スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
点つなぎという遊びがある。
俺が最後に遊んだのがいつかなんて覚えてはいないが、点に番号が振ってあって番号通りに結ぶとそれが絵になるという、知育の為の遊びだ。
今回のミッションは、そういう知恵と機動力を計る為のミッションだったらしい。
出撃ゲートで支給されたパブロを持ってステージに飛ぶと床にスイッチが散りばめられている。それをパブロでなぞれば壁が降りて前へ進めるようになった。
「全部のスイッチを入れれば前へ進めるんだな」
「下に降りたら30秒のタイマーが始まるみたい。途中に落っこちてるインクタンクは絶対に取っておこうね」
「スイッチがひとつ、ふたつ、みっつ……とにかくいっぱいあるよー!?」
「慌てなきゃダイジョブじゃね? 3号ガンバ~」
そう激励を受けて深呼吸をした後、俺は下のフロアにスーパージャンプした。
降り立った目の前にはカウントスタートの赤外線レーザーと小さなスイッチが見える。
それをしっかり確認して俺はパブロで走り出した。
パブロはヒトでもイカのような機動力を出せる身軽さがあるが、その分塗り面積も1人がやっと通れるか程度の範囲しか塗れない。
正確にスイッチを通っていかなければおそらく時間が足りなくなる。
それを念頭に置いて駆け抜けていく。
入口を抜けてすぐに緩い左カーブ、これを減速せず身体を傾けて通過する。
途中にあるインクタンクを回収してカーブを終えるとL字を書くように方向転換、次いで半径の狭い右カーブをした後に配置間隔が近くなったスイッチを直進する。
金網が見えたところで180度カーブして切り返しクランクのようにグネグネと曲がる。そうすればすべてのスイッチは起動してタイマーは止まった。
「すごい! 1発クリアだね!」
「なんとなく自分の目の前にスイッチが来るように動いたらできてしまった……」
自分のやったことに驚きつつスーパージャンプをして上から通った跡をみる。
まるまるとした下半身に小魚のような羽にくちびる、ジャンプポイントで作られた眼に特徴的なトサカがかかれた絵は間違いなくコジャケのそれだった。
「なぜコジャケ……?」
「こういうのはあんまり考えないでいいんじゃない?」
それもそうか、と割り切ってゴールポイントに触れる。いつものように気を失って帰還を果たした。
「くお! くおくお!」
「『相棒、ありがとう』……いや、ミッションだったから書かざる得なかっただけで別に──」
「くおう、くおりく」
「……お前もやりたいのか、ああいうの?」
「くお!」
『これなーに?』
『これ……もしかしてホッピングマシンか? すげーや! コレ難しかったと思うんだけどさ』
『ほっぴんぐ……?』
『この絵の通りバネがくっついてる乗り物だ。ふつうのジャンプより高く跳べるんだ』
『へ~! ぼくのってみたい!』
『はは、今度お父さんにねだってみるか?』
『いいの!?』
『いい子にしてたら許してくれるだろ? がんばろーぜ!』
『うん!』
俺が小さい頃、優しく声をかけてくれる中でやった点つなぎは確かに楽しかった。
その頃はまだ正常だったし、それがずっと続くと思っていた。
もしそうなら、俺はここにいないはずだが。
「……バンカラ街のザッカ屋にあったかな、そういうの。探してくるから待ってろ」
「くお!」
その優しい声の持ち主も、俺にものを買うときというのはこんな感じだったのだろうか。
俺は初めて実用的ではないものを買うために、ひさびさにバンカラ街へ顔を出した。