セルフ脳破壊で過酷なソロぴょいをしてしまうカワイイカレンチャン 作:名無しの権兵衛
「……ねぇカレンさん、聞きたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
「いいですよ、どうしたんですか?」
ある日、寮のお部屋でもう寝ようかと用意をしていると、アヤベさんがもじもじしながら話しかけてきました。
アヤベさんのお願いって珍しいから、頑張って答えないと!
「……あの、お兄さんの好きなものとか、今欲しいものとか教えてもらえないかしら?」
「お兄さん?」
「…………あっ!?」
何かに気が付いたのか、アヤベさんは慌てて手を振りながら弁明を始めました。
お兄さんって誰だろう? 私の兄…… なわけないし。もしかしてお兄ちゃんのこと?
なんでお兄ちゃんのことそんな風に呼んでいるのかな?
「もしかしてお兄ちゃんのこと?」
「ち、違うのよ! その、カレンさんのトレーナーさんって言うと、何度も呼ぶのに長くて大変でしょう? だから最初は『名前で呼ぶか?』って言われたけどさすがに恥ずかしいし、呼ぶときドキドキしてそれどころじゃなくなっちゃうから他に言い呼び方ないかって考えることになったのよ。そしたらあだ名とかいいんじゃないかって話になって、私今まであだ名で人の名前呼んだことがないからどうしようかって思ったんだけど、そこでカレンさんが彼のことをお、お、お兄ちゃんって呼んでいたことを思い出して。そ、それでさすがにお兄ちゃんって呼ぶのは抵抗があったから、その、何とか呼べるようにしないとって思って、それならお兄さんならまだ呼べるんじゃないかって思ったのよ。それで、試しに読んでみたらあの人少し驚いたような顔をして、やっぱり駄目だったかなって思って不安になっちゃったんだけど、そしたらあの人私の顔を見て微笑みながら『それじゃあ俺もアヤベさんって呼んでいい?』っていうのよ。そんなこと言われたら私だって呼ぶしかないじゃない? それでお兄さんって呼ぶようになったんだけどそのあともずっとそう呼んでいたからいつの間にかお兄さんで定着しちゃって、あの人も気づいたら呼び捨てだし、今更別の呼び方にする機会もなくて、それで、えっと、そう、つまり仕方がなかったのよ! 別に何かやましい気持ちとかもなく、ただ純粋に、流れで、仕方なくそう呼んでるだけよ。わかったかしらカレンさん」
「……うん、わかった♪」
あたふたしているアヤベさんカワイイ~(思考停止)
とりあえず、お兄ちゃんと仲良しみたいでよかった♪
「それで、どうしてお兄ちゃんの欲しいものとかを聞きたいの?」
「そ、それは…… 去年、彼に助けてもらったことがあったでしょう?」
もちろん覚えている。アヤベさんが大変な時にお兄ちゃんが助けてくれて、それからアヤベさんもちょっとづつ前を向いていけるようになったんだもん。
「うん、でも随分前のことだよね?」
「その、あれからも時々私に良くしてくれているから、そのお礼をしたくって……」
そっか、それでお兄ちゃんの好きなものを……
よし、そういうことなら任せて!
「ねぇアヤベさん、明日って空いてます?」
「えぇ、明日は特に用事はないけれど……」
「それなら明日、一緒にお買い物に行きましょう!」
「えっ?」
少し呆気にとられた表情をするアヤベさん、なんだか今日は珍しいアヤベさんがいっぱい見れてうれしい♪
「はい♪ 明日一緒にお兄ちゃんへのプレゼントを買いに行きましょう!」
「……そうね、お願いするわ」
やった♪ 明日はアヤベさんとお出かけ、楽しみだなぁ♪
「えへへっ、アヤベさんとのお出かけ、久しぶりですね♪」
「……えぇ、そうね」
「まずは向こうのお店から行きましょう♪」
「ちょっと、そんなに急がなくても……」
今日はアヤベさんと一緒にショッピングモールでお買い物♪
せっかくだしいろんなところを回って楽しんじゃおっと♪
「これとかどうですか? ネクタイピンだったら普段使いしやすいですし、お兄ちゃんも喜ぶと思いますよ!」
「そ、そうかしら……」
「ほかにもハンカチとかもいいかもしれないですね、ほらこういうの!」
「そ、そうね、彼、どんなものが似合うかしら……」
「そうだなぁ…… この色とか、お兄ちゃんが好きそうかな。でもこっちのほうが……」
「えっと、これとか、どうかしら?」
「あっ、これもいいですね!」
「失せものとかもいいですよ! 受け取る側も着かねなくもらえますからね♪」
「そうなのね、彼は苦手なものとかあるかしら? 甘いものが好きなのは知ってるけど……」
「あー、それならチョコとかはどうですか? バレンタインの時にチョコ好きなのにいつももらえないって嘆いてたし……」
「そう、バレンタインに……」
「あっ、あとはおせんべいとかも好きですよ! ほかにも……」
「手料理とかはどうかしら? 彼、お昼適当に済ませること多いし……」
「あー、でもあまり親しくないときに手料理は重くないですか?」
「……えっ?」
「だってお付き合いもしてない人にいきなりご飯を持ってこられてもびっくりされちゃいますし、相手も遠慮しちゃいますよ」
「……そんな」
「それに、お兄ちゃんカレンの手料理食べてくれないし……」
「えっ?」
「やっぱりオムライスを逃がしちゃったのがだめだったのかなぁ?」
「……? ???」
「……これでよかったのかしら?」
「きっとお兄ちゃんも喜んでくれますよ!」
「そうかしら? なら、いいのだけれど……」
お兄ちゃんへのプレゼントを抱えて、少しうれしそうにしてる。なんだか大好きなお兄ちゃんと大好きなアヤベさんが仲良しみたいでうれしいな♪
「そろそろお昼の時間ですし、そこの喫茶店でも行きませんか?」
「えぇ、そうね…… あっ、あれは……」
「えっ?」
アヤベさんの視線の先を見ると、そこにはお兄ちゃんがいました。
あれ、今日は用事があるって聞いたのに、もう終わったのかな?
「どうしますか? せっかくですし、一緒にご飯でも……あっ」
気が付けば、お兄ちゃんのそばに誰かが駆け寄ってきました。しかも後ろからもう一人……
あれは、ソノンエルフィーさんと都留岐さん?
「えっと……」
うそっ、なんで二人とあんなに親しそうにしているの?
しかも、ソノンさんお兄ちゃんの腕に抱き着いてるし!
お付き合いもしてないのにそんな破廉恥なことしたらいけないんだよ!?
都留岐さんもそれを見て笑ってるけど、その熱のこもった目線は何なんですか!?
あっ、こっそり反対の腕を組もうとしてますし!
それ以上はだめ!
バチッ
このままだとあの二人に、お兄ちゃんを取られちゃう!
バチッ バチッ
そ、そもそも二人一緒なんていったいどういう…… まさか!
バチバチッ バチッ
もしかして二人でお兄ちゃんをシェアしようと!?
バチバチッ バチバチッ
そ、そんなのだめだよ!
バチバチッ バチバチバチッ
そういうのは好きあった二人でないと、三人でなんて爛れちゃってる……
バチバチバチッ バチッ
あぁ、どうしよう、お兄ちゃんが二人と一緒にちょっとお高めのランチのお店に入ろうとしてる……
「行くわよ、カレンさん」
「えっ? イクって……」
カレンが返事をするよりも早く、アヤベさんがお兄ちゃんのところへと向かっていきました。
慌ててアヤベさんの後をついていくと、向こうもこちらに気が付いたのか立ち止まってこっちを見てる……
「こんにちはお兄さん、奇遇ね」
「や、やぁアヤベ、それにカレンも……」
「……ふふっ、お二人とも、こんにちは」
「……アヤベさんにカレンさん、こんにちは! こんなところで奇遇ですね!」
一瞬の間をおいて、都留岐さんとエルフィーさんが挨拶を返してくれる。
何かを言いたげな目線を向けてくるけれど、アヤベさんはまったく引こうとしない。
「あら、お二人ともいらしたのね? こんにちは」
「「……」」
二人の目線がきつくなる。ちょっとアヤベさん、言い過ぎでは?
「ところでお兄さん、私たち今からご飯を食べるつもりなのだけれど、一緒にどうかしら?」
「えっ、ええっと……」
「そうだね、せっかくだしみんなで一緒に食べよう! ねぇ、お兄ちゃん?」
「……はい」
こうして5人で食べることになったけど、何故かお兄ちゃんは居心地が悪そうにしてました。
……なんでだろうね♪
都留岐さんとソノンエルフィーの秘密
実は同じ人を好きになってしまったので、二人の間で秘密の取り決めをしていたらしい。