陰の立役者と呼ばれて   作:一般構成員

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第十話 陰の立役者は約束を果たしたい

 

 

 

 想定していたよりも早くゼノンがアレクシア王女の所まで来たから、俺はシャドウが来るまでアレクシア王女の子守をする事になった。

 しかも思ったよりシャドウの到着が遅かったから時間をくってしまった。

 一応先にゼータを向かわせてミリアの捜索を頼んでおいたから、何とか遅れは取り戻せるとは思うけど。

 本当はゼノンが見えた途端に首を刎ねて殺してもよかったのだが、シドの獲物を取るわけにはいかなかったので、適度に実力差を分からせる事でフラストレーションを発散するぐらいしか出来なかった。

 

 だからわざわざ強化形態(笑)も残しておいたし、シャドウの活躍を見る観客としてアレクシア王女も残しておいた。

 これがデキる相棒というものだ。

 

 そんな事を考えながら俺は音速一歩手前の速度で地下を移動する。人が多い所じゃ出来ないというかやったら被害が出る移動速度だ。

 本当はもっと速度を出せるけどそれは長距離移動用だからな、こんなクソ狭い地下下水道では出来ない。

 

 何だかんだで地上に出たので、ゼータに合図として魔力の信号弾を打ち上げる。

 少しすると赤い魔力の光が遠くに上がる。

 

 ……赤って事はよくない事態が起きてるって事か。急がないとな。

 俺は信号が上がった場所に向かって飛んで行った。

 

 

 

 現場付近に到着すると苦しそうにもがくデカい化け物と、それを傍観する騎士団と街への被害を抑えようとしているアイリス王女が居て、それに対峙する形でアルファも居た。

 少し離れた建物から見ているゼータの近くに降り立つ。

 

「やっと来たんだジョーカー」

「悪い思ったより時間が掛かった」

「それで王女様の子守はどうだった?」

「ムカつくカスの顔面に一発拳をぶち込んだから満足した」

「そう、よかったじゃん」

「総合的に見たらよくないな」

 

 本当に時間が掛かってしまった。見た所騎士団には何人か被害が出ているようで、その影響でアイリス王女は化け物を攻撃していたらしい。

 そしてあの推定ミリアを攻撃させない為に今はアルファが前に出て相手をしているといった感じだな。

 これは……俺が戦犯かな? もっと早く到着しておけばここまでややこしい事態にはなってなかっただろうに。

 

「状況はあまりよくない感じだな」

「うん、アルファ様があの王女様と化け物にされたあの子を一人で抑えてる感じかな」

 

 アルファの立ち回りは非常に上手いな。イイ感じにアイリス王女の気を引いてくれている。

 そして何となく分かっていたけど。

 

「やっぱりあれがミリアって子か」

「そう色々な実験で身体とかが変質していて、もう私たちじゃ治してあげられない。もうここまで来たら主かジョーカーしか無理」

 

 何てこった。アルファでも無理だったのか、しかもゼータでも無理ときたか。

 ゼータには一応昔コツを教えたから出来る筈なんだけどな。無理だったか。

 

「だから助けてあげて」

 

 言われなくてもそうするつもりだ。俺は懐から昔託された青い宝石の入った短剣を握りしめる。

 長い年月が経ってしまったけど、ようやく託された約束を果たせそうだ。

 

「当たり前だ約束は果たす。ゼータ援護を頼む、治療に専念したい」

「分かった」

 

 そう言いながら俺たちは移動してアルファ達の所へ行く。

 そして戦いを中断させる為にわざとアルファとアイリス王女の二人の間に着地する。

 ちょっと大げさに飛行用に広げていた翼をスーツに戻していく。

 

「ジョーカー、やっと来てくれたのね」

 

 アルファは安堵した声でそう言った。

 だがアイリス王女は違う。

 

「似た様な服装……新手か?」

 

 どうやらかなり警戒している様だ。何があったらここまで警戒されるんだ?

 この一連の流れを起こしたのは俺だけど、ここまで警戒されるような計画は実行してないと思うんだけどな。

 変に煽る様な事を言わなければ、この前会った時の印象ではアイリス王女は結構まともな方だったし、こんな明らかに敵対してこないと思うんだけど。

 

 ここは今後の為にも柔軟な対応が求められるな。

 

 ――刮目せよ……今まで七陰の皆に謝り倒して磨いた完璧な話術をッ!

