レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトとセレナの秘密2

「そう……ですか。あの子は私を探しているのですね。真白様達はあまり驚いていないですね」

「まあ、驚いたけど綺麗な所作とか高貴な雰囲気から貴族なんじゃないかと予想はしてたからね」

「儂らは真白から聞かされておったからな、なんとなく察してはいた」

「僕は初めて初めて知ったよ」

「主が王女とは驚いたぞ」

「セレナちゃんが王族なんて驚きだねー。何かあるとは思っていたけど」

「神とか異能や陰陽師比べれば、もうほとんど驚かなくなりましたよー」

「ごめんなさい。セレナの秘密を知って」

「いえ、そのうち話すつもりだったので結果オーライです」

「怒ってないの?」

「怒ってはいませんよ。見てしまったのなら不可抗力です。あの時は私わたくしが寝てしまったから部屋まで運んでくれたんですから。それにいつかは話そうは思っていたのです」

 

 セレナが怒っていないことにホッとする。

 貴族かと思っていたがその上の王族だったとは。

 

「どうしてセレナが王家から亡くなった者にされたのか聞いてもいいかな?」

「はい、もちろんです」」

 

 セレナは過去を話すようだ。

 真白は姿勢を正して耳を傾ける。

 

「私は完全なる血統という、とても稀少な混ざりっけのない血を持つ者なのです。要は純血と言えばいいでしょうか」

「完全なる血統? 純血? 純外国人的な?」

「いや、この場合は、純粋な種族かということじゃ」

 

 初めて聞く単語だ

 真白には琥珀の言葉の意味がわからなかった。

 長生きしている琥珀なら何か知っているかもしれない。

 

「琥珀は完全なる血統って知ってるの?」

「うむ、知ってるぞ」

「同じ種族同士で子を成して生まれるとか?」

「真白は、他の種族同士の結婚とかを考えたのかもしれんが、違う。もっと根本的な話じゃ」

「どういう」

「人間はのう。長い歴史の中で、神族、魔族、妖怪、妖魔、精霊、妖精、様々な種族と交わっておる。両親が人間でも、先祖は妖怪だったりのう。たまにおるんじゃよ。純度百パーセントの人間が」

「へぇ」

 

 大変興味深い。確かに、自然の中で生きて、今よりももっと霊能関係に密接だった時代なら、人間とそれ以外の恋も愛もあっただろう。ときには、望まない形でも。

 そんな人々が出会い、交ざり、人間だけと言う血筋はいなくなりつつあると言う。

 

「昔はもう少しいたんじゃが、今はほぼいないと思ってたが。純血に近い人間は割といる。純血は作ろうと思っても作れないんじゃよ。混ざった人間が混ざった人間と子供を作っても、純血は生まれないからの。それでも、一応、純血に近い同士を結婚させる家はあるがのぅ」

「面倒だねぇ。それで、純血だったらどうだっていうの?」

「そうじゃの。昔は生贄とか、偉い方へ嫁ぐか婿入りじゃな。昔の話じゃが、アホみたいに力持っている奴は、だいたい純血の人間じゃったぞ」

「へー」

 

 真白はなんとなくオレンジジュースでイメージしていた。他に代わるものがなかったのだ。

 真白個人は百パーセントが好きだ。

 

「最近じゃと、純血に近ければ近いだけ力があるなんて言われておるが、儂らにしたら純血かそうじゃないかの差は大きいが、あとはどんぐりの背比べじゃまあ好みにもよるんじゃが、純度百パーセントのオレンジジュースが飲みたいか、加糖されてても美味しければいいかの差じゃろうな。仮に、本当に完全なる血統ならば、下級淫魔でも上級くらいにはなれるじゃろう。魔族は純血が好きじゃのう。神族的には、あんまメリットないのー。血を飲んで怪我を治すとか、回復するとかじゃろうか」

「そんな薬じゃあるまいし」

「ただ血を啜るだけじゃ解決せんしのう。血を飲むにしても面倒じゃぞ」

 

 話の半分くらいしか理解できなかったが、とりあえず純粋な人間は現代社会にはいないようだ。

 

「仮に、完全なる血統に近くても、問題はないじゃろう。こっち側に足を突っ込めば、人間の中では才能を見せるかもしれんが、それは稀じゃろうな」

 

 完全なる血統に近くても、必ず才能に恵まれるわけではないようだ。

 

「まあ、人間的には、ただの人間じゃ限界があるから混血を選択した人たちもいるかの、その辺りは難しいがの。

 

「それに今どき、完全なる血統なんておらんおらん」

「完全なる血統っていうのはわかった。話を戻すけどそれと何か関係があるの?」

「はい。アストライア王国には代々王家に伝わる秘宝のような物で完全なる血統かどうかわかる代物です。それは王家の者かその関係者にしか知られていません。しかしどこから秘密が漏れたのかわからないのですが、ある日『混沌災禍カオス・ブリゲードと名乗る組織が現れたんです。そしてその組織は私を18歳になったら差し出すように脅されたのです」

 

 混沌災禍カオス・ブリゲード。ユースティアナを拐おうとしていた組織。

 

「もちろん断りました。ですが相手は異能など力を持った集団。対してアストライア王国は異能の力に対抗することができませんでした。そこで私をどうするかになりました。私を組織に渡すことに賛成の者。反対する者と分かれました。お父様は悩んだ結果、私を王国から脱出させることにしました。そして公的には病気で亡くなったということにしました。そこでお父様が頼ることにしたのが七冠セブンクラウンズのリーダーである長老である嚮導老君グレートガイダンスでした。アストライア王国はウィズダムに資金を出していたのでその繋がりで協力をしてもらったのです。そして私を国外に逃す作戦は秘密裏に行われることにしました。『混沌災禍カオス・ブリゲードと繋がりを持っている貴族がいる可能性も考慮していたのです。助力もあって私は無事に逃げ出すことに成功したのです。それからはしばらくは長老様の家に厄介になりました。ただ厄介になるのも嫌でしたので私はお手伝いをしました。長老様とその娘さんはよくしてくれました。ですがいつまでも厄介になるというわけにはいかず、私わたくしは少しですがレジェンドオブアストラルの開発に関わっていました。そしてある日昴様からお願いを受けることになりました。それが昴様が選ばれたプリンセスナイトである真白様のお手伝いでした」

「なるほど……。セレナのこと教えてくれてありがとう」

 

 しかしセレナに壮絶な過去を持っているのはなんとなく察していたが、これほどとは驚いた。

 

「混沌災禍カオス・ブリゲードが関わっているのか……」

「カノンさん、何か知ってるんですか?」

「混沌災禍はいくつもの惑星を侵略し破壊して破滅に導く、危険な組織とでも言えばいいかな」

「めちゃくちゃ、やばいじゃないですか」

「構成員は不明で、どこに潜伏しているのかもわからないことが多いんだ」

 

 混沌災禍はやばいテロ組織だということはわかった。真白は危険な組織と聞いて頭を抱えたくなってきた。

 

「それに対する組織はないんですか?」

「もちろんあるけど、本拠地の居場所がなかなか掴めなくてね。アジトはいくつもの潰してもキリがないのが現状ってところかな」

 

 混沌災禍に対抗する組織はあるが本拠地は見つからず、アジトを潰してもあまり意味がなくいたちごっこになっている。

 

「真白様はユースティアナの護衛は受けるつもりですか?」

「うん、ユースティアナ王女様は狙われていたところを目撃したからね。それにセレナの話を聞いてから余計に心配になった。だから引き受けるよ。と言っても僕より強いくて頼りになる人達がいるから僕の出番はないだろうけど。セレナはユースティアナ王女様に会いたい?」

「私は……。会えるなら会いたいです。ですが私はすでに亡くなった者。もし万が一私の生存が組織に知られたら王国に迷惑をかけてしまいます。それだけは避けたいです。ですので会うわけにはいきません」

 

 セレナの安全を守るためとはいえ、幼かったユースティアナにとっては大切な家族であるセレナと別れるのは辛いことだっただろう。

 真白としてはどうにかしてセレナとユースティアナに会わせたい。だがセレナの生存を組織に知られれば王国にどのような被害が出るのかわからない。

 

「真白様はユースティアナには私わたくしのことを話してはいないのですか?」

「セレナの話を聞くまでは確信がなかったから話してないよ。期待させてがっかりさせたくもなかったからね」

 

 セレナの部屋にあった写真は家族写真だった。たぶん大事な物であるのはわかる。

 本人の気持ちを聞いてからの方がいいと判断した。

 

「それならボクに良い考えがあるよ」

 

 ラピスが何か良いことを思いついたみたいだ。

 何か策があるようだ。

 

「ラピス何か思いついたの?」

「セレナちゃん、はい、これあげる! これ持って、自分の姿を変えるよう思い浮かべてみて~」

「え? あ、はい」

 

 笑顔を浮かべた後、ラピスはコートに手を入れ琥珀色の石のついたネックレスを取り出す。

 言われるがままにネックレスを掌に置き、自身の姿を変えるのを思い浮かべる。宝石から光り輝く。

 するとセレナのオレンジ色の髪が黒髪に変わり、目の色も変わっていた。

 

