スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
「これでサッパリですかね」
そういってケバインクが除去された広場のような場所に降りると、空からビートが降ってくる。
疑問に思って空を見れば丸い飛行物体があって、それは器用に変形すると崖を削りながらこちらに降り立った。
丸いポッドに手足がついたようなロボットからは低い男の声がする。
「ギギ……ミツケタゾ。サイキン、シモベタチガシッソウシテイタノハ……アタリメ、キサマガゲンインカ!」
「ヌ……!おヌシはDJタコワサ将軍! ここであったが107年目、オオデンチナマズは返してもらうぞい!」
「将軍? では、オクタリアンの一番上……いわゆるボスですか」
「ああそうじゃ、少しばかりとっちめてやれい!」
「ナニヲイッテイルノカ、ワカラナイガ……ワレラハタタカウサダメ! イクゾ!」
そういって男はワサビで音楽をすりおろし始めた。
タコツボキング 砂漠戦仕様
そのロボは目測5メートル以上は有る巨体で、その腕からはパンチが飛んでくる。
サイエンスファンタジーなどではたまに登場する非合理的な兵器『ロケットパンチ』を、まさか現実で見ることになるとも思っていなかったが、目の前には現実と結果のみがある。
老人の指示通りそのパンチにインクをかけ打ち返すことはした。
そうすればロボットは体制を崩してたじろいだと思うと、急速に変形し後ろのプロペラントタンクで、俺の後ろに回り込んだ。
「……速い!」
「ギ、オナジテハツウジナイ……!」
今度は先ほどの手を縦に構え、それをきりもみ高速回転。
それを打ち出し俺をねらう。
それをシューターで打ち返そうと試みるが、きりもみ高速回転の風圧かなにかで弾かれた。
打ち返すことが不可能と見て、俺は後ろにステップを踏む。
一度地面に突き刺されば回転は止まりインクを受け付けるようになったので、刺さったものに対してシューターのインクをかける。
完全に塗れば手は勢いおく戻っていき、操縦席に直撃。
その勢いでタコワサは放り出され俺の目の前に落下した。
「ロボットは破壊できずとも、パイロットを封じれば……!」
俺はパイロットに膝蹴りを食らわせ、追い討ちにインクで狙撃。
水ポテンシャル差に耐えかねて爆発するかと思いきや、許容される浸透圧差の範囲が広く吹き飛ばされるまでにとどまった。
相手は操縦席にたたきつけられながらも、素早く操作をして何かのモジュールを起動する。
「ユダンシタガ、サイシンキノウ『キューインキ』ナラバ……!」
ポッドの前面には巨大なハンディクリーナーの口が添えられ、さきほど塗ったインクが吸い込まれる。
吸い込んだインクを圧縮して発射。インクの塊が俺の前で炸裂した。
「くっ……こちらのインクが吸われるんじゃキリがない」
「何か投げ込めば詰まらすことができそうなもんじゃが……」
そう老人がつぶやいた時にはