セルフ脳破壊で過酷なソロぴょいをしてしまうカワイイカレンチャン   作:名無しの権兵衛

6 / 15
遊園地

「なぁカレン、最近ちょっと根を詰めすぎじゃないか?」

 

「えっ、そんなことないよお兄ちゃん♪」

 

 『カレンチャンのカワイイダービー♪』も大詰め、この企画を成功させるためにもあとちょっと頑張らないと!

 

 そう思ってちょっと頑張りすぎちゃったのかもしれない。

 

 お兄ちゃんにはばれたくないと思っていたけど、やっぱりお兄ちゃんにはばれちゃうか。

 

「そんなこと言って、アヤベさんも心配してたぞ?」

 

「うっ、でもあとちょっとだから……」

 

 そういうと、お兄ちゃんに呆れないようにため息をつかれてしまった。

 

 うぅぅ、嫌われちゃったかなぁ……

 

「なら、少しでも息抜きをしたらどうだ?」

 

「えっ、息抜き?」

 

「あぁ、実は今週末までの遊園地のチケットがあるんだ」

 

 そういってお兄ちゃんはチケットを見せてくれた。

 

 ……これ、お兄ちゃんと私が出会った遊園地だ。

 

 もしかしてあの時のこと覚えて……

 

 ううん、でも今週末は特に頑張らないといけないし……

 

「……ごめんねお兄ちゃん。今週は特に大事なところだから、全部終わったら一緒に行こうね?」

 

「…………わかったよ、なら体調だけには気を付けるんだぞ?」

 

「うん、そこは任せて!」

 

 お兄ちゃん、ちょっと顔が怖かった。

 

 怒らせちゃったかなぁ……

 

 でも、これもすべてはこの企画を成功させて盛り上げるため!

 

 期限まであとちょっとだから、待ってねお兄ちゃん!

 

 

 

 

 

「よーし、頑張るぞ!」

 

 そして週末、お兄ちゃんのお誘いを断ってまでやるって決めたんだから、絶対に成功させるぞ!

 

「あっ、アヤベさんお出かけですか?」

 

「えぇ、ちょっと行ってくるわ」

 

 そこで、アヤベさんの服装に目を向ける。いつもはノーメイクで出かけようとするのに、今日は薄くメイクしているだけでなく、ネイルまでしている。これは……

 

「どこに行くんですか?」

 

「……遊園地よ」

 

 アヤベさんが目をそらしながらボソッと言った言葉に、思わずショックを受けてしまった。

 

 まさか、それって……

 

「えっ、もしかして前に言ってた彼氏さんですか!?」

 

「ちょっ、だからまだ違うわよ! もう……」

 

 慌てて反論するアヤベさん。へぇ、まだ(・・)ねぇ……

 

「カレンさんも、大変なのはわかるけどあんまり頑張りすぎないでよ?」

 

「はーい、アヤベさんもデート、頑張ってくださいね❤」

 

「だからそういうのじゃないって言ってるでしょ!」

 

 顔真っ赤にしてアヤベさんカワイイ!

 

 でもちょっとからかいすぎちゃったかな?

 

 アヤベさんが帰ってきたら謝らないと……

 

「さてと、それじゃあ頑張らないとね!」

 

 私はさっそく作業に取り掛かった。このまま最後まで頑張るぞ!

 

 

 

 

 

「……やぁーと終わったぁ~」

 

 これでようやく山場は終わった。やっと一息つくことができたので、伸びをする。

 

 あぁー、きもちぃ……

 

「もうこんな時間か……」

 

 時計を見ると、もうすでに夕方だ。

 

 さすがにこんな時間だと、お兄ちゃんと遊園地には行けないかな?

 

「あーあ、やっぱり行きたかったなぁ」

 

 でもさすがにこんな時間には行けないし、それに行かないと決めたのは自分だ。こればっかりは仕方がない。

 

「お兄ちゃん、どう思ってるかなぁ」

 

 その時、お兄ちゃんからデートに誘われたときのことを思い出した。

 

 ……今思えば、お兄ちゃんから誘ってもらえたのは初めてではないだろうか?

 

「あれ、もしかして…… カレンせっかくのチャンスを逃しちゃった!?」

 

 いや、まだ大丈夫なはず! だって次のデートの約束はちゃんと決めてるし、そこで挽回したら大丈夫……

 

「うぅぅ~」

 

 どうしよう、ちょっとショックから抜け出せないかも。

 

  なんだろうこの感じ……

 

「なんだか、ドラマとかで見る、仕事が忙しくて奥さんとすれ違っちゃう旦那さんみたい……」

 

 その時、典天啓が落ちてきた。

 

 ……いやいや、このタイミングでそれはだめだよね?

 

 でも、さっきまですごい頑張っていたんだから、ちょっとくらい、いいよね……?

 

 

 

 

 

 無事にトレセン学園を卒業した私は、ついにお兄ちゃんと結ばれることとなった。

 

 今までいろいろとあったけど、こんな私を、お兄ちゃんは受け入れてくれた。

 

 それからの私の人生は、順風満帆だった。

 

 大学生活にウマスタグラマー、そして何よりお兄ちゃんの彼女!

 

 私の大学生活はとっても大変だったけど、それでも充実した生活。

 

 まさにカレンの人生の絶頂期。

 

 だけど、そこで満足してしまったのがいけなかったんだね。

 

 問題が起きたのは、私が就職活動に入った時だった。

 

 今まで以上に忙しくなって、でも今までの生活も捨てきれなくって、同じ時期に忙しくなってしまったお兄ちゃんに甘えて、お兄ちゃんをないがしろにしてしまった。

 

 気が付けば、お兄ちゃんと一緒にいる時間が減っていった。

 

 そのまま就職活動が終わっても、次は仕事に向けて、その次は仕事が楽しくてと、お兄ちゃんのことを後回しにして……

 

 お兄ちゃんが会いたいといっても、仕事を理由に後日に回し。

 

 お兄ちゃんの心が離れていっていることに気が付かなかった……

 

 バチッ

 

 そんなある日、お兄ちゃんが桐生院と一緒に歩いているところを見かけてしまった。

 

 バチッ バチッ

 

 お兄ちゃんを問い詰めると、最初はミークちゃんのためと水族館や温泉旅館に行っていただけだという。

 

 バチバチッ

 

 でもカレンが全然かまってくれなくて、その心のスキを桐生院が桐生院が付いて、お兄ちゃんを奪おうとした。

 

 バチバチッ バチッ

 

 でも、それならまだ関係を修復できる。そう思っていたら……

 

 バチバチッ バチバチッ

 

 お兄ちゃんは、私に分かれてほしいと頭を下げた。

 

 バチバチバチッ

 

 ……その時、頭が真っ白になってしまった。

 

 バチバチバチッ バチッ

 

 いろいろひどいことを言ったと思う、泣いて縋り付いたと思う。

 

 バチバチバチッ バチバチッ

 

 でも、お兄ちゃんの気持ちは変わらなかった。

 

 バチバチバチッ バチバチバチッ

 

 お兄ちゃんは、縋り付く私を振り切って、そのまま振り返らずに、私の前からいなくなって……

 

 バチンッ

 

 

 

 

 

「はっ!」

 

 ガチャ っという音で正気に戻った私は、慌てて音のする方に顔を向けた。

 

 音の主は、寮に帰ってきたアヤベさんでした。

 

「あっ、アヤベさんお帰りなさい!」

 

 アヤベさんに声をかけるも、反応がない。

 

 いったいどうしたのだろうとみていると、アヤベさんは着替えもせずにベッドに倒れこんでしまった。

 

「えっ、アヤベさん大丈夫ですか!?」

 

「~~~///」

 

 びっくりして声をかけるも、反応は帰ってこない。

 

 それどころか、枕を抱きしめて顔をうずめながらゴロゴロと転がりだしちゃいました。

 

 その様子があまりにかわいかったので、こっそり録画しちゃったのは内緒です。

 

「……ハゥ」

 

 そしてしばらくすると、自らの右手を見つめながらぼうっとし始めた。

 

 ……ああぁ、これはうまくいったみたい。

 

 これ以上は野暮なので、見ないふりをしてあげるカレンチャンなのでした。

 




桐生院の秘密

さすがにミークをダシに使ったことはない。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。