輪廻転生のご褒美はガルパンワールドでの人生   作:Rooto

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オリ主ちゃんの過去です。


第2話 過去

初めは平和だった。

現代日本の普通の家庭に生まれ、多少の不自由はあるかもしれないけど、普通の人生は送れるだろうと思っていた。

父、母、姉、弟、俺の5人は幸せに暮らしていた。

 

━━━あの日までは。

 

あの日が何年の、何月何日かはもう忘れた。

しかし、平和な金曜日だったことは鮮明に覚えている。

 

会社員の父と友達と遊びに行った大学生の姉を待ちながら俺と弟はゲームをしていた。

キッチンからは母のカレーの香りが漂ってくる。

それが俺の家族の日常だった。

高校から帰った俺は、待ちわびる弟を微笑ましく思いながらテレビとゲーム機の電源を付ける。

 

その時だった。

 

窓からとてつもない光が入ってきたと思った刹那、ガラスが割れ、家中に飛び散った。大きな窓のそばにいた弟の体には、無数のガラス片が刺さっていた。首にはとりわけ大きなのが刺さっていて、そこから血が噴水のように吹き出していた。

即死だったと思う。

 

母はキッチンにいたので何とか無事だった。

アドレナリンで痛みを感じなかった俺は意外にも冷静に、自分の傷口を止血した。

止血して落ち着いた途端、アドレナリンが切れて痛みと疲れがどっと押し寄せてきて俺は失神し、そのままガラス片の飛び散った床で寝た。

 

 

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数週間後

 

相変わらず身体中が痛いが、俺と母は何とか生きていた。

どうやらあの爆発は先制核攻撃だったらしい。

 

つまり、日本は戦時中になった。

 

自宅の近所は弟を含め、何人かの死者や負傷者を出し、窓ガラスが割れ、歴史のある家が吹き飛んだりしたものの、爆心地から比較的離れていたこともあって、秩序は保たれていた。

 

都会、つまり爆心地付近にいた父と姉は行方不明になった。

恐らく死体も残らなかったということだろう。

 

その後、上陸した敵軍が家にやってきて、金目のものや食料を根こそぎ奪って行った。

抵抗した母は俺の目の前で拷問されながら殺された。母を守ろうと俺は暴れたが、相手は正規兵、素手の高校生では太刀打ち出来るはずもなかった。

 

敵兵の前で暴れた俺は殺された。

最期に、家族と自分を守れなかった自分の弱さを恨みながら。

地獄は、そこから始まった。

 

 

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1941年6月末 ソビエト連邦 ミンスク

 

俺は死んだはずだった。しかしどういうわけか、周りにはソ連軍の兵士らしき人が何人かいて、必死に何かと戦っていた。

俺はロシア語なんて一回も習ったことはなかったが、何故か彼らの言ってる言葉が理解出来た。

 

訳も分からず地面で寝ていると、やがて銃声が止み、ドイツ兵らしき人が何人か近づいてきた。

とりあえず何か話そうと起き上がった瞬間、胸に強烈な痛みが走った。

第2の人生はわずか5分で終わりを迎えた。

 

 

1914年8月 ベルギー王国 リエージュ

 

訳が分からなかった。

俺は死んだはずなのに、今度は周りにドイツ兵が何人もいて土嚢に隠れて撃ち合っている。

頭上からは時折機関銃の弾が飛び交っていた。

 

周りの人に状況を聞こうにも「今は戦いに集中しろ」だの「ベルギー軍と撃ち合ってる以外に何にみえるんだ?」だのと役に立たない。

夢かとも思ったが、感覚ははっきりしているし、何をしても目が覚めそうにはなかった。

 

しばらくすると伝令兵が

 

「リエージュは降伏した、戦闘行為はもう終わりだ!」

 

と、叫び回っていた。

周りのドイツ兵が安堵した顔で銃を下ろした。

どうやら戦いは終わったらしい。

 

 

あの後、俺は記憶喪失を理由に野戦病院に入れられた。

時折悲鳴が聞こえるが、ようやく1人で記憶を整理する暇を手に入れた俺は、もしかして記憶を保持したまま、輪廻転生しているのでは、と気づき始めた。

 

結論から言えば正解だった。

俺はこれまでの記憶を保持したまま輪廻転生を始めることになった。

時には赤ん坊から始まり、時には突然現れたり、遺体がそのまま息を吹き返すかのように俺の魂が入ったり。

しかし、そうして得た全ての人生で俺は戦いに巻き込まれた。

時には虐殺される民間人として、時には最前線の兵士として、そして時には戦争を指導する高級将校として。

 

もちろん全ての人生で戦死した訳では無い。

戦い抜き、その後穏やかな老後を送れることもあった。

 

女に生まれたことももちろんある。

なんならその方が圧倒的に多い。

男の体力があれば、なんて場面も幾多もあった。

 

ちなみに知らない言葉を解する能力は初心者ボーナスみたいなもので、50回目以降は自分で習得しなければならなかった。

もっとも、記憶は引き継がれるので毎回毎回学び直す必要はなかったが。

 

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1945年4月 ドイツ国 ケーニヒスベルク

 

