スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

3 / 60
Crater and an old man

そのマンホールを抜けた先にあったのは、簡易的な小屋と老人だった。

マンホールから出て目が合い、3秒の沈黙の後

 

「タッ、タタタ、タタッ……

タコが、きよる!

 

と唐突に叫んだため、真っ先にこの老人の認知症を疑ったのは言うまでもない。

それでも平然を装って「どうしました?」と聞けば、老人は我に返って息をのみ「取り乱してすまんかったのぅ」と言って

「ワシは、Newカラストンビ部隊の相談役をしておる、アタリメじゃ」

と自己紹介をしたから、ひとまず安心してこちらも自己紹介をした。

「ほぅ、カトレアか……薄いシアンでアシメな髪型に遠くを見渡すイカした青色の目。おヌシのようなワカモノを待っておったんじゃ」

「……じゃあ、あなたが地下で人を探しているっていう人ですか?」

「うむ、イカにも」

 

アタリメという老人の話を聞くと、先程ラジオ番組で伝えられたバンカラ街のエネルギー源『オオデンチナマズ』が行方不明となった原因は、過去2回の事例からタコ軍団『オクタリアン』が原因だと考えられること。

この老人は特殊部隊『New!カラストンビ部隊』の司令だったが、引き継ぎを終え退役したこと。

しかし気になって見張っていたら、ここらじゅうを覆い尽くす謎の危険物質『ケバインク』で溢れ出した上に、オオデンチナマズが失踪したこともあって、人を探していたらしい。

「頼む! ワシに協力してくれんか? きゃつらからオオデンチナマズを取り返すんじゃ!」

「……報酬は?」

「報酬、じゃと!?

「当たり前でしょう、そんな大事をタダ働きで解決する方がどうかしてます」

「……む、むむむぅ……それは現在の司令にかけあってみるしかないが……5万ゲソまでじゃ! ワシからはそれ以上出せん!」

「……わかりました。5万ゲソでお願いします」

「ィよし! 今日からおヌシをNew!カラストンビ部隊、隊員3号に任命する!」

「よろしくお願いします」

オクタリアンのインクは特殊で通常の服装では耐えられないと、黄色基調のスーツとシューターを支給された。

スーツのサイズがあっておらず少し大きめなことと、シューターが少し年季の入ったものであることには目をつむることにした。

「ほんじゃ、レッツゴー! イカよろし」

 

「くおおう!」

 

老人が決め台詞を言おうとしたところをやつが豪快に割り込んだところを見れば、こいつが空気を読まないマイペースなやつなのは明白だった。こいつが俺についてきた時からそうだ。

「ヌ、さっきから気になっておったが……このコジャケはおヌシの相棒か?」

「やつは相棒じゃなくて──」

「うむ、やる気マンマンじゃな! 改めてレッツゴーじゃ! イカよろしく~」

「……人の話を聞け」

 

周りを見渡すと、先ほどの砂漠地帯の近くにあるクレーターらしいことがわかった。

そのクレーターは話に聞いたとおり、茶色の危険物質ケバインクが周りにびっしりこびりついている。

「ケバインクには触らん方がいいぞい。触ったらボンッてなってしまうのでな……」

「触ったら、ボン……」

試しに砂漠で拾っていたサボテンのかけらを投げ込んでみる。

やつは自分の好物──やつはキャンプにあったサボテンを丸ごと1個食ってしまった前科を持つ──が得体の知れない物質に投げ込まれることに強い抗議をしていたが、無視することにした。

投げ込んだかけらは生物的に動くケバインクに取り込まれると、サボテンはたわしのような物体になって返ってきた。

自分が触れたら強制的にコレになると考えたら、確かに触らないのが身のためだろう。

「まずはきゃつらの基地への入り口であるヤカンを探すんじゃ」

危険物質を警戒しながら進めば、バンドで蓋がされたヤカンが確かにあった。

シューターで蓋をこじ開け、意を決し入った。

なぜそのときに数秒の硬直があったかは俺にも分からないが、今は関係ないから考えないこととする。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。