 

 先ず初めに言うべき台詞は――。

 

「いえ、敵では無いです。ただこの子を救いに来た。それだけですよアイリス王女」

 

 これが一番大事な事で、シンプルに自分たちは敵では無いと明かす。

 謝罪の時もそうだ。変に言い訳を並べると返って怒りを買う事が多い。

 怒りを買ってしまうとどうなるのか、簡単な話だ。

 アルファとガンマにシャドウガーデンの資金を使えなくされたり、ベータやイプシロンからはいつかする予定らしいシャドウとのデートの為の服を買う時に連れまわされて、挙句の果てに財布代わりにされたりするのだ。

 因みにイータは何を言っても初めから実験台にする気しか無いから、怒らせても怒らせなくても結果が変わらない。理不尽すぎる。

 何が言いたいのかと言うと話をややこしくしたく無いなら、ハッキリと目的を言うべきなのだ。これが今までで学んだことの一つだ。

 

「……救いに来た?」

 

 おっと、アイリス王女は攻撃を止めてくれる様だ。よかったよかった。

 これは今までの経験が生きたな。うむ。

 

「悪いけれど攻撃するのは止めてもらえないかしら? 彼の邪魔になるから」

「そうそう、でも見ていた方がいいよ。せっかくの機会だし人の上に立つ者として世界の真相を知るべきだ」

 

 アイリス王女の疑問にアルファとゼータがそう言う。

 ……アルファさん? どうしてその微妙に辛辣な発言をするの?

 見てみろよ。アイリス王女の顔がちょっと引きつってるじゃないか。

 

 急に後ろでドンパチし始めそうで怖いがこれ以上ミリアを待たせる訳にはいかない。

 

「それじゃあ今助けるからな。悪いけど少し大人しくしていてくれ」

 

 そう言いながらスライムで作った鎖でミリアの全身に巻いていく。

 俺の作ったスライムチェーンは全力のデルタでも引きちぎれない程強固なものだ、どれだけ暴れても抑えれる自信がある。

 

 簀巻き状態にした後そのまま身体に触れ治療を開始する。

 まず始めに魔力を流して調べていく。

 原因の特定をしてからじゃないとただ魔力暴走を抑えても治る保証が無いからな。

 

 これは……何が原因なんだ? 驚く程見た目以上に中身がぐちゃぐちゃになってるな。

 実験の段階で未完成品でも体内に入れられたのか?

 別の部位で手足を構成してる感じがするな。酷い状態だ。

 普通に悪魔憑きを治す時みたいに魔力暴走を抑えても、このままだと戻っても直ぐにこの子は死んでしまう。

 まず抑える前に身体を治すところから始めないと。

 

「今からかなり気を遣う作業に入るから、頼むから後ろでドンパチしないでくれよ?」

 

 多分大丈夫だろうけど、一応言っておかないとな。

 集中して調べていく。現在のこの見た目の身体で、どの部位でどこを構成されているかを確認していく。

 

 ……全部把握できたな。次は混ぜ合わされて強引に人の型に変えられ、本来の身体のパーツが別の場所に使われているのを戻していく。

 ただ単に赤い錠剤を飲んだ時みたいに身体が膨張しているだけだったなら、まだ治すのは簡単だったんだけど。

 

 突然ミリアが叫びだした。相当な痛みがあるだろうからな、そりゃ叫び声も上げるだろう。

 悪いけど痛みは我慢して欲しい。もうすぐ終わるから。

 

 一分ほど掛かってしまった。外見上はあまり変化は無いが、中身はちゃんと人の形に戻した。

 

 凄い大変な作業だったな。後は要らない混ぜ物を取り出しながら魔力暴走を治していくだけでいい。

 そうしていくと段々と化け物の姿だったミリアは白い煙を上げながら萎んでいく。

 最終的にオルバ子爵と同じ髪色の灰色の髪の少女の姿に戻った。

 脈を測る……よかった生きてるな。衰弱が激しいけど何とかなりそうだ。

 身体が冷えない様にスライムの布で覆ってそのまま抱える。

 後はイータに任せたらいいかな。

 そんな事を思っているとアイリス王女が話しかけてきた。

 

「まさか先ほどまでの怪物はその子だったのか」

「その通りですアイリス王女。そして彼女は元々は悪魔憑きだった」

「……悪魔憑き、治療する方法があったのですか」

「長い間闇に葬られていたようですがね」

「……」

 

