スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

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An unbroken bond between a noble master and a servant who opens up

埋め立て地を一望できる高台から強固な守りが張られたヤカンが見つかり、そこからまたアタリメ老人の発信機に近い波長が検出された。

ブラストが『イイモノ』の匂いを嗅いでいるから、これから何が起きるかを察するのは難しい事ではなかった。

「準備はできてる? 元司令にしてもオタカラにしても、多分すりみ連合とは戦うことになるよ」

「前、有無を言わさず前線に俺を出したあなたが言えたことではないでしょう」

「……うん、たしかにそうだね。ごめんなさい」

「それに、司令は戦えないどころか普通の人より全然強い。戦えない理由がないなら俺が戦わなくたっていいはずです」

なんでだ、いつもは抑えられるものが今日はどんどんと出てきてしまう。

「あなたは俺を利用しているだけだ、いつも高いところから指示しているだけだ」

「3号、ちょっと落ち着きなよ。司令だって困ってるし……」

2号さんの制止が入るが1度暴走してしまった言霊は止まることを知らない。

「戦えるだけの力があるのなら戦えよ! 俺だけ苦しい想いをするなんて間違ってる!」

一通り言い切ってから後悔する。

いつもなら雇い主にこんなことを言うことは無いはずなのに、何が俺の思考能力を奪ってしまったのかそんなことを走ってしまった。

司令の顔をみると困った表情をしている。

俺は言ってしまったことに対して少し震えていた。

 

「……確かにワタシも戦えるんだから戦うべきかもね、だけど後半の方はちょっと違うんじゃないかな」

 

怒声が飛んでくるかと思いきや、優しい声で諭されるように言われてしまったから少し驚く。

「ワタシは戦えるだけの時間はとれたし、本当はカトレア君と一緒に戦うべきだったと思う。ワタシはここにいる間、自分の仕事よりもNew!カラストンビ部隊を優先する方がよかった。それは確かにそうだよ」

困惑する俺を見つめながら司令はゆっくり今の言葉をくだいていく。

「ただ、だからってカトレア君が戦わなくて良い事にはならないと思う。この関係は腐っても『カトレア君が戦って、その見返りに30万ゲソの契約』だからね」

そして、ワンテンポおいた上でまた司令は切り出す。

「それに、多分カトレア君が叫んでいるのはワタシが動かないことじゃなくて、苦しい想いをしている事についてじゃないかな。わかんないけど」

「……あ、あぁ」

「ごめんね、カトレア君が何か苦しんでるのはなんとなくわかるんだけど……ワタシはカトレア君じゃないからそのなにかがわからなくて」

言われてみれば確かにそうだ。俺があのことをあの時まで知らなかったのは、聞いていなかったからわからなかったような事と同じだ。

「すりみ連合のことはワタシに任せて大丈夫だから、1回自分の気持ちを整理してみてよ。1号、2号、頼める?」

「オッケー! 任せて!」

「りょ~かい、気をつけて」

司令は2人の言葉を受けてボスヤカンのフタを開けるとゆっくりその中に入っていった。

それを俺はただ呆然と見送るだけだった。

 

『この先は関係者以外立ち入り禁止です』

イルカはワタシにそう告げて入り口に閉じ込めた。

そういえば3号もそんなことを言われていたよねと思いつつ、この先には進まなくちゃいけないのは確かだったから、4号にもらったウィルスを流し込んで無理やり開ける。

その先には青い海のようなプールとステージ、それとその奥に反応を出す鋭い刃があった。

 

「そこなお方、待ちなはれ」

 

