ユースティアナが宿泊するホテルへと真白はやってきた。
アイには琥珀達に連絡を入れてもらい、遅くなることを伝えた。
「ユースティアナ様、勝手に外出されては困ります」
「……ディルック様」
金髪イケメンのいかにも優男な男性が現れた。
彼の名はディルック・ランドール
ディルックは公爵家の次男でしかもまだ23歳という若さの金髪イケメンだ。
「この方は?」
「この方はディルック・ランドール様で、私の婚約者候補の方です」
「初めまして、神原真白です」
なんだかユースティアナはあまり好いていない様子だ。
イケメンで金持ちでいかにも有能に見える。
ディルックは真白を値踏みしてくるような目だ。
「ユースティアナ様。貴女は賢いからわかっているはずだ。いつまでもそうやって逃げられる訳じゃないよ」
と厳しい目でディルック。
「……わかっています。でも夢を見るくらいはいいじゃないですか」
剣呑な雰囲気だ。
彼と関わりたくないのかユースティアナは去っていく。
真白は頭を下げて、ユースティアナについていく。
「はぁー……。ディルック様を見て、真白くんはどう思いましたか?」
「どうと言われても挨拶をしただけですし」
「真白くんの主観でいいです」
人がいないことを確認する。相手は貴族だから迂闊なことは言えない。
「そうですね。客観的に見て結婚相手としてはかなり優良物件だと思います。婚約者候補って聞きましたけど、どこか嫌なところがあるんですか?」
イケメンで地位も名誉も金もあって公私を弁えたいい人に見えるし、貴族のご令嬢からは人気が高そうだ。
とはいえにこやかな笑みは胡散臭いところはあるが。
それに妙な違和感がある。
「確かに女性から見れば魅力的ですが、私はそう思いません。隠しているのでしょうが野心家で猫を被っているように見えます。私としては素を見せてくれるような方がいいですね」
「婚約者候補って聞きましたけど、ディルック様が最有力候補なんですか?」
「ええ、そうです。ディルック様はまだ決まってもいないのに強引に話を進めてきて困っています。私は好きな男性と結婚をしたいのです。お父様とお母様、お兄様は私の意思を尊重してくれるのですけどね」
王族だから自由に恋愛をするのは難しいのだろう。
「てか、あのイケメン貴公子、ユースティアナちゃんの言う通り笑顔が胡散臭いよねー」
「七海、相手は貴族ですよ。いくら人がいないからってそういうことは言わない方がいいですよ」
夏海が窘める。
「神原さん、貴方がどうしてユースティアナ様と行動していたのか説明してもらってもいいですか?」
「あ、はい、もちろんです」
真白は夏海に共に行動していたのか事情を説明した。
「なるほど……。そうでしたか。ユースティアナ様を守ってくれてありがとうございます」
「いえいえ、たまたま通りかかったってよかったです」
もし真白が気づかなかったらユースティアナは攫われていただろう。助けられてよかったとホッとする。
「あの、お願いがあります。ユースティアナ様の護衛の仕事協力させてもらえませんか」
「ユースティアナ様を守ってくれたことには感謝します。お気持ちはありがたいですが、神原さんはまだ子供で未成年です。デウス・エクス・マキナを撃退するほどの力は評価していますが」
「僕はいいと思いますよ。戦力が多い方がいいですし」
「マサマサにさんせーい。真白きゅん可愛いし」
「私は夏海さんと同じで反対です」
夏海と愛美は真白のことを思って、反対のようで、真咲と七海は賛成のようだ。
「燐はどう思いますか」
「私は賛成だ。戦力は多い方がいいのとユースティアナを守る力がある。それにユースティアナが信頼をしているようだしな」
「……わかりました。燐がそういうなら指示に従います」
「夏海さんいいんですか!?」
「燐が決めたことならば」
「……燐さんと夏海さんが言うならわかりました」
夏海は燐が決定したことに従うつもりのようで、愛美は二人が決定したことならしぶしぶ認めた。
「ありがとうございます」
「ユースティアナ様護衛にあたってだが、我々の指示に従ってもらうぞ」
「はい、もちろんです。指示にちゃんと従います」
「神原さん、とりあえず今日は一旦休んでからまた明日、お願いします」
とりあえず、対異能対策課の人たちにユースティアナ王女の護衛に協力させてもらえたことに安堵する。
「護衛か、動画見て勉強しておこうかな」
「有用ナ護衛術ノ動画ハピックアップシテアリマス。イツデモ見ラレマスヨ」
「アイ、凄いね」
さすがはアイ、優秀だ。
セレナには聞いておきたいことがあった。
とりあえずは一旦家に戻って準備をとセレナ自身はどうしたいのか聞く必要がある。
「ただいま〜」
「おかえりなさい〜。シロウくん随分と遅かったね。何かあった?」
家に帰ってくるとラピスが出迎えてくれた。
「まあ、あったていえばあったかな」
「弟くーん! 大丈夫!? 怪我してない!?」
「わぷっ! 心配してくれてありがとう。怪我はないから大丈夫だよ」
「お兄ちゃんおかえりなさい! 無事でよかったです」
連絡は入れていたが紗希と瑠璃は心配で堪らなかった。
身長差があるため紗希の胸に顔を埋めるように抱きしめられた。
「セレナいるかな?」
「おかえりなさいませ、真白様」
「ちょうどよかった。セレナに大事な話があるんだ」
「? わかりました。真白様、大事な話とは?」
「セレナに関わる重大なことかな」
「……わかりました。お茶の用意をしながらでもしましょう」
「ボクたちは出て行った方がいいかな」
「大事な話話みたいだから出て行こうか?」
「いえ、ラピス様も紗希様達も聞いてくれると嬉しいです。それで真白様は何を知ったのですか」
真白は深呼吸して落ち着かせると覚悟を決めた。
「セレナ、単刀直入に聞くけど、キミは亡くなったとされる第一王女のセレスティアナ・フォン・アストライヤでいいかな」
「……ッ!? 真白様はどうしてそれを……!?」
セレナは驚きの表情に満ちている。
こんなに動揺するとは珍しい。
「まずは先に謝っておくね。セレナの部屋にあった写真を見たんだ。それから今日、ユースティアナ王女が襲われていたところを助けた」
真白はユースティアナと出会った経緯とセレナを探していることを聞いたこと話した。
セレナ自身はどう思っているのかがわからない。
ユースティアナは姉かもしれないセレナを探している。
「聞いてなかったけど真白くんとセレナさんはどういう関係なんだい?」
「言ってませんでしたね」
真白は知っている範囲でのことを教えた。
「七冠セブンクラウンズである迷宮寺昴めいきゅうじすばるの代わりとしてセレナさんは真白くんのアストラル攻略を頼んだんだね」
「はい、そうです」
「七冠はなにを知っているんだろうね」
「真白はそのユースティアナという娘の護衛はやるつもりなのか?」
「うん、お願いされたとなると断れないし、それにユースティアナ王女が狙われていると聞いちゃほっとくわけにはいかないからね」
狙われていると聞いては助けないわけにはいかないのだった。
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