夏凪隊はラウンド2を終え次のラウンド3を勝てばいよいよB級中位戦から上位へと上がっていけるだろう。
「次は東隊、香取隊、荒船隊の四つ巴ね。」
「東さんがいるから生存点難しんじゃない?」
夏凪と早坂は次の試合の対戦してについて話す。
「マップ選択は荒船隊がする以上ほぼほぼの確率で市街地Cだろ。」
緋山は荒船隊の特色や過去のログからそう判断する。
「渚が狙撃手として動けば香取隊以外はどこも狙撃手ありになるね。」
「今回の対戦相手のログを見たが東さんがいるせいで生存点が取りずらいけど他は各チームそれぞれ明確な弱点がある。香取隊は香取以外で点が取りづらく香取をフォローしてるがムラがあること。荒船隊は荒船以外近づかれたらダメなこと。小荒井と奥寺に連携プラス東さんの狙撃が無いと少し決定力に欠けること。」
そして緋山から驚きの作戦が告げられる。
「今回渚は東さんだけを狙って動いてくれ。東さん以外から俺が本気で点を取る。早坂は渚のサポートに重点を置いてくれ。」
「オッケー」
「わかったよ。東さんがどうしても見つからない時はイーグレットで援護するから。」
そうして夏凪隊ではB級ランク戦初の四つ巴での戦いの作戦を決めたのであった。
「みなさんこんちはー。今日実況担当の太刀川隊国近でーす」
観客席に国近の穏やかな声が響く。
A級 太刀川隊オペレーター 国近柚宇
第三戦は静かに始まりを迎えようとしていた。
「解説席には米屋君と緑川君が来てまーす」
『どうぞよろしく』
国近の隣には米屋、緑川が陣取っている。今日もA級隊員による解説に期待が高まった。
「B級ランク戦Round3、全部隊転送完了! マップは市街地C! 転送位置はランダムですが、高所が有利なこのステージ。一番高台に近いのは半崎隊員!」
全隊員が戦闘マップに転送される。開始早々、半崎と穂刈の狙撃手二人はバッグワームでレーダー上から姿を消した。
ランダムな位置からスタートする中、高台に最も近いのは半崎だ。彼を筆頭に次々と隊員達が坂をかけあがっていく。
半崎のすぐ後ろには香取隊の若村の姿があった。バッグワームはレーダーから確認できないが肉眼での視認は可能だ。案の定、若村は坂道を駆け上がる半崎の姿を捉える。
「いた! 半崎だ!」
「高台は取られそうだけど、これなら大丈夫そうだね」
「雄太、麓郎君は西と南から半隠密で挟み込んで。狙撃手を確実に一人落とすチャンスよ。見失わない様、狙撃の直後を狙って」
「「了解!」」
荒船隊を捕らえた香取隊に、オペレーターの染井から指示が下る。
「狙撃手見つけたんでしょ。ならそっちはよろしく。」
「葉子?」
「元A級だかなんだか知らないけど点取ってやる。」
そう言うと香取は自分からやや南東にいる緋山へと向かって突っ込んでいく。
香取は持ち前のセンスを活かし緋山と肉薄。機動力を活かしつつ互いにスコーピオンでの斬り合いを始める。
「南側で香取隊長と緋山緋山隊員が激突。両チームともにエースがの一騎打ちです。」
「香取の悪い癖が出てるな。」
国近と米屋がそれぞれ実況する。
「香取は光るものがあるとは言え単独で突っ込んでいくのは悪い癖だし、今回は相手との差も冷静になって考えられて無いな。」
米屋はこう分析する。実際香取は元A級の部隊が増え、自分達の上位入りの可能性が減ったということに機嫌を悪くし、半ば私怨がある状態で緋山に突っ込んでいった。
香取がハンドガンから放つ弾を緋山は何事もなかったかの様に避ける。香取のセンスを活かした高速軌道は緋山のSEを前には意味を成さず、攻防はわずか1分足らずで決着が付いた。
「ここで香取隊長ベイルアウトー。」
国近ののんびりとした声でアナウンスされる。
そして緋山は香取を落とした後北側の高台へと移動する。
東隊の小荒井と奥寺は合流後に北側へ移動しており、緋山と香取の戦いが終わる頃に、荒船と戦っていた。
「荒船、狙撃ポイントに付いた。」
穂刈から通信が届く。
「小荒井を、先に狙おう。」
元攻撃手の荒船とは言え2人の連携を1人で崩すのは難しい。どちらか片方に焦点を合わせた。荒船は戦いの中小荒井と奥寺を穂刈の狙撃ポイントへと誘導。小荒井が穂刈に撃たれ、その隙に荒船が奥寺に切り掛かるものの、東からの狙撃によって落ちる。結果奥寺は深傷を受けるものの緊急脱出するこたはなかった。
「ここで荒船隊と東隊がそれぞれ得点を挙げる。」
「小荒井と奥寺は誘われてるのに気づくのが遅れてたっぽいね。」
「東さんも前衛2人を失うわけにはいかないから荒船を狙撃してたな。」
国近、緑川、米屋がそれぞれ実況する。
「東さん結構近くにいたね。」
「狙撃手がこの後動きそうな場所ピックアップしたから送るね。」
早坂から夏凪へ通信が入る。
「葵、東さんの場所わかったからそっちに行くね。援護できないけど負けないでよ。」
「任せろ!」
夏凪が東に狙いを定め本格的に動き出した頃、若村達は半崎を追跡し戦闘が始まるが、そこに香取を倒し終えた緋山が乱入。香取隊の2人が気を取られたところで半崎は姿を暗ます。緋山は乱入の勢いをそのままにグラスホッパーの高速機動で香取隊の2人を落とし、再びグラスホッパーで空中に舞う。緋山が空中に上がった所を穂刈は見逃さず狙撃するがその狙撃は緋山のSEにより感知されてしまい、着弾ポイントにピンポイントでシールド張られたためダメージを与えられない。緋山はそれを防ぐと、半崎が居るである地上にメテオラを分割せず丸々放り投げる。爆発に巻き込まれた半崎は緊急脱出。他の隊員が全滅した事から穂刈も自発的に緊急脱出。
「一気に戦局が動きました。これで香取隊、荒船隊は全滅。残るは東隊長、奥寺隊員、夏凪隊長、緋山隊員となりました。」
「あのメテオラはやべーな。」
「映画に出る様な大爆発だったね。」
射手トリガーであるメテオラは分割せずに丸ごと放るというのは珍しく、自身も巻き込みかねない程の大爆発を生んだ。
「緋山隊員はサイドエフェクトでトリガーを3つ使用できますからね。あの場でグラスホッパー、メテオラ、シールドの3種を同時使用していたものと思われます。」
国近から緋山のサイドエフェクトの解説が入る。
そしてラウンド3は一気に終盤へと向かっていく。
試合ものから少しですが、次の話で書きます。