「ジュエル3000にようこそ、サフィちゃん」
「ありがとリリー……此は何?ジェットのコックピットなの?」
「リリーって私の事?ふふ♪」
そう言いながら梨子は中央コンソールに数字を打ち込んだ。
「これで、車体のコントロールをコンピュータシステムがしてくれるわ」
「この車はダイヤさんの考えた理想の車ずら」
「世界中のどの車より、早く安全で強力だよ」
「燃料消費は極限まて抑えられ、運転は車載の有機コンピュータで完全にコントロールされるから、運転ミスや衝突事故等なんて一切起こらないわ」
梨子の後から花丸、ルビィと車外から説明して来て。最後に梨子が締め括った。
「勿論、サフィちゃんが望んで命令したら別だけど?」
「そんな事、しないわよ。出るわ、ずらまるシャッター開けて」
「分かったずら」
ギャララ……。
ブッオオン!ギュルルッ!ブォ~~~ッ!
爆音を上げガレージを飛び出すのだった。
「さて、テスト開始よ。お後は車にお任せね」
「何時でも♪」
「前を行くトラックを如何するか、じっくり拝見ね」
~~~~~
「し、信じられない!ハンドルが勝手に動いて軽く追い越したわよ!」
「自動操縦よ♪」
「気に入らない」
「ふふっ~♪」
「自分で運転した方が……」
「コンピュータはサフィちゃんの安全を守るために最良の方法を選択したのよ。今の場合は2つ。スピードを落とすか、上げて一気に追い越すかのね」
「だったらなんで……」
「サフィちゃんに良いところを見せたかったのよ」
「何ですって?」
「ふふっ♪」
「すると何?この車はガス欠に成れば自分でスタンドに行って給油や洗車をしてくるっていうの?」
「まぁ、行くのは行けるわね」
「人間様は飾りって訳ね」
「そう取られるのは心外ね。この車は人命第一に考えて設計してあるの。サファイアちゃんの命をよ♪」
「別に私じゃ無くてもドライバーの命をでしょ」
「そうじゃないわ。サフィちゃんだけに限定してあるの。黒澤サファイア1人にね」
プルルッ
「はい。梨子です……分かりました」
「如何したのリリー」
「ダイヤさんの様態が……」
「分かった、帰るわよ」
~~~~~
「2人共!」
「急ぐずら!」
『ダイヤさん』
「何をしてましたの?スピード不足ですか?」
ルビィと花丸にせかされ、部屋に駆け込んだサファイアと梨子は、応えたダイヤにホッとした。
「くく……。あの車を一般に売り出すべきよ。多くの命が救えるわ」
「サフィちゃん!」
「サフィ。ジュエル3000は私の理想を形にしたもの……そんな気持ち等、サラサラないですわ……ゴホ……」
「お姉ちゃん……」
「ダイヤさん、後はマルから話すずら。ダイヤさんとルビィちゃんの母親は交通事故で、父親は企業間のゴタゴタで亡くなったずら」
「だから何よ!」
「花丸さんもう良いですわ……サフィ此方に」
「ダイヤさん……」
「はぁ……はぁ……私に代わり戦いを続けて下さい。恐れず、諦めず……はぁ……巨大な悪を相手に……戦って下さい……サフィなら其れが出来ると信じておりますわ」
「ダイヤ……貴女の期待に応えたいけど……私は……今でも夢に見るのよ……パッシュ!って……あの撃たれた時の恐怖が頭にこびり付いてるの……」
「忘れる必要は有りません……その恐怖を……悪への怒りに変えなさい。私の冒険はもう終わりました……今からサフィの冒険が……始まりますわ……」
ピーッ!
「お姉ちゃん!」
『ダイヤさん!』
こうして、黒澤ダイヤは息を引き取った。