レジェンドオブアストラル   作:Yukimidaifuku

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プリンセスナイトとエンデヴァーとの再会

「それじゃあカノン、ノイン。シロウくんとセレナちゃんをしっかり守ってね」

「もちろんです。二人を守ってみせます」

「うむ、ラピス様任せろ。必ず守ってみせる」

「ラピス、二人の力を借りていいの?」

「うん、もちろんだよ。真白くんは巻き込まれやすい体質みたいだし、困っている人を見過ごせず首を突っ込んでいって無理しちゃうかもしれないから、それに真白くんは戦闘に慣れてないし苦手みたいだから、カノンとノインに任せていいよ」

「ラピス、ありがとう」

 

 カノンとノインがいてくれるなら心強い。ラピスには感謝だ。

 翌日、真白達はユースティアナが泊まっているホテルにやってきた。

 さすが王女なだけあってもの凄い高級ホテルだ。

 真白は燐たちに連絡を入れて琥珀達を戦力として連れてきていいか許可を貰い、無事に連れてくることができた。

 

「さてさて、セレナ。久しぶりの妹と再会するわけだけど心の準備はいい?」

「少し緊張はしていますが大丈夫です。真白様……」

「ん?」

「ありがとうございます」

「どうしたの急に?」

「ユースティアと会わせてくれるお礼です」

「もう気が早いよ。時間を作ってもらって再会するまでが本番なんだから。それに僕がやりたくてやったことだから」

「それでもです。お礼を言いたかったんです」

 

 なんとも照れくさい。

 

「さてと行こうか」

 

 約束の時間になり中に入ると、スーツとサングラスをかけた護衛の人達にユースティアナがいる場所に案内された。

 

「みなさん、お待ちしてました♪」

 

 ユースティアナは嬉しそうに歓迎してくれている。

 だが眼鏡をかけた侍女はあまり快く思ってないのか眉を顰めている。

 それはいいとして、見覚えある人たちがいた。エンデヴァーとジェントルにサンゴがいた。

 

「どうしてここにエンデヴァーさんとサンゴちゃんとジェントルさんがここに?」

「取引をして護衛をしている」

「我々は貴様らに敗北した後、捕まり釈放された時にはアジトはもぬけのからになっていたのである」

「おにいさんたちのせいでボクたちは行く宛がなくなちゃったんですー!」

 

 真白達は警戒し戦闘態勢に入る。

 

「真白くんとエンデヴァーさんは知り合いなんですか?」

「まあ色々と事情がありまして……」

「今はお前たちと争う気はない。お前たちとの戦った後の話からがいいだろう」

 

 強化の異能者『エンデヴァー』は、燐の元で働くに至るまでの経緯を話しはじめた。

 

 まず、真白との戦闘後に警察に捕まり、身分証も住所もなかったために数日間勾留されていたらしい。その後、厳重注意だけで無事に出所できたものの、すでに組織の仮設支部は壊滅。構成員も皆撤退しており、エンデヴァー達三人置き去りにされたのだそうだ。

 お金も身分証も組織の構成員が管理していたため完全な一文無し、そこで衣食住を提供する代わりに対異能対策課として護衛することになったそうだ。

 

『バイタル、発汗量、変化ナシ。嘘ヲ付イテイル確率ハ低イデス』

「どうやら嘘をついてはいないようだ」

「カー!」

 

 会話の最中もアイと琥珀とクロウの嘘発見機能は作動中だ。

 

「一式さん方は事情を知った上で彼らと?」

「ああ、そうだ。捨て置くのはもったいないと思ってな」

「能力は抑えているので安心してください」

 

 確かによくみるとエンデヴァー達には能力が抑えられていて、弱体化していることがわかる。

 

「真白きゅん達、安心して大丈夫だよ〜。裏切るような行為をすればお仕置きするから」

「不本意ですけど、燐さんが決めたことなので、今は私達と協力関係にあるんです」

「ちょっとちょっと、おにいさん、あの猫ちゃんたち敵意を飛ばしてくるんですけど!」

「どうにかするのである!?」

 

 静かな敵意を放つ琥珀とクロウと楓とアイ。

 

「彼らをどうにかできないか? 敵意が凄すぎて護衛に支障をきたす」

「そう言われてもな。叶魅さん達を襲ったことは許せないし姉さんを巻き込んだことも許せない……一式さん達にとっては戦力がいた方がいいんだろうけど」

「信用しろとは言わないが敵意は隠せ」

「少しでも怪しい行動したら容赦はしないぞ」

「もし主さまに危害を加えたら切りますので」

「かー!」

 

 琥珀達は渋々と従いながらも協力関係でいってくれるみたいだ。

 