 アイリス王女は黙ってしまった。そりゃそうだろう治らない病とされてきたものが治る瞬間を目にしたのだから、今までの自分の価値観も揺らぐだろう。

 これからはミドガル王国にも頑張ってもらいたいから、色々と情報を与えておこう。

 

「実はこの子は元々悪魔憑きから救おうとした父親から、ある組織が騙し奪い去り挙句の果てに実験台にされたのです」

「――ッ! 一体誰がそのような非道な行いをッ!」

 

 アイリス王女は感情が昂っているのか魔力が身体から溢れ出ている。そして周りの雨粒が蒸発していく。

 

「『ディアボロス教団』それが組織の名前だ。裏で世界を支配し続ける組織です」

「『ディアボロス教団』あそこはただ魔人を崇拝する宗教団体だったのでは?」

 

 名前は知ってるんだな。意外だ。

 

「それは表向きの姿。奴らは世の中に溶け込んでいる。騎士団もそのうちの一つですよ」

「騎士団が? まさか⁉」

「夜が明ければ全て明らかになっているはずです」

 

 一般人には広がる事は無いだろうけど、王族であるアイリス王女には真犯人が誰だったのかという情報は流れてくるだろう。

 

「気を付けたほうがいいですよ。奴らはどこにでも潜んでいます」

 

 そう言って立ち去ろうとする……今思ったけど何か地下での戦闘と言い今回俺が陰の実力者っぽい事をしてないか? もしかして。

 そんなくだらない事考えていると呼び止められる。

 

「待ちなさい! 貴方達は一体何者なのですか?」

 

 …………どうしようか。ここはちゃんと組織名や目的などしっかり言っていいものか、どうしようか。

 そんな事を考えていると。

 

「我々は『シャドウガーデン』陰に潜み陰を狩る者」

 

 先に勝手にアルファが名乗ってしまった。うーん、まあいいか。

 

「我らはディアボロス教団を滅ぼすただそれだけの存在だ」

 

 一応王国とは敵対する気は無いと言う感じで目的も軽く言っておく。

 後で何かあったら俺が責任を代わりに取ればいい話だな。うん。

 

「……『シャドウガーデン』。貴方達はこの国に敵対する意思は無いのですね?」

いえ、もしこのミドガル王国が教団に支配されたら躊躇なく滅ぼします

「なっ!」

 

 申し訳ないけど王国が教団の手に落ちたら普通に全力で潰しにかかる。そこに関しては嘘は付けないな。

 

「ですが、そうでないなら共に戦いたいと思っています」

「…………」

 

 普通にさっきの発言は不味かったか? でも変に嘘はつくべきじゃないしな。

 簡単にミドガル王国が乗っ取られない様に助言はしておこう。

 

「ですのでアイリス王女少しだけ助言を。貴女はもう少し剣以外の道も見るべきだ」

「それは忠告と受け取っても?」

「さぁ? どうでしょうね。それでは我々はこれで」

 

 そう言って今度アルファとゼータを連れてここを立ち去る。

 

「食えない男だ」

 

 何か後ろでアイリス王女が言ってるけど無視しておこう。シャドウガーデンの去り際は静かに。

 少し振り返って見るとそのままアイリス王女もアレクシア王女の捜索に行ったようだしな。

 問題なさそうだ。

 

 離脱して暫く進んだ時アルファが話しかけてくる。

 

「あそこまで話してよかったの?」

「使えるものは何でも使っていきたいからな」

 

 本当はアルファが名乗っちゃったから流れで言っただけだけどな。

 

「そう、私からすればあの王女様もその辺の住民と変わらずただの観客だと思うけど」

 

 観客ね。……もしかしてそれ本人に言ってないよな? もし言ってたならあの緊張感があったのに説明がつくけど。

 まさかそんなアルファが煽るような事をいう訳――いや、結構アルファも口が悪い時があるからありえるかもな。

 

「まあそう言ってやらないでくれ。アイリス王女が俺の話を聞いてくれていなかったらもっと動くのが遅くなっていた可能性がある」

「そう言えばそうだったわね」

 

 この作戦が早い段階で実行できたのは我らがシャドウ様を早い段階で釈放出来たからだ。

 だから今回俺は結構アイリス王女に感謝している。

 