上からしなやかながら鋭い声が降ってきたから上を見ると、ガラスの塀と一緒に青いたれ髪の女子が降りてきた。

芯の通ったすりみ連合の高音担当、フウカちゃんだ。

「ウツホが世話になったっちゅうのんは、あんさんか? イカした男って話やったけど……女やん」

「3号の事かな? 少し体調を崩しちゃって代わりにワタシが出てるんだ」

「身体壊したん? そら残念やなぁ。会いたかってんけど……ちなみにあんたはその人とどないな関係なん?」

「3号はワタシ達の部隊員だよ。ワタシが司令だから、隊長と隊員みたいな感じかな」

「3号とやらも女将(オカミ)もこのオタカラに目ぇつけるなんて、ええシュミしてはるなぁ。そやけど……お上品なあんさんには、ちと似合わへんのちゃう?」

「……ワタシが上品? うれしいけど褒めても何も出ないよ?」

ワタシがそう返すと明らかにつまらなそうなカオをして、フウカちゃんは溜め息を吐いた。

「一見さんお断り……どすか。全くいけずなおヒトやね。うちが礼儀っちゅうもん教えたる!

すっと扇子を払うと海の方に向かって「おいでやす、先生!」と呼びかける。

それに応えるようにして海の方からブースターを2機つけたサメが、彼女の前まで来てこっちを見ながら陸に乗り上げる。

あわせて彼女は高く飛び上がると、それにまたがって威嚇した。

 

五月雨に煌めく気高き刃

サメ使いの フウカ

 

「ほな、フカすで!!

その(ファング)は、一切合切を食い荒らそうと襲いかかる。

 

ワタシは外側のプールに見た魚影から、ヒーローシューターじゃなくて良かったと思った。

多分、ヒーローシューターだとギリギリ届かない位を回っている。

ワタシのスターブラスターⅡでなければチクチクダメージを与えるのは難しいと思う。

1発あたりのダメージは低いからあんまり変わらないだろうけど、やらないよりはましなはず。

「これでももろうて!」

サメが水面から身体を乗りだして激しく1回転すると、ワタシを狙ってインクの刃がとんでくる。

ショットでダメージは稼げないから腰に下げていたリフレクターで反射をしてみる。

完全には受けきれないから少しフウカちゃんのインクはもらってしまうけれど、インクの刃はワタシの色で一回り小さくなってプールの方向に飛んでいく。

なんやて!?

予想外が起きたからかそんな声を出す彼女が一瞬で対応できるわけもなく、刃はもろサメに当たる。

ただ、元より威力が下がっているインクの刃がサメに対して大きなダメージになっていないのは見てわかった。

「はね返すやら聞いてへんけど!?全く悪い人やな、あんさん……」

そうグチりつつも、その音色はまだ話し口調。余裕はまだまだありそうな感じだ。

「ちまちまやってられへん。先生、突っ込むで!」

フウカちゃんのその号令でサメはこっちに大口を開けて突っ込んでくる。

その獰猛さはまるで7年前闘った戦略タコツボ兵器『タコツボファング』を思い出す。

「やばっ……と!」

それをスレスレで避けてバランスを取り直して、サブウェポンを構えた。

行動がタコツボファングに似ているなら弱点も似てるはずだから、次サメが大口を開けたタイミングを狙うことにする。

サメは突撃では当たらない事を悟ると潜水しながらこっちに近づいてくる。

潜っている事がわかるのは、サメの特徴的な尾ビレがステージを走ってきているからだ。

それがワタシの足下で止まると尾ビレも隠してワタシを囲むように青い光の輪が現れた。

次の行動を察したワタシはそこから2歩引いて、光の輪の中にスプラッシュボムを投げ込んだ。

光の輪からぐわっとアタマを出したサメはボムを丸呑みにして口を閉じる。遅れて爆発したボムでサメのお腹が膨らんで勢いよくステージに打ち上げられた。

それを見計らってヒーローヘッズを改造したスターバイザーに手をかけて、緑色の液晶でできたロックオンサイトを展開する。

アタマを動かしてサメをロックオン、トリガーを引き絞ってブラスターの銃口にインクをチャージ。

トリガーから指を離して放たれたチャージ弾は緩いカーブを描きながらサメに命中する。

それを5回くらい繰り返すと、フウカちゃんは揺れるサメから放り出されて目を回したから、チャージブラスターでフウカちゃんからラウンドをとった。

タマシイだけになったフウカちゃんは、のびてるサメのアタマの部分についた筒のリスポーン地点で復活すると、ポンッと音を立てて転がった。

「えらい元気がよろしおすなぁ……そんなん、嫌いとちがうけど」

やれやれとため息をつきながら一瞬こっちを睨む。

多分、フウカちゃんの言葉はそのままの意味合いじゃなくて皮肉なんだろうなと思う。じゃなきゃほめながらこっちを睨むのに理由がつかないから。

せんせっ! しっかりしとくれやす!

フウカちゃんがサメを扇子で何回かこづくと、サメは遅刻で目が覚めたように飛び跳ねてステージ中のインクを吹き飛ばす。

「さっすが先生! きっちりお仕置きしたってや!」

ステージの上で吠えたサメはさっきより高く飛び上がり、海に潜って様子をうかがい始めた。

様子をうかがっているサメに対してチャージ弾を撃たない理由はロックオンの範囲から外れているから。チェイスボム(ヒト状態の対象を追いかけ回す、小舟みたいな7年前のボム)みたいに物理的なソナーがついているわけじゃないからロックオンサイトで狙えるのはせいぜいスプラシューターの距離くらい。弾速だって遅くは無いけど速くもないから、普通の弾を連射した方が命中率がいい。

そんな感じで撃っているとプールに渦が3つほど現れて、サメがその1つに乗る。

「空中でも暴れさせてもらいますぇ!」

ワタシが下から見上げるような状況でサメが渦と渦を何回か行き来すると、サメは口笛みたいな音を鳴らしてレーザーのようなインクを口から吐き出した。

リフレクターで反射できないのは目に見えたからおとなしく避けて、サメがバテたところにスプラッシュボム。呼吸を整えるため大口を開けていたサメはスプラッシュボムを吸い込んで大きくむせる。

ステージに打ち上げられたサメに再びチャージブラスターを撃ち込むけれど、反射してないこともあってチャージブラスターだけで倒すことはできず、サメはステージから出て海に溶けていった。

「かなわへんな、ホンマ!」

イラつきがにじみ出ている声は円形のステージによく響いて、雄叫びと共に聞き取れない小言がこっちに迫ってくる。

口を開けて食いちぎろうとするサメに対抗して、ワタシはまっすぐチェイスボムを投げる。

7年前、間違えて口の開いたタコツボファングにチェイスボムを投げ込んだことがあったけど、そのときはまぐれで入った事を思い出して迎撃で置いてみた。

チェイスボムはソナーの検知音を鳴らしながらサメの口の中に入る。そして腹が膨れると飛び上がってフウカちゃんが放り出された。

チャージブラスターの弾を着地点に3発おいて、フウカちゃんに向かって上へ飛んでいく。

それが当たって空中で爆発した。

 

「んもぉ~……なんやねんアンタ!

サメからでてきたフウカちゃんを見れば、完全に怒らせちゃったことはわかった。

ただ、7年間戦っていても喜怒哀楽に満ちた敵と戦うことが少なかったワタシには、ここまでわかりやすく怒っているのが新鮮に見えた。

「せんせっ! 先生! しっかりしいや!」

もう『先生』にも容赦なしでフウカちゃんはバシバシと両手で叩く。

そんな容赦ない叩き方でも文句の1つも言わないで気を取り直すサメは、信頼しきった彼女の相棒として立っていた。

「その意気やで! 先生の本気、見してくれやす!!」

サメが吠えて背中のブースターがフルスロットルになる。そして激しい音を立てながらプールに潜った。

それをとらえてワタシはまたブラスターを構える。さっきとは比べものにならない速度でサメはプールをぐるぐる回っている。

ブラスターのビーム弾が当てられないくらいだから、チャージ弾を当てたいところだけどそれはすなわちサメがステージにいるときしかダメージを与えられない。

チャージ弾が当てられる速度じゃないから、つまりステージの上で動きを止めないといけないってことになる。

ほぼ前兆なしでサメはステージへつっこんでくる。一瞬で端から端まで駆け抜けていくからその攻撃を見てからよけるなんてできない。

そこにボムを置いておくなんてなおさらだ。

うっ……きゃあ!

特殊プロテクターの1つが砕けて吹っ飛ばされる。ステージギリギリで体勢を立て直すけれど青い風がワタシの横から辻斬りにしようと迫ってきていた。

「とっておきだから使いたくないけど……しかたないかな!」

ワタシは腰に下げていた赤い玉を1つ外すと、それを真下に叩きつける。

玉は叩きつけられるなり急に膨らんで、ナイスダマのような渦を伴う大爆発を起こした。

その渦は煙幕代わりになって、たまらなくなったサメは急ブレーキをかけて止まる。

その隙に身体にたまった力を使ってブラスターを細いスーパーショットのようなキャノンに変形させて1発叩き込む。

「なんやそのウルトラショットもどきは!?」

「ワタシ専用のスーパーショット、『ランドバスター』だよっ!」

サメはそれを嫌がってプールに渦を作って逃げ込むけれど、弾をドリル状にしてあるから渦を貫いて当てられる。

それでもひるまずサメは渦を登り切ると短い間隔でレーザービームを口から撃つ。

ほぼ休みなしで撃たれるビームはランドバスター持ちのワタシじゃ避けられないから、1回目はリフレクターで、2回目はスーツで無理やり耐えてランドバスターのリミッターを外した。

 

コレでしとめたる!

サメからはひときわ勢いの強い3発目が発射される。

 

照射モード最大出力! 発射(ファイア)

それに対抗してそれを照射モードで迎え撃つ。

 

じりじりとワタシの波の方が押していってフウカちゃんの眼前に迫ると、そこでサメは勢いを失って吹き飛ばされた。

だから、それでもステージに降り立ったフウカちゃん達には驚いたんだ。

 

「……っあー! アイタタタタタ……こ、今回はコレくらいにしといたるわ」

「ごめん! やり過ぎちゃった!?」

「気にしいひんでええ、別に強い人は嫌いとちがうさかい……ただ、これで『すりみ連合』に勝ったやなんて思わんといてや」

「マンタロー……だっけ?」

「そゆことや。ほな、ここは退かせてもらいま────」

フウカちゃんが疲れからか火のついた煙玉を落としてしまって、それを見たワタシとフウカちゃんが『あっ……』と言ったのは同時だった。

その直後大爆発してサメとともに打ち上げられたのは言うまでもない。

ワタシはそれにボーゼンとしながら、とりあえず十徳ナイフみたいな刃を回収して戻った。




ブキ紹介

スターブラスターⅡ
5年前カエデが使っていた『スターブラスター』の後継ブキであるシューター。 アニメ『スターフェンリル』に出てくる主人公達の銃にそっくりである。
カエデが3号の時に使っていた第3.5世代型『スターブラスター』を、妹がより製品向け、実戦向けに改良したものである。
デザインは大幅にクオリティが向上し、アニメからそのまま出てきたような模倣性を誇る。
前世代のものよりは機構が簡略化され、可変機構はオミットされたが、シャープマーカーベースにソイチューパーのチャージ機構を採用したことでチャージ弾の発射が可能となり前世代の課題である火力不足を補う結果となった。
しかし依然としてリッターの機構をむりやり持たせた無茶なシューターで有ることには変わらず、通常弾は威力不足、チャージ弾はリッターゆずりのインク効率の悪さが残っている。

タイプ シューター
攻撃力 ☆☆☆☆☆
連射力 ★★★★★★
射程  ★★★★★★
チャージ★★★★☆
C攻撃力 ★★★★★★★
サブウェポン スプラッシュボム、クイックボム、チェイスボム、リフレクター
スペシャルウェポン ランドバスター

ギア紹介

スターバイザー
カエデがアタマギアとして装備しているヒーローヘッズの改造品。 片目バイザー型
アニメ『スターフェンリル』で主人公達がつけているバイザーをもとに、カエデがヒーローヘッズを改造したもの。
銀色のボディに内蔵されたインカム機能や、緑の展開型バイザーガラスによるロックオン機能が特徴。
ブキ『スターブラスターⅡ』と連動しており、これを起動・展開した状態でチャージ弾を撃つと誘導弾になる。
ロックオン距離はスプラシューターの射程程度。
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