スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

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How to connect essence

ボクはテントの中に入ってシレイと話すアイボーを横から見ていた。

ただ、そのアイボーが見せている表情はこの9ヶ月間、一度として見せなかった明るい顔だった。アイボーはここに来るまでボクに声をかけてくれる事すらなかったから、それはまあ当然だったのかも知れないけれど。

それにしたって盗み見るアイボーの横顔にはいつも悲しさがあったから新鮮だった。

 

『……くおろー?』

『うっ、うわ……わああぁーーーッ!

 

ステージを進んでいるときに叫んでおかしくなった時だって、タコに言葉にするのもはばかられるくらいのことをして恐いくらいだったのに。

その顔には、涙が浮かんでいるほどだったんだ。

そのアイボーが今、あの頃の仲間達の覚悟が決まった目をしている。アイボーをそこまでさせたのは、シレイの優しさと芯の強さだった。

それがアイボーの本質と対話して、アイボーはとりあえずの自分を得ることができた。

多分それは、あっちで言う『世界との対話』の第一歩だったんだと思う。

ただそんな力はボクに無いし、ボクは世界と対話すること、対話して自分は何か見つけることをしたい。だからいくら旅をしたとしてもそんな一人一人に話を聞いて知るのはいろいろ無理だ。

「……くかぁ」

ボクはため息をつきながらアイボーの端末をいじってオルタナログ見ることにした。

ここなら何かあるかもしれない。

 

オルタナの内壁が崩落した際に、多くの欠片が海へ落下した。欠片からは大量の液晶が流れ出し、海水と混ざり合った。

液晶には長きにわたって受け止めた人類の思念が焼き付いており、その一部がオルタナの海にすむイカやタコなどの海洋生物に少しずつ浸透していった。

やがて海洋生物たちの中に、あるひとつの感情が芽生える。

それはオルタナの人類がかつて地上に向けていた想いに似たものだった。

感情は海洋生物たちに急速な進化をもたらした。

肺呼吸や高度な運動機能を手に入れ、空気中での活動に適応。知能は著しく発達し、種によっては擬態能力までも獲得した。

進化した生物たちは陸に上がり、地上に向かう方法を探し始める。

慣れない陸上での活動に苦心するも、人類が大空洞へ降りるときに使った道を発見。

生物たちはオルタナを脱出し、地上を目指した。

 

くおりあ(感情)……」

ボクはそうつぶやきながら今までを思い返す。

確かにシレイもアイボーもボクも、いろいろ目的が違うけど何かの感情が行動源になっていた。

もし、それらをなんらかの方法で知って、自分でもそれを返せたのならそれが世界との対話になるような気がする。

「────スーツを強化して各種センサーがついたのと、これはカンナが作った新しいブキ」

「これは……」

「えっと、確か名前が『ヴァレチス』だったっけ。ここのハンドルを回すと性能がガラリと変わるみたい」

「……なぜそんな名前に?」

「正式名称の頭文字とってなまらせたんだって」

シレイの話を割るのは申し訳ないと思ったけど、シレイが前それのヒントになりそうなことを話していたと思うから聞いてみる。

「3号、なんて?」

「『言葉が通じ合わなくてもつながれる方法はなにか』ってなかなかに難しい質問をしてます」

「……じゃないかなぁ。ワタシはそう思う」

『歌?』

「前も少し話したけれど……伝説のライブではイカもタコも関係無く楽しむことができたし、タルタル総帥の一件も歌を通して種族の違うハチ君とグルーヴで繋がれたから」

シレイがどこか懐かしむ感じで話していると、テントに人が入ってきた。1ゴウと2ゴウだ。

「おつかれ、2人とも」

「はー、意外に収録時間かかったわー」

「でも楽しかったね」

「こっちは次のサイトに向けて作戦立てしてるところ。上はどんな感じだった?」

「まっくら、司令たちも無理せず寝た方がいいよ~」

そういうと1ゴウがさっさと布団に入って目をつむり、やれやれみたいな雰囲気を出して2ゴウが続いたから作戦会議はそこでお開きになった。

 

もし夢の中でその歌が聴けたらいいなと思いながら、アイボーと一緒に目を閉じた。

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