「それにこうやって教団に対抗する人間を増やしていくのは戦術的にもいい。これから王族に敵対心を向けられ続ける事になる。そうして教団に問題を大量に送り続けてミスを誘発させやすくする。そこをついて我々は的確に攻撃をしていく」

「なるほどね、いつもの貴方のやり口で安心したわ」

「おい、それってどういう事だ」

 

 何かまるで俺が勝つ為には手段を選ばない奴見たいじゃないか。全くもってその通りだけど。

 

「まぁアイリス王女はいい広告塔になってくれるだろ、かなり発言力も高いはずだし」

「そこはどうかなぁ」

 

 ゼータが何やら微妙そうな表情をしている。え? 何か見当違いな考えをしてんの俺?

 そんな不安を感じていると王都中が突然膨大な紫色の魔力に覆われる。

 

 ……アレ?これって不味いパターンでは?

 

 いやいや、アイツにはデルタ以下になるぞって前もって言ったし大丈夫なはずだ。そう大丈夫何も心配する必要は無いのだ。そう無いったらない。

 そんな心配をよそに魔力はさらに込められていく。

 紫色のドームに独特な電子回路の様な幾何学模様が浮かび上がる。

 

 あっこれはアカンやつや。

 

 そんな事を考えていたら魔力が急に圧縮される。オイオイオイ、終わったわ王都

 

 覚悟を決めてその瞬間を待つ……爆発する瞬間を…………アレ?

 

 十秒ほど待ったけど何も起こらなかった。

 これは……アレか! 見せるだけってやつか安心したわ!

 

 でもまぁこれで教団も敵がどんな存在なのか分かったんじゃないかな。下で戦ったゼノンみたいに見当違いな自信を持ってる奴とかは出てこないでしょ。

 

 横を見るとアルファは少し残念そうにしていて、ゼータは俺と同様にホッとした感じだな。

 ……アルファさん? 何で少し残念そうなんだ? もしかして何も知らない市民に対して少し不満があったりするのか?

 何となく俺やシャドウでは分からない悪魔憑きだった頃の事情が絡んでるというのだけは分かるけど、下手に王国関係者とかを煽ったりされると困る。

 だから一応釘を刺しておこう。

 

「アルファ」

「……何かしら?」

「何かあるなら俺やシャドウを頼ってくれていい。余り一人で抱えすぎるなよ」

 

 ……釘を刺すとは言っても俺はアルファ達に説教じみたことが出来る様な立場じゃないからな。こんな事しか言えない。

 どこまで行っても俺はシャドウガーデンの皆を騙し続けているようなものだ。

 

 アルファは一瞬驚いた顔をしたが、いつもの少し微笑んだ表情に戻った。

 

「そうね、でもそういう時はまずシャドウを頼るわ。貴方は時々頼りない事があるから」

「最後の一言が余計なんだよなぁ」

 

 今までの所業でこうなるのは分かるけど。

 

「ゼータも俺が頼りないって思う時あるか――って何だよその目」

 

 振り返ってゼータを見たらめっちゃ不機嫌ですって感じの目をしていた。何でだよ。

 

「何か言いたい事あるのか?」

「いや? 別に何も無いけど?」

「そうか? ならいいけど」

「……はぁ」

 

 突然アルファがクスクスと笑い出した。

 何が面白いんだよ。

 

「さぁ、後処理の時間ね。ジョーカーはその子をイータの所に届けてあげて。いつまでも応急処置じゃ苦しいままでしょうし」

「そうだな、俺は行くから二人共ここは任せるぞ」

「ゼータはこっちを手伝ってちょうだい」

「……分かった」

 

 何故か面白そうにしているアルファと何故か不機嫌そうなゼータに後を任せて、俺は抱えてるミリアに負担がかからない程度の速度で、アレクサンドリアまで飛んで行った。

 そしてその後無事にイータに預けて王都に戻ってきたら、色々と処理は終わっていた。

 

 ゼノンの最後だが頼みの綱である錠剤を使ったがまるで歯が立たなかった上に、最終的にシャドウの『アイ・アム・アトミック』の見せるだけヴァージョンで放心してしまい、そのまま首を刎ねられて死んだそうだ。随分とあっけない最後だ。

 

 そんな感じで教団によるアレクシア王女誘拐事件は幕を閉じたのであった。

 

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 初夏特有の日差しの厳しい中、二人の学生が校舎の屋上で向かい合っていた。

 一人は我らがリーダー、シャドウことシド・カゲノーで、もう一人はすっかり回復したアレクシア王女だ。

 俺は少し離れた屋上の入り口の陰で待っていた。

 ……この二人のシチュエーション、何だかラブコメの波動を感じるな。

 

「明らかに裏のある今回の事件、表向きは解決したことになったわ。でもアイリス姉さまはこれを機に専門の部隊を結成する事にしたみたい。今はまだ準備段階だけど、私も協力する予定だわ」

「ふーん、大変そうだね」

 

 アレクシア王女の結構真面目な話に、いつも通り興味無さそうに返事をするシド。

 

「そう言う訳であなたの容疑は完全に晴れたわ。既にアリバイか何かが見つかって疑われていなかったみたいだけど、迷惑かけたわね」

「別に気にしなくていいよそんな事。それよりもさ暑いから話すなら中で話さない?」

「待って、まだ言いたい事が二つあるの」

「ここで?」

「ここで」

 

 シドは本当に嫌そうにアレクシア王女と向き合った。

 一応話ぐらいは聞く気があるらしい。珍しいな。

 

「まず一つ目。前に私の剣が好きだって言ってくれたでしょ。その事についてお礼を言っておこうって思って。遅くなったけど、ありがとう」

「別に僕は思った事を言っただけだから、そこまでお礼とか言わなくてもいいよ」

「やっと自分の剣が好きになれたの。あなたのおかげじゃないけれど」

「一言余計じゃない?」

「お互い様でしょ」

 

 確かにお互いに一言余計だな。傍から見ていてもそう思う。

 

「まぁ好きになれたならいいんじゃないかな」

「そうね、いい気分だわ」

 

 アレクシア王女がそう言いながら微笑む。

 ……どうでもいいから早く話終わらないかな。ここで待ってろって言われてるから待ってるけど、友人のラブコメを見てるだけなのは結構退屈だ。

 

「で、二つ目は何なの?」

「あれから付き合っていたフリをしていたけれど、今回の事件でゼノンは晴れて死んでくれたから」

「そうだね。これでようやく僕は開放される訳だ」

「そこでちょっとした提案なのだけれど……」

 

 おやおや? 何だかアレクシア王女が顔を赤く染めてもじもじしている。

 やはり俺が感じたラブコメの波動は勘違いでは無かったか。

 

「あなたさえよければ……その……この関係をもう少し続けてみないかなって……」

 

 段々と声が小さくなってる所がポイント高いな。あの時のシドの告白を思い出す。

 だがあの時と違うのは告白するのがアレクシア王女で受け手がシドという点と、もう一つは罰ゲームでとか、モブイベントを楽しみたいとかそんな理由じゃなくて、結構ガチな告白だという所だろう。

 凄い主人公っぽいシチュエーションだな。

 主人公を目指している奴が見たら、血の涙を流していたに違いない。

 だがシドはあくまでも()()()()()()()()、この完璧なツンデレ王女様の告白に対する回答など決まっている。

 

「やなこった、君の恋人何てもうこりごりさ」

 

 ご丁寧に両手で中指を立てながらそう言うシド。

 笑顔のままアレクシア王女は抜刀する。そしてそのままシドに振り下ろす。

 

「アバーッ!」

 

 哀れシド・カゲノー、純情な乙女の感情を無下にするからそうなるのだ。

 

「待たせたわね。用事は済んだから行きましょうかシュウ君」

「えっ、ああ」

 

 何か何事も無かったかのように話しかけてくるからビックリしたわ。

 

「アイリス姉さまの所に行って、新しく設立する騎士団の話を聞きに行きましょうか」

 

 そう言うアレクシア王女に俺はついていった。

 ぶった斬られて血みどろで倒れているシドを見なかった事にして。

 アイツの事だ後五秒ぐらいしたら復活してるだろ。知らんけど。




 今回もここまで読んで頂き本当にありがとうございます!

 現在実施させて頂いているアンケートなのですが、1/22(月)頃に締め切りとさせて頂きます。事前に書くのを忘れてしまい大変申し訳ございません。
 後アンケートについてですが皆様投票して下さりありがとうございます!
 頑張って皆様の期待に応えられる様な作品をお届け出来ればと思っています。

 それでは次回も楽しみにして頂けると幸いです。
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