スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
ヤカンに入ると、そこは乱雑に木箱と風船が散らばった砂嵐の吹く空間だった。
俺はそれらをシューターで打ち壊し、足下に散らばったインクの中に潜る。
原理を説明するならば、『自身の体液を抽出して背中のタンクに貯蔵。それを圧縮して弾丸にし発射する』ことで木箱と風船を破壊し、『人型に進化したイカが生来の姿へ変形することで、自身の体液の中に溶け込みその中での遊泳能力を得る』事をしたと書けば良いだろうか。
改めて言語化すると、この機構を使って遊ぶナワバリバトルが野蛮に思えてくるが、逆を言えば改めて言語化でもしない限り違和感を覚えないほど浸透している、ともとれる。
そうして進むと黄色い沼のようなものが見えた。
「ジャンプポイント発見じゃ!」
「ジャンプ……これで向こう岸に行くのか」
身体をイカに変形させ、沼から大量のインクを吸い上げて高圧力で背から発射。
ナワバリバトルではスーパージャンプと呼ばれる動作をして向こう岸に渡った。
向こう岸に渡れば、目の前には風船が現れる。
それをシューターで撃ち起爆させたのは、反射に近かった。
そうすればその後ろに築かれていた木箱の壁は崩れ去る。
4つの柱を起点として木箱で壁が作られた、簡易的なホールともいえようか。
ただ先程の風船──老人は『ボム風船』とかいう安直すぎる名前を言ったが──が丁寧に壁の近くに有るのはどういう意図だろうか。まさか積み上げといて壊してくださいとでもいうのか。
その辺は理解できないし、理解できたところでどうと言うわけでもないから考えない。
すぐに前面の壁を破壊し、そこから露わになった発光板を手で押してみるが何も起こらない。
スイッチである事は理解できるが、押しボタンだとかタッチパネルで無いのなら、俺の知らないインターフェースということになる。
「そのスイッチはインクを塗って起動するんじゃ」
「……了解しました」
俺は世間知らずだということは自覚しているが、それでも今のは恥ずかしいと思うのは人に見られたからだろう。
指示通りインクを塗ってスイッチを起動すれば、向こう岸の壁は倒れ床となった。
その先には目視でタコとわかるシルエットがあった。
しかし、そのタコの異常さは遠くからでも分かる。先ほどのケバインク色の目をして、髪や胴体などは投げ込んだサボテンのように毛が生えていた。
老人の証言から考えうるに、あのインクはただ容姿が変わるだけとかそんな生易しいものでは無いだろうから、あのタコ──正確には『タコトルーパー』だということを知ったのは少し後の話だが──が危険性を孕んでいることは間違いないだろう。
俺は「シューターでタコをとっちめてやれ」という命令に、何の疑問も感じなかったし実際そうした。
あちらが気付いた頃には、流れ込んだインクの水ポテンシャル差に耐えかねて爆発している。
それを確認し、その先に幽閉されていたデンチナマズを回収した。
このデンチナマズもオオデンチナマズと関係があり、コレ一つでも2世帯分の一週間は供給できるというのも、後で知ったことだ。
オオデンチナマズはこの先に捕らわれている可能性があるのは承知だったが、クレーターの下層からケバインクが溢れ出ているからコレを除去しなければ先に進めない状況だった。
ケバインクはサイケ色のコアというものが支えていると老人は言ったが、こいつはインクを受け付けないために立ち往生している。
やつの方はこの状況だというのにうるさく空腹を訴えているのだから気楽なものだ。
「相棒のコジャケは何を言おうとしてるのじゃ?」
「……こんな状況なのに空腹を訴えてますよ」
「そういえば、コジャケはイクラでパワーアップすると聞いたことがあるぞい。一か八か、イクラをあげて食ってもらえんかの?」
「……は?」
やはりこの老人は認知症なのではないか、そう思った。
サボテンを投げ込んであのようになった物質に、コジャケを投げ込んで食ってもらおうなど常人の考えではない。
それこそやつがあのサボテンのようになって、それで終わりだ。
そう考えた俺の思考はすぐに打破された。
やつは空腹を叫びながらケバインクの上で跳ねていたからで、この老人の理論はめちゃくちゃだったがそれ以外に道はない。
俺は先程手に入れたイクラを、やつの口に無理矢理流し込みコアに投げ込んだ。
そうするとやつは目を輝かせ、ケバインクのコアを丸呑みしうまそうな顔を浮かべた。
同時にケバインクは砂ぼこりをたて消滅した。
今さっきから起こっている事象が幻覚だと逃げても怒られはしないだろう。
その後に3つほどヤカンがあったが、ケバインクの事も含め上記のような牛歩であったから、それは割愛させてもらう。
このような調子のことをあと3回も綴ることはあまりにも非効率的だからだ。
そう、牛歩でなくなったのはクレーター最下層のケバインクを除去した時だ。
ブキ紹介
ヒーローシューターR+
かつてカエデが使っていた『ヒーローシューター』をリファインし改良も重ねたもの。 読み方は「ヒーローシューター アールプラス」
カエデが3号の時に使っていた第3世代型『ヒーローシューター』を、妹が激化する戦闘に耐えられるようにリファインや改良を加えたものである。
デザインは大幅に変更されたが、スプラシューターベースのバランスの良さ、ヒーロー仕様の拡張性の高さはそのまま引き継ぎ、局地戦にも対応できるようバレルが外れる。標準バレルの他、各種ブキの先端をユニバーサルジョイントによって接続可能。
なお『R』は『Refine』を、『+』はそこから改良されたことを示している。
タイプ シューター
攻撃力 ★★★☆☆
連射力 ★★★☆☆
射程 ★★★☆☆
サブウェポン スプラッシュボム、クイックボム、カーリングボム(スプラッシュボム以外は換装する事でロボットボムやトルピードなどに変更できる)
スペシャルウェポン スーパーチャクチ(こちらも換装で変更可能)