正直行き当たりばったり。
残念ながら、私の穏やかな逃避行は長続きしなかった。
現在私は、旅行鞄を片手に、追手の治安維持ロボットから逃走していた。
案の定というか、私の家は目をつけられていたようで、逃走を図った私を政府の治安維持ロボットが追っているようだ。
治安維持ロボットは警察組織に所属する、名前の通り、街中の治安維持を行う人型ロボットだ。
特殊部隊や軍とは違い、常に民草に近いところで働くので、その見た目は丸みを帯びており、かっこよく青で塗装され、装飾も成されている。
愛らしさと凛々しさが共存した素晴らしいデザインだ。
機械でありながらも、子供の将来の夢ランキングではTOP20の常連で、デザインにより、市民に親しみを抱かせる試みは、現在進行形で見事な成功を収めている。
しかし、その実、見た目重視で、しかも全国に配備するために廉価であることが重視されているので、性能は控えめなもの。
その代わりに暴動鎮圧、犯罪者の逮捕に適した性能をしている。
武装はスタンガンと警棒のみ。
しかし、その一方で、防御力は重視されている。
私が今持っている包丁や、あるいは鉄パイプ、そして火炎瓶のような簡易的な武装は寄せ付けない。
治安維持には必要十分な性能で、治安維持部隊のニーズに応えた傑作と言ったところか。
身体強化もできない一般人であれば、スタンガンと警棒になすすべもなく、一瞬で制圧されて終わりだ。
「止マリナサイ! 止マリナサイ! 自首ヲスレバ悪イヨウニハシマセン!」
「うっせぇくそったれ! そんな警告で誰が止まるか!」
ロボットは警告を叫び、脚部をガシガシと唸らせながら私を追い詰める。
私もかつては治安維持ロボットに憧れたものだが、こうして彼らの手を煩わせているあたり、当時の私が今の私を見れば、いったい何を思うのだろうか。
スタンガンの連射をどうにか回避し、こまめに脇道へ逸れることでどうにか逃げ続ける。
これが火事場の馬鹿力か。
最初のうちは、路端の物を倒して追跡を妨害しようとしていたのだが、奴が唐突に壁走りを始めたので、早々に辞めてしまった。
道の角を曲がり、意を決してそこで急停止。
鞄を振りかぶり、ロボットの頭が角から見えたところでフルスイングだ。
鈍い音が響き、私の渾身の一撃にロボットは倒れこんだ。
いくら頑丈とは言っても所詮は人型。
頭を重量物で殴打されれば強大なモーメントが姿勢制御を崩し、地面に倒れこむことになる。
倒れこんだロボットに馬乗りになり、コートの裏ポケットから包丁を引き抜く。
適当に巻いてあった紙を破り捨て、その勢いのまま、ロボットのカメラアイから頭を貫いた。
「国民包丁6号は24倍圧縮の強化セラミック合金製! どうだロボット! 私の刃は痛かろう!」
カメラというのは本質的に、どれだけ装甲で覆おうとレンズだけは外部に露出させなければならない。
どう頑張ってもレンズというのはロボットの弱点なのだ。
デモの鎮圧に向かった治安維持ロボットが、暴徒の投石にカメラを破壊されるというのはよくある話だ。
無残にも頭部を破壊されたロボットは、「ピーガー」と怨嗟の悲鳴を上げ、そのまま動作を停止した。
ロボットの重要部品、コンピューターやバッテリーなどは胸部にまとめられ、重厚に防御されている。
そのため、カメラ以外の機械的な問題はないのだが、治安維持ロボットは周りの状況が把握できない状態での攻撃的行動を禁止されているのだ。
状況把握が満足にできない状態でむやみに動いては、無辜の一般市民に損害が発生する恐れがあるためだ。
彼はすでに動かなくなったが、念のため、何度か頭部を突き刺しておく。
すぐに応援が来るだろうから、すぐにこの場を離れなければいけない。
ロボットの頭を叩いた時の衝撃で、少しへこんだ旅行鞄が虚しい。
恐らくというか確実に、奴のスタンガンや警棒には発信機が仕掛けられているから、追い剥ぎをすることはできない。
「得るものの少ない戦いだった」
スラムに逃げ込み、追っ手を撒こう。
意外と筆が進みますね。
戦闘シーンはこれでいいのか!?(葛藤)
主人公の設定などはこれから開示していければと思います。
なんだか文章全体を通してセリフが少ないですから、どうにか増やしていけたらうれしいです。
続きを書きたいとは思っているのですが、なかなか展開が思いつかず...。
めちゃくちゃお待ちください。