ドイツ兵として第二次世界大戦を戦うのは何回目だろうか。

少なくとも戦車兵としては80回目辺りか。

まぁ今搭乗してるヘッツァーは正確には戦車じゃなくて戦車駆逐車だが、そんなことはどうでもいい。

何せ今はドイツ兵の恒例イベント、絶望的な末期戦の最中だからだ。

 

正直IV号が一番乗り慣れてるからそっちの方がいいが、今の戦況で贅沢は言ってられない。

装甲がついてるだけラッキーだ。

それに今のヘッツァーとはワルシャワ蜂起から数ヶ月は一緒に戦っている。

末期戦の価値観では十分一緒に戦ってる方だ。

それに乗員はバルバロッサの時から3凸に一緒に戦ってきた、歴戦の乗員達だ。

 

「ミュラー車長、司令部からは『何があってもケーニヒスベルクを死守せよ』との事、司令部の奴らはこの戦力差を覆す作戦があるらしいっスね?」

 

砲手の青年が皮肉交じりに言う。

 

「総統閣下の命令を心から信じる完璧な作戦ですよ。」

 

装填手の少女が返す。

 

「それが出来たら苦労しないんだがね。」

「「「wwwwww」」」

 

操縦手の青年がツッコみ、笑いが起きる。

数年間も現代日本人の感覚をもつ上官の元にいたからか、末期ドイツ軍の兵士にしては珍しくナチスに懐疑的な乗員達だ。

だからこそ前線司令部から総統に至るまで、あらゆる上官の陰口が言いたい放題の空間になっている。

この空間に狂信的なSS隊員を混ぜたら、通報する前に失神するだろう。

 

「落ち着け、もうすぐソ連軍がやってくる。IS重戦車も配備されている部隊だ。この地点で何両かT-34を狙撃で潰したら市街地に撤退し、ゲリラ戦だ。もしその前にISがやってきたらすぐに撤退しろ、この戦車じゃ勝ち目は無い。」

「市街地に下がったら撃破されないよう細心の注意を払いつつ歩兵を囮にISの横っ腹をぶん殴る。戦車がダメになったら積んである小銃とパンツァーファウストを持ってゲリラ兵になれ。」

「作戦は以上だ。簡単な作戦だが、練度の低い歩兵共と連携しなければならないから市街地でのゲリラが一番敵に効く。」

 

「「「ヤヴォール!」」」

 

「車長、今回もいつもの天才的指揮、お願いしますね!」

 

「期待してるっスよ!」

 

この子達はみんな俺が天才の類だと思ってる。

別にそんなことは無い。

()()()()が効く上に何十年も戦車に乗っていて、かつ敵戦車の知識があるからだ。

 

 

装填手side

 

ミュラー車長は間違いなく伝説的な軍人になるでしょう。なんなら既になってます!

私より少し年上なだけなのに、オットー・カリウス中尉やミハエル・ヴィットマンSS大尉と並んで最強の戦車乗りと言われ、数々の勲章を受賞してます。

ヘッツァーは正確には戦車じゃないですけどね。

訓練も全科目満点で修了したと聞きますし、バルバロッサ作戦での初出撃ではいきなり車長を務めてます。

 

私が彼女の元に装填手として配置された時は、「こんな若い女性でも車長になれるんだな、私もいつかなれるかな」だなんて思ってましたが、この4年間一緒に戦ってきて、そんなのは唾棄すべき甘い考えだと思い知らされました。

私と彼女との間には決して越えられない壁が何枚もあるのです。

いかなる戦場であろうといつも冷静沈着、トリッキーな作戦を思いついては何両もの敵戦車を屠り、敵歩兵に囲まれる絶望的な場面ですら幾度も乗り越えています。

 

しかし、そんな彼女が今は焦りの色を隠せずにいるのです。

作戦通りに何両かのT-34を撃破し、市街地に撤退して、対戦車歩兵を気を取られていたISを撃破したまでは良かったのですが、現在は敵の随伴歩兵に囲まれちゃってます。

歩兵に囲まれるのは戦車にとって危機的状況であるというのは凡人にも分かるのですが、果たして何が車長をここまで焦らせるのでしょうか ─────

 

 

ミュラーside

 

油断した。

ISをやったはいいものの、敵歩兵に取り囲まれている。

これくらいならなんてことは無いのだが、両脇から敵戦車が来ている。

乗員たちは恐らく気づいてない。

前方の大通りには対戦車砲が睨みを効かせているので急いで後退して敵戦車に正面を向けなければいけないのだが、周りの歩兵共が地雷を置いているかもしれない。

顔を出して周囲の状況を確認したいが、そんなことしたら一瞬で蜂の巣だ。

 

経験的にこの状況は詰んでいる。

俺が死ぬのは別に怖くない。

しかし、この乗員たちは生き残らせてやりたい。

そんな焦りが顔に出ているのだろう、装填手の子が不思議そうに俺を見つめてる──────

 

 

俺の意識はそこで途絶えた。一か八かで後退したら見事に地雷を踏み抜いたのだろう。

 

 




バルバロッサ開始時に乗ってた3凸はフィンランドに送られました。
ここから冒頭に繋がります。
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