スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
通気管から侵入した場所はインフォメーションシステムがオルタナ宇宙センターの格納庫と案内した。先ほどに続いていやに無機質だ。
『警告、この先関係者以外進入禁止です。ロケット発射シークエンス進行中のためすべてのルートが進行不可能です』
「だって、どうする? 司令」
「んー、でも簡単じゃないかな。それは────」
「うむ、そんな道理はワシらの無理でぶち抜けばいいのじゃ!」
「先を急がなあかんのやろ? 急ぎますえ!」
「……セリフ、とられちゃった」
「でも確かにその通りです。突撃しましょう」
手にブキを持って僕たちは走り出す。
目視で15体ほど敵を確認できるが数はさほど問題にならない。司令の牽制射撃に敵が気付いた頃にはまとめて風穴が開いているからだ。
その敵が潜水していようと、ホップソナーとヴァレチス・ラピッドの制圧力を持ってすればわけないこと。難なくエリアを2つ突破する。
そのエリアの先には恐ろしいほどの敵が通路にびっしりと敷き詰められている。
「ワタシに任せて!」
司令はその集団に立ちふさがると足下にあったカンヅメを開けて見たことのないものを取り出す。その風貌は巨大な拡声器のように見え丁寧に予告線か何かを出している。
「スペシャルウェポン! メガホンレーザー!」
その拡声器から放たれた轟音は敵を震わせあとに黄色い道を作る。
「司令、今のはいったい……」
「7年前に使われてたスペシャルウェポンのメガホンレーザーだよ。1号と2号は見覚えが有るはず!」
「確かに懐かしいかも! ハコフグ倉庫とかホッケふ頭でイタい目みたな~」
「狭い通路で使うと強いんよね。アレ」
「ともかく道は開けたんじゃ! このまんまカチコミじゃああ!」
「ウチらは女将のために歌うで!」
『ってことはあれだね! ミュージックスタート!』
なにか一言しゃべれば騒がしくなる無線から高らかに歌が響く。状況が状況だから細部まで聞き取ることは叶わないが応援歌のように聞こえる。
それに背を押され拾ったカンヅメのサメライドに乗って敵につっこむ。
弾幕の嵐に晒されるがサメライドの風がバリアとなっているのか、すべてをはじいて突撃をし中枢で爆発を起こす。
開通したエレベーターで上昇し、行き着いた先にはアメフラシと多数のタコポット。自爆特攻兵器は一斉にこちらを見て迫ってきたため、さっさとアメフラシを起動しこちらの制圧力でそれらを次々花火に変えていく。
アーマーを着込んで前進。球体のタコストライクがくるくると囲んでいるのはスーパーチャクチで敵の懐に入り込んで片づけると、続けざまに大量のタコスタンプがこちらに迫る。
「ごめん3号! スタンプ達を引きつけて!」
「ヴァレチスでも長くは持ちませんよ!?」
「大丈夫! トルネードのカンヅメ見つけたから!」
できるだけ前へ進めるように奥手に誘い込もうと3秒あがきをして、トビウオのようなロケットが僕の頭上に落ちる。
「ファイナルクリスタルダスト! あったれー!」
タコスタンプが巻き上げられ爆発する中、無線で誰かが咳き込む。それを心配したのは1号で2号がせき込んだらしいとわかる。
「えほ、えほっ……司令、カンベンして」
「でもこの名前は2号が考えたんじゃなかった?」
「ワタシでもイタいことわかってるから……」
そんな会話を交わしつつ前に進めば一際広い場所に出て、中心にはボムコプターがさまよっている。
どう考えても怪しい配置をしているから警戒しつつそれを倒すと、予想通り敵が大勢現れた。
「ワタシは右、3号は左!」
「了解です!」
一瞬で判断した司令に従ってカンヅメのカニタンクのバルカン砲で応戦する。一方司令は腰に下げられていた赤い玉のようなものを敵に投げつける。赤い玉は膨張し大爆発を起こして、敵が一掃された。
「あっ、 それ先生に使うた玉ちがうか!?」
「そう、ワタシの秘密兵器の1つ、スマートボムだよ! ナイスダマをカプセルに詰めたものなんだ」
「えらいすっとんだことしな……女将は」
現れたエレベーターに乗って僕らは上昇。上から光が指しているあたり、この区画の終わりも近いがその出口まであまりにも空白距離が長い。
「行き止まり……?」
「いや、あれ……タコッペリン号が出てる!」
巨大ミサイルタコッペリン号には翼がついており、面積は小さいが確かに乗れるようになっている。
その翼をそれぞれ塗り込んで潜伏する。相手がスナイパーであろうとこちらの姿が見えなければ狙撃はできないから安全に近づける。
スナイパーの両端から僕と司令で挟み撃ちをし、インクレールを起動してエリアを抜けた。
「元司令の反応、向こうの発射台みたい」
司令は無線機の反応を頼りになんとなくの位置を特定した。
「でも、ここから飛び移るのは無理そう……」
「下でつながってるみたいやね。2人とも、右手の施設に忍び込めないかな?」
「……やってみます」
確かに右手にはドーム状の建物が見える。入り口らしいところがないから、入り込めるとしたら裏側か。
『……今は世界全体がバランスを失っているんだ』
『バランス、とな?』
『魚介類と哺乳類が入れ替わってしまったからね。元のバランスに戻してあげなくてはいけないよ』
『して、どうやってそんなことするつもりじゃ? それだけのこと、一筋縄で行くとは思えんが……』
『そのためのケバインク、そのための金イクラなんだ。ふふ、みんなよく働いてくれたよ』
『……どういうことなのじゃ』
衝撃の発言だった。
確かに金イクラがアングラな場所に流れている噂はあったが、想像以上の場所だった。
方法はわからないが世界滅亡のために使われようとしていること。
そして、その計画を支えた『みんな』の中には兄さんがいること。
頭を鈍器で殴られたような衝撃とともに怒りがこみ上げる。
「……ちがう、みんなや……兄さんはそんなことのために働いていた訳じゃない。もしそうなら兄さんは無駄死にだ……!」
「カトレア君……」
「ダクトを見つけました。行きましょう、司令」
施設裏のダクトから次に向かうその足取りは、重かった。