レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトと冥王と調査局員

 ■地球には宇宙人がけっこうお忍びで来ている。

 ■銀河には大きな二つの組織、【惑星連合】、【宇宙同盟】がある。ラピスが住む【トリニティア】は六王と呼ばれる魔族がいて強大な力を持ち、他の惑星からは恐れられている。

 ■ウエンディは【惑星連合】の下っ端調査員、ラピスは【六王】の一人で【冥王】と呼ばれている。

 ■ 【アストラル】は宇宙人と七冠セブンクラウンズが共同で開発した。

 ■七冠の一人である幻境竜后ウィジョンズエンプレスは宇宙人で何かを企んでいる。

 ■ 【アストラル】のNPCは全員宇宙人が宇宙からログインしている。

 ■ 【アストラル】を利用して、『監視者ウォッチャー』とやらが、地球人を観察している。

 ■宇宙人は地球のどこの国とも組織的には繋がりはない。

 ■宇宙人たちは地球人が宇宙に進出することについてどうするか意見が分かれている。

 ■ラピス達は基本的にはプレイヤーに不干渉。

 ■【宇宙同盟】は地球人が宇宙に進出するのをあまりよく思っていない。

 ■ウエンディの【惑星連合】は概ね友好的。

 

 いろんなことがわかったけど、相変わらず真白の頭は混乱している。

 これらを知った真白はどうすればいいんだろうと思う。

 

「変に吹聴しないほうがいいよ。頭がおかしくなったと思われるし、過激派に目をつけられるかもしれないから」

「うん、そんなことはしないけど……。いやいや、過激派ってなに!? もしかして危険なの、僕」

 

 ラピスは万が一に備えて、とうちにカノンとノインをボディガードに置いていった。それはこのことを知った真白に、なにかしら危険があるということで。

 

「いるんだよねー。中には危険な芽なら今のうちに摘んでしまえ、という輩が」

「え、それって人類を絶滅させてしまえってこと……?」

「あ、あくまで一部の人たちだよ!? ほんとに少数の意見だから! 理由もなくそんなことをしたら、とんでもないことになるから誰も賛成しないよ!」

 

 ウエンディがフォローしているが、それって理由があればやっちゃうってことじゃないだろうか。

 

「あはは安心していいよ。そんなことはボクがさせないから。……さて、そろそろボクは戻るとするよ。二人とも、ちゃんと真白くんたちを守るんだよ?」

「もちろんです。お任せください」

「任せるがいい。必ず守る」

「じゃあまたねー」

 

 目の前でミヤビさんが光に包まれたと思ったらふっと跡形もなく消えた。

 ウエンディが大きく息を吐いて、その場にへたり込んだ。

 

「っ、ぶはぁぁぁぁ────…………っ! こ、殺されるかと思った…………!」

 

 真っ青な顔をしてウエンディが自分の身体をかき抱く。いや、殺されるって大袈裟だな。

 暴君には見えないし優しい人にしか見えない。

 

「真白はあの人のこと知らないから! 攻めてきた100万の軍勢をたった一人で壊滅させた話があるんだよ!? あの人が本気になったら、地球なんか一人で制圧されちゃうよ!」

「そんなこともあったな。だがラピス様は誰も殺す事はなく『元気なのは良いけど、周りに迷惑かけちゃ駄目』とだけ注意してを解放したぞ?」

「冥王は装備もなく、素手でやってのけるくらいできちゃうよ。アメリカ大陸くらいなら二秒で焦土と化すと思う」

 

(ちょ……! 秒って…… 単位がおかしくないですかね!? あの人はなんだ、宇宙最強生物か?)

 

 ラピスはきっと怒らせたら怖いだろうが、まだラピスのことを全ては知らないが優しいのに怖がる必要があるのだろうか。

 強大な力を持っているから恐れているのかもしれない。

 

「そう怖がらなくても、ラピス様は非常に優しい方だから恐れる必要はないよ」

「まあ、話してみて優しい人っていうのはわかりました」

「ラピスに対抗できる人っているの……?」

「何人かはいると思うよ。宇宙には肉体も寿命もない全知全能な高次元生命体もいるから。まあ、そういう種族ほど、他の異星人と関わらないんだけどね」

 

 高次元生命体、神の存在とかだろうか。

 ウエンディの言葉にあらためて宇宙のトンデモなさを痛感した。

 とりあえず落ち着くために、自分とウエンディ、カノンとノインの分のお茶をいれる。焙じ茶だ。

 しかしウエンディが宇宙人だとは普通に人間に見えるけど、ひょっとしてこの姿も擬態とか。

 ウィルとシスベルの二人のようにグレイだったりするのかもしれない。

 ジッと見てたのを気付いたウエンディが湯呑みを置いてこちらへと視線を向ける。

 

「なに?」

「あ、いや、その姿って擬態なのかな、って……。ほら、テレビや映画とかだとタコのような姿とか爬虫類型とかグレイとかいろいろいるじゃない? ウエンディも擬態とかしてるの、かな、って……」

 

 そう言いながら、真白の言葉はだんだんと尻つぼみになっていく。ウエンディの正体がいかにも『宇宙人』という姿だったとしたらどうしよう、と思ったからだ。姿形なんか関係ないとは思うけれども、その姿を見て驚くことはないだろうが。

 真白の言葉を受けて、ウエンディが手首のブレスレットに指を走らせる。

 瞬間、ウエンディが光に包まれ、すぐさまその光が弾けるように消える。

 そこにはパッと見は変わらぬ姿のウエンディがいたが、髪の毛は金色、耳が少し尖り、両目がサファイアのように青くなっていた。額には紋様が見える。

 

「これが本当の姿。私は『エルフェン』って星の出身で、『エルフェン人』ってことになるのかな、こっちでは。【連合】でも二番目に多い種族なの」

「エルフェン人……」

 

 少し驚いたが、あまり地球人と変わらぬ容姿に、真白はどこかホッとしていた。不定形生物とか、毛むくじゃらの雪男みたいだったら思わず声を上げていたかもしれない。それはウエンディに対して失礼だろうが。

 そんなんだから、宇宙の人々に地球人は未熟な種族と呼ばれるのかもしれないなあ。

 

「あ、ひょっとして私が本当はとんでもない姿なんじゃと思った?」

「う……。いや、その、うんごめん……」

 

 真白がホッとしていたのを察したのか、ウエンディがいたずらっぽい視線を向けてきた。

 

「基本的にこういった未発達の星に降りる者は、同じようなタイプの種族が選ばれるの。その方が話がしやすいし、拒絶感も少ないしね。まあ、中には動物のような姿で接したり、原住民の肉体を借りることもあるけど」

 

 肉体を借りるってのはどういうことかと聞いてみたいけれど、なんか怖い気がするのでやめておく。

 

「私からもいいかな?」

「なにかな?」

「ウィルさんとシスベルがいるけどその人たち私と同じ宇宙人だよね? なんであの二人と知り合いな訳?」

「あー……ちょっと前に婚約者のシスベルさんが『デウス・エクス・マキナ』って言う異能集団の組織に解剖されかけて、助けを求められてね」

「何それすごい気になる…….話してくれる?」

 

 というわけで、ウエンディに自身の秘密を話した。

 

「真白……。色々と起こりすぎでしょう!? 神に陰陽師、異能に異能組織との戦いって……巻き込まれすぎじゃないかな!?」

 

 ウエンディの言いたいことはわかる。

 

「真白って巻き込まれやすい体質……?」

「否定したいけど、否定できない……」

 

 否定したいところだが否定できないのが辛いところだ。

 ウエンディが焙じ茶を飲み終わるとふうっ、と息を大きく吐いた。

 

「とにかく今日はもう疲れたから帰るよ……」

「あ、ああ。お構いもしませんで……。そういえば隣の……ウエンディの伯父さんと伯母さんって……」

「あ、うん。ちょっと記憶を改竄して、姪ってことにしたの。学校の方もそんな感じで」

 

 記憶を改竄……。宇宙人や、【監視者ウォッチャー】がやったのと同じような技術なんだろう。そんな力があるなら地球を裏から操るようなことも簡単なんだろうな。ラピスの言う通りならそんな状況にはなってないみたいだけど。

 玄関までウエンディを送る。

 

「とりあえずこのことについては黙っておくよ……殺されたくないし。じゃあ、これで。また【アストラル】で」

「うん、またね」

 

 ドアを閉めてウエンディが去っていくのだった。

 

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