セルフ脳破壊で過酷なソロぴょいをしてしまうカワイイカレンチャン 作:名無しの権兵衛
「おにいちゃーん! お待たせ!」
「やあカレン、あけましておめでとう」
「うん、あけましておめでとうございます! お兄ちゃん♪」
今日は元日、せっかくの初詣をお兄ちゃんと一緒に行こうと約束して元日デートを楽しむんだ♪
「クンクンッ あれ、なんかお兄ちゃんいい匂いがするね?」
「いい匂い? そういえば、いい匂いがする人とは……」
「あぁ、さっきまで喫茶店にいたから、そのせいかな?」
確かに、お兄ちゃんからはコーヒーのいい香りが漂っている。
もう、せっかく一緒にお昼ご飯を食べようと思ってたのに……
「えぇ~、お兄ちゃんもうご飯食べちゃったの?」
「いや、コーヒーを飲んだくらいでご飯はまだだよ」
よかった、なら初詣が終わったらチェックしてたお店にさそおっと。
「よかった、ならこの後一緒にご飯いこ♪」
「いいよ、それじゃあ先にお参り済ませてしまおうか」
お兄ちゃんと並んで列に並び、談笑をしながら進んでいく。
最近の楽しかったこととか、おすすめのカワイイ動画とか、お兄ちゃんと一杯楽しく話していたら、長い待ち時間も一瞬だった。
「よし、そろそろだね。準備しとこうか」
「うん」
賽銭箱が見えてきたから、お賽銭を準備しておく。
今年はちょっと奮発して5555円を賽銭箱に入れる。
二礼二拍手一礼、そして神様にお願いをする。
(……今年こそ、お兄ちゃんを振り向かせることができますように)
そう、今年こそお兄ちゃんを振り向かせて、お兄ちゃんに告白してほしい。
私の本当に大好きな人、そんな人だからこそ、お兄ちゃんにはカワイイカレンのまま好きになってほしい。
自分から告白するのは可愛くない、だからお兄ちゃんから告白してほしい。
我ながら面倒くさいとは思う。でもこれこそが、お兄ちゃんと約束した『宇宙一可愛いカレンチャン』だから。
今年は大切な3年間の最後の年、この一区切りとなる大切な時期だからこそ、相応の結果を出していきたい。
(……でも、もしもお兄ちゃんが振り向いてくれなかったら)
その時、ふと怖い想像をしてしまった。
もしも、お兄ちゃんがカレンに振り向いてくれなくて、カレンがそのまま卒業してしまったらと……
結局カレンがどれだけアプローチをしても、お兄ちゃんはカレンに振り向いてくれなかった。
言葉や服装、仕草での誘惑や積極的なボディタッチ、お出かけデートと積極的に行動をしても、ついにお兄ちゃんから告白をしてもらうことができなかった。
途中、何度も自分の誓いを破ってお兄ちゃんに告白しようとした。
しかしそのたびに、踏みとどまってしまう。
もしもお兄ちゃんに断られてしまったらどうしよう、もしもお兄ちゃんがカレンのことを好きじゃなかったらどうしよう、と……
そんな風に足踏みしている間に、カレンは卒業。私は、最後まで気持ちを伝えることもできず、卒業式にもしかしたら…… と期待してみたものの、結局担当とトレーナーというありきたりな関係の味気ないやり取りで終わってしまった。
そのあと、カレンは大学生活で、お兄ちゃんは新しい担当のことで、お互いに忙しくなってしまってなかなかお互いに会えない日々が続く。
どうしても会いたくても、やはりトレーナーのお兄ちゃんと時間を合わせるのはなかなか難しい。
バチッ
こうして会えないうちに、お兄ちゃんに恋人はできていないだろうか?
バチッ バチッ
もしも新しい担当の子がお兄ちゃんに惚れてしまい、お兄ちゃんといい感じの仲になってしまったらどうしよう。
バチバチッ
そんな考えが頭の中によぎって、焦燥感が生まれる。けど、通話したくても、多忙なお兄ちゃんに負担はかけられない。
バチバチバチッ
そうして時間が過ぎていき、ようやく会えるようになった新しい担当の子の卒業式の日。
バチバチバチッ バチッ
校舎裏に、いると聞いて、見に行ったら、新しい担当の子が、お兄ちゃんに告白してて。
バチバチバチッ バチバチッ
お兄ちゃんの答えは……
バチンッ
「……レン カレン!」
「えっ!?」
「大丈夫? 随分長いことお祈りしてたみたいだけど……」
「ううん、もう大丈夫だよ!」
お兄ちゃんに言われて、慌てて賽銭箱の前から退散する。
大変大変、いくら癖になっているからって、こんなところでやっちゃうのはさすがに不味いよね?
「よし、それじゃあご飯行こっか!」
「あぁ、どこに行こうか?」
「えぇっとね、ちょっと気になってるところがあってね……」
お兄ちゃんと一緒にお店の話をしながら歩いていく。
一緒にご飯を食べて、お出かけデートに行って、そして最後にカラオケへ。
「……というわけで、『カレンチャンのカワイイダービー♪』企画、はじめま~す♪」
そこで、以前から考えていた企画をお兄ちゃんに説明する。
説明を聞いて最初は怪訝な顔をしていたお兄ちゃんだけど、趣旨を理解してくれたのかカレンのことを応援してくれた。
お兄ちゃんに応援されたら、それだけでもう百人力だよ!
そのあと、お兄ちゃんと別れて寮へ戻る。今回の企画を成功させるために、さっそく頑張らないと!
「……あら、お帰りなさいカレンさん。あけましておめでとう」
「あっ、ただいまアヤベさん! あけましておめでとうございます!」
寮に戻ると、アヤベさんが新年のあいさつをしてくれました。
今朝は時間が合わなくて挨拶できなかったから、ずいぶん遅いご挨拶になっちゃった。
「……あれ、そのタオル、どうしたんですか?」
アヤベさんの方をよく見ると、見慣れないタオルを抱きしめていることに気が付いた。抱きしめているアヤベさんは、どこか嬉しそうに感じる。
「これ? これは、今日喫茶店に行ったときにせっかくだからって買ってもらった福袋に入っていたの。……ほんと、変な人」
「えっ、もしかしてデートですか!?」
アヤベさんが少し顔を赤らめていたことに気が付いて、思わず詰め寄る。まさかあのアヤベさんにも春が来ちゃったの!? っと思っていると、アヤベさんが慌てて口を開いた。
「ちっ、違うわよ!? ただ、たまたま出会ったからちょっと喫茶店によっただけだし、コーヒーを飲んで、ちょっとお話して帰っただけだし……」
「ふーん」
思わずニヤニヤしてアヤベさんのお話を聞いてしまう。
顔を真っ赤にしながらプレゼントのふわふわタオルに顔をうずめるアヤベさんカワイイ~!
「……何よ、その顔は?」
「いーえ、なんでもないですよ~♪」
あんなに自分のことに興味がなさそうだったアヤベさんに春が来るなんて思わなかったなぁ。
なんだか自分のことのようにうれしくなってしまった。たぶんまだ芽吹き始めた感情だろうから、本人はまだ気づいてなさそうだけど、本人も結構まんざらでもなさそうだしな~。
「アヤベさん、応援してますよ♪」
「だから、そんなんじゃないわよ!?」
でも、反応がかわいいから、ちょっとくらいからかってもいいよね♪
お兄ちゃんの秘密
実は、本人は気づいていないが年下キラー