「ふ……。嫌われたものだな。我らのしたことは命名とはいえ『結合』達の誘拐。信用はされるのはむずかしいか。なら信用に値する情報を与えると言ったらどうだ?」

「情報?」

「ああ、我らのせいで一式達に迷惑をかけられないのでだな、信頼を勝ち取ることができたなら俺からも報酬を出そう」

「報酬?」

「俺の知る限りの戦闘術と『強化』の異能の使い方を教えよう」

「!」

「理由は聞かないが神原真白、お前は俺と同じく強化の異能が使える。初めは陰陽術かと思ったが、ランクAの異能に匹敵する出力で発動できる術なんて聞いたことがない。だとすれば、同じくランクAの『強化』を持っていると考えた方が納得できる」

 

 この間の戦闘で力のことがバレてる。

 術と異能の出力の違いは前に琥珀が似たようなことを言っていた。術は多彩な分影響力は低く、異能は一つの現象に特化している分影響力が高い。

 たった一度の戦闘でその事実を見極められたのだとしたら、相当な洞察力だ。

 

「戦闘術と強化の使い方か……」

 

 正直魅力的な報酬ではあるが、戦闘術は習得能力で自然と身につくし『強化』の異能も何度か使っているので熟練度は結構高い。

 それだけで了承はできない。

 

「もう一つ条件があります。『デウス・エクス・マキナ』の情報を貴方が知っている限りのことを教えてください」

「いいだろう。組織との契約では辞めた後に情報を漏らすなとは言われてないからな。知っている範囲であれば全然教えよう」

「なに言っているであるか!? 組織の情報を教えるなどエンデヴァー裏切るのか!」

「そうだよ。組織を裏切るなんて」

「ジェントルとサンゴ。俺らは組織に見捨てられたのだ。それに俺はもとより忠誠心なんてない。見捨てられて尚、忠誠を誓うのか?」

「それは……」

 

 組織に見捨てられたことにジェントルとサンゴは黙ってしまう。

 

『トテモ魅力的デスネ』

 

 アイも同じことを思ったようで、呟いているのが聞こえた。これは悪くないかもしれない。

 

 こちらとしてもありがたい話だ。それに、初めは関わらないようにしようと思ったが、何か企んでいないか見極めるためにも近くに居たほうがいいだろう。

 複雑な心境だが、エンデヴァーがいるのは心強くはあった。

 

「舞花さんと舞奈ちゃんがいるんですか?」

 

「お久しぶりですね。神原さん。実はこれには深いわけがあるんですよ」

 

 気怠げに舞奈が説明してくれる。

 

「一部の陰陽術師は国に仕える身なんです」

「国?」

 

 聞き慣れない舞奈の言葉に、真白は思わず聞き返した。

 

「陰陽術師は国との繋がりはとても深いです。切っても切れない縁で繋がっているんです。国家公務員みたいなものです」

「国家公務員か……」

 

 舞奈は軽快に話し始めた。

 

「私たちの使っている陰陽術は約1500年前に生まれた術形態でして。それを使える者は『陰陽師』という位を得て国に仕えていたんだそうです。でも、いつしか陰陽術という特殊な力に恐怖を覚えた民衆との間に軋轢が生まれて。幾度もの争いを経て、陰陽師は歴史の表舞台から姿を消しました」

 

 舞奈は『陰陽術師』と日本国家の関わりについて簡潔に語る。

 

「しかし、陰陽術を完全に失うのは国にとっても大きな損失になる。だから、一部の術師達は歴史の裏で国との繋がりを保ったまま活動しているんです。その中でも、私たち五大陰陽一族の術師は国との繋がりがとても深くてですね。国から依頼を受けて活動する事も多いんですよ」

「うわぁ、さりげなく凄い話聞いちゃった気がする……」

 

 歴史の裏の真実を知ってしまった真白はそう呟いた。

 

「術師だけじゃなくて国に仕えている異能者もいるみたいでして」

「私達は最近『異能』について知ったんだけどね」

「異能者の絶対数は術師よりも遥かに少ないので、国が神原さんの存在を知れば必ず欲しがると思いますよ。まぁ、国の庇護のもと安定した給料で生活していけるから悪いことばかりではないですけどね。私達がここにいる理由は国からの命令でユースティアナ様の護衛をしているわけですよ。父は病気で無理はできないので私と姉さんが代わりに引き受けたんですけど。まあ私と姉さんに経験を積ませるためってのもあるんでしょうね。私としては家でゴロゴロと過ごしたいんで神原さんと白虎様達に任せていいですか」

「こら! 舞奈。神原くん、白虎様。妹が申し訳ありません!」

「あはは、本音が漏れてるねー」

「舞奈は相変わらずじゃな」

 

 思わず苦笑いになるのだった。だが舞奈のおかげで険悪だった雰囲気は薄れたのだった。

 

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