「髪の色が変わりました……」

「そのネックレスには変身魔法がかけてあるからね~」

「あ、ありがとうございます! で、でも、これ貴重な物では? ……貰ってよろしいのですか?」

「あはは、若い内から遠慮なんてしなくて良いよ。困った時はお互い様だよ! ボクの世界では別に貴重な物じゃないから大丈夫だよ」

 

 ラピスにとっては貴重な物ではないのかもしれないが、真白達からすればとてもヤバい代物に見える。

 見ると魔水晶と呼ばれる物で変身魔法の術式が込められている。

 

「これならバレずにすむかな」

「はい、そうですね」

「セレナ様、呼び変えた方がいいかと思います」

「アストライア王国にいた時はセレスと呼ばれていました」

「安直だけどレナでどうかな?」

 

 セレナから文字ってレナと考えてみた。

 

「はい、それでよろしいかと。関係者がいる時はレナと呼んでください」

「了解。はい、セレナには身代わり札を多めに渡しておくねー」

 

 何事もなければいいが昼間にユースティアナが混沌災禍カオス・ブリゲードとかいう厨二ワードに出そうな組織に攫われかけていたのでセレナには身代わり札を多めに渡しておく。

 

「真白様、多すぎではありませんか?」

「念の為だよ。なにごともなければそれが一番いいんだけど、セレナを危険な目に合うかもしれないからね。念には念だよ」

「ですが、他の皆様の分は……」

「大丈夫大丈夫。何があってもいいようにほぼ毎日作ってるから」

 

 いつ何が起きてもいいように備えて身代わり札をストックしている。

 

「そういえば、この身代り札っていつ作ったものかわかるか?」

「たしか……身代り札は夏休み前に作ったから三日前に作った出来立てほやほやのやつだよ」

「それなら大丈夫そうだの。身代り札は莫大な霊力をこの小さなお札に無理矢理押し込めてるような状態だから、ちゃんとした保管場所じゃないと霊力が霧散して効果がなくなるのだ。たしか、1ヶ月くらいしか保たないはずだから気をつけるのじゃよ」

「えっ……」

 

 となると一ヶ月前に作った身代わり札は効果が切れてただの紙屑になっているかもしれない。

 一ヶ月経った物は処分しないといけない。

 

「それならボクに良い考えがあるよ〜。真白くんちょっと期限がギリギリの身代わり札を持ってきてくれるかな」

「? うん、わかった」

 

 ラピス何かするつもりみたいで真白は従い部屋から期限が近い身代わり札をとってくる。

 

「これでいいかな?」

「うん、いいよ。ありがとう」

 

 期限が近い身代わり札にラピスの魔力が込められた。

 見てみると時空魔法がかけられていた。

 時空魔法。時間の流れを早くしたり遅くしたり停止することができる魔法のようだ。

 魔力の消費が激しく、覚えるのも相当難しい魔法だ。

 

「時空魔法?」

「せいか〜い。この身代わり札に時空魔法をかけたから相当保つよ」

「すごいの……」

 

 琥珀が感心している。

 見たことで時空魔法を取得できたので真白も身代わり札で早速試してみる。

 身代わり札に時空魔法をかけてみた。

 魔力のようなものが消費をされるのを感じていくのがわかる。

 

「成功だね。普通は簡単には空間魔法なんて覚えられないのに『神の加護』のおかげかな?」

「『神の加護』ってこの持ってる力のこと?」

「そうだね」

「そういえば、前に初めて会った時に、不思議な力を持っているねって言ってたけど、もしかして神の加護のことだったの? そもそも神の加護ってなに?」

「あはは、よく覚えていたね。簡単に言えば神から授かった加護だね。人智を超えた力を持ち、加護を持った者に善とも悪にもなる力さ」

「ラピスって神の加護に詳しい?」

「詳しいってほどじゃないさ。知識として知っている程度だよ。知り合いに神族はいるけどね。シロウくん、神の加護を授かってから何か変化はあった?」

「身体能力が向上したことや五感が鋭くなったり、記憶力向上。あとは相手の異能や陰陽術を一度見れば能力を取得できるね。あとは神様が言ってたんだけど神様の能力をほんの少しだけ授けようって、使い方はおいおい分かるはずだって言ってたけど、まだ完全に力を使いこなせていない感じかな。異能や陰陽術を使うと霊力を消費するけど、僕には消費した感覚がないんだけど無限の霊力があるのかな?」

「真白くんからは霊力を感じないね。たぶんだけど神力を霊力に変換させて使えるんだと思うよ。たぶんだけど無限にあると思うよ。だからいくら消費しても減ることはないよ」

 

 やはり『神の加護』はチート能力だなと思うのだった。

 

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