「近々の大規模侵攻、緋山の謹慎を解くべきです。」
ボーダーでは迅による予知で4年前と同規模あるいはそれを上回る規模の侵攻が起こるということは確定し、隊員たちにも近々大規模侵攻が起こると通達はされており多くの隊員が本部や隊室で訓練を積む中重たい空気の会議で忍田本部長が提案する。
「当時の違反による謹慎を解いてでも今回の侵攻において彼の力を借りる必要はあるだろう。」
唐沢も忍田本部長と同様謹慎を解くことに肯定だ。
「彼の謹慎を解く…か。」
城戸司令はその威厳ある表情を崩さずこの意見について考える。今回の謹慎ははっきり言って他のA級隊員への見せしめも含まれる。遠征先での味方内での対立は良くないが謹慎、しかも無期限という重いものは本来下されない。遠征先では上層部、次に現場リーダーの決定に従うというのが隊律にある。遠征があるということを知る正隊員にのみ公表されていることで、C級がトリガーの仕様が禁止という公然とした隊律ではないが、A級上位でかつ単独での戦闘力が極めて高い隊員であっても隊の規定を犯すと処分が下されそれを理由に処分が軽くなることはないということはないとA級隊員への見せしめを行ったというものだ。
「この謹慎による見せしめの効果はもう十分果たしているはずだ。」
忍田本部長はこの謹慎による上層部からの意図を隊員に伝える役割は十分に果たしており、単独で黒トリガーとある程度渡り合える実力を持つ隊員を放置するのは割に合わないと考えている。
「いいだろう。」
城戸司令はボーダーに対する利益を考え、緋山の謹慎を解くことを決断する。
「緋山隊員は、大規模侵攻当日に謹慎を解き、その後は夏凪隊での活動も許可しよう。林道支部長は迅隊員に大規模侵攻が予測される日が分かり次第早急に本部へと報告するよう指示しろ。」
ボーダー上層部は大規模侵攻の未来をより良くするべく結論を下した。
大規模侵攻当日、夏凪、はボーダー上層部から会議へ参加するよう指示を受けている。
「失礼します。夏凪です。」
これからの侵攻に向け慌ただしく対策がされる中、上層部や風間や三輪と言った城戸派の隊員が一堂に集まっている。
「失礼します。」
夏凪は自分たち以外にも呼ばれている隊員がいるんだと思うと同時にその声に聞き覚えがあることに気づく。
「謹慎中ですが城戸司令の命により出頭しました。」
そこにはかつての仲間であり、無期限で謹慎とされた自身の部隊のエースであることに夏凪は驚く。
「どうして葵がここに?」
「いや、分からん。そもそもこの時間に会議室に来いってメールが来てたからよくわからない。」
夏凪と緋山が会議の始まるまでの少しの時間に言葉を交わす中、城戸司令からの言葉で会議が始まる。
「本日昼頃より想定される大規模侵攻において、緋山隊員の力を借りたい。」
謹慎となり復帰の目処も立っていない夏凪隊のエースに関する進退についての話題が早速切り出された。
「差し当たって本日、現時刻をもって夏凪隊緋山隊員の謹慎を解くものとする。今期から夏凪隊のランク戦の出場権も戻るのでそれに合わせて、B級部隊として今後の活動を許可する。」
「「了解しました。」」
「緋山隊員には、今回の侵攻は夏凪隊としてではなく本部の指示で戦闘してもらう。」
緋山の進退が明かされ、会議は大規模侵攻へと向けられる。
「今回の侵攻で訪れる国はどこも近界で最大規模の軍事国家で、人型近界民はもちろんのこと、黒トリガーによる襲撃すら考えられる。そこで緋山隊員には、人型近界民との単独戦闘にて撃破あるいは人型近界民の他の戦局への介入を防ぐべく足止めしてもらいたい。」
忍田本部長から今回の侵攻で隊としてではなく個人戦力としての参加を要請される。
「了解しました。」
緋山が忍田本部長の言う個人戦力としての采配を承諾したことで、会議は筒がなく進みその後大規模侵攻へと至る...。