スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
「長老、ボクたちは何で死にに行くの?」
ただ、ただなんとなく感じたズレはどんどん大きくなっておいしくなる鍛錬に身が入らなくなったボクは、群れの長老に疑問をぶつけてみることにした。
「……麒麟か、そなたでも死ぬのが怖いのか?」
「ちがう。死ぬ意味を、もっと正確に言えば死の価値を知りたい」
「我らはシャケ、その本能はそなたも知っておろうが食べられたいとする被食欲と闘争本能である。そう作られているのはなぜか知りに行くのが目的となるな」
「自分を知るのに死にに行く必要がある?」
「根本的なことを知ろうと考えれば、死に行っても消えぬ意識『
「阿頼耶識、っていうのは?」
「生けるものはすべて平等に死ぬが、それと同時に全ての死したものは
「その中身はなに? 対話することに関係がある?」
「阿頼耶識の中身は輪廻を含めたこれまでの
「善業って、なに?」
「…………わからぬ、わからぬから我らは生まれ故郷に帰ること、今にあらがい戦うことを善業とし行動している」
「……」
長老はボク達がなぜ死にゆくのか説明してはくれたけど、なんか納得いかなかった。
だって、ボク達は今を生きているはずなのに死んだ後の来世に向けて生きている感じがするから。
ボクが見たみんなの姿は今の姿だし、みんなが見たボクはまさか死んだ後とか来世の姿じゃないはずだ。
なのになんでみんな今を見ないのか、死の先を見ちゃうのかわからない。
「戦死以外じゃ、世界と対話できない?」
「課せられたものを放棄して死ぬことだから、世界と対話するのは難しいだろう」
「阿頼耶識にたどり着いたり、世界と対話するには死ぬしかないの? 生きて自分を知る方法はないの?」
「……それがあるのなら、苦労はせん」
「そんなの、本能に言い訳にしているだけじゃないか。ホントは長老だって、みんなだって死ぬのが怖いんじゃないの?」
『ごめん、ついてこれてるかな?』
ボクは自分で小難しい話をしている自覚をしたから、一旦話を切った。
「な、なんだか壮大な話になってる……」
2ゴウはスケールの大きさに取り残されている反応をしたから、やっぱり話を一旦切って正解だった。
「えっと、つまり……どういうこと!?」
「つまり、シャケ達は本能的に死にに行ってて、その理由付けで世界と対話するって目的をつけてるって事だよね。その中でも戦死は1番良いこととして扱われてる」
混乱してしまった1ゴウをシレイが端的に噛み砕いて説明してくれたことには、感謝しないといけないと思った。ボクはそこまでできない。
「そういうことだと逆に言えば、死ねば、世界と対話できるのが……普通だったのか?」
アイボーはその焦点の合わない目でボクに問いかけた。
そのアイボーの姿はいつもよりもひどく見えて、ボクは慎重に言葉を選ぶ。
『……そうだけど、ホンキにしないでほしいな。あくまでもボク達の普通でアイボーの普通じゃない。
「……そう、か。そう、だな」
重苦しさが増した気がして、それ以上アイボーから聞き出すのはやめた。