了しました。『結合』の捕獲は私が……」

「ベリルよ、もうよい。奴らからは、完全に手を引け」

「なっ…!?」

 

 ターコイズの言葉に、ベリルは驚愕する。

 『付与』と『寒熱』は諦めるとしても、『結合』の異能者は組織の目的を達成する上で必要不可欠な存在であるためだ。

 

「な、なぜですターコイズ様! 達成は目前ではないですか! 我らは長年かけて集めた『神力』を『結合』の異能によって我々に融合させれば、神へと至る事ができるのですぞ!?」

 

 あと一歩のところまで迫った『神へと到る道』。それを目前にして諦めきれないベリルは、ターコイズの決定に異を唱える。

 

「……っ。お願いします! 『結合』捕獲の許可を! 私とブレイブシリーズであれば、必ず…!」 

「ベリル、ターコイズ様に失礼よ。いい加減控えなさい」

「……っ。しかし…!」

「ベリル。おかしいとは思わないか?」

「というと?」

「報告書に書いてあったが、神原真白は陰陽術に複数の異能が使えると書いてあった。本来『術』と『異能』では原理が異なる。その二つは同時に取得できるものではない」

「!? まさかッ……」

「ああ、神原真白は『神の異能』…もしくは『神術』を使える可能性が高い。神原真白……奴はそれだけ危険な存在だということだ」

「……ターコイズ様、申し訳ありませんでした」

「よい、お主の意見はもっともだ。だが、今回の一件で神原真白と彼の仲間達がいかに危険な存在であるかがわかった。故に、これ以上関わるのは得策ではない」

「しかし……」

 

 歯切れの悪い返事をするベリルを納得させるため、ターコイズは説明を続ける。

 

「それだけではない。道内の各機関に潜入させていた工作員が、このタイミングで次々と逮捕されている。これ以上作戦を続行すること自体も難しいのだ」

「そ、そうだったのですか?」

「うむ。おそらくだが、情報操作に長けた使い手もいるのだろうな」

「物理戦闘だけでなく、情報戦に対応できる存在まで……」

 

 ここまでの説明を聞き、ベリルはどれほどの存在を相手にしていたのかを認識したのだった。

 

「ベリル、ターコイズ様のお考えがわかったかしら?」

「わかりました。そこまで考えが至らず、申し訳ありません」

 

 納得した様子を示すベリルを見て、ターコイズとトルマリンは頷く。

 

「それでは、神原真白とその周囲への干渉は今後禁止とする。それで良いな?」

「「はっ!」」

 

 ターコイズの決定に、ベリルとトルマリンは賛同した。

 

 

 

 

「さてと、私達も業務に戻りましょうか」

 

 ターコイズが退室した後の会議室では、トルマリンが立ち上がりながら口を開いた。

 

「……」

「ベリル、どうかしたの?」

 

 返事のないベリルの様子に、トルマリンは怪訝な表情を浮かべながら声をかける。

 

「いや、なんでもない。業務に戻るとしよう」

「……そうね」

 

 トルマリンは不思議に思いながらも、特に追求する事なく部屋を後にした。

 

「神に……私は、神に」

 

 この時、ベリルが抱いていた野心に気づいた者は、誰もいなかったのだった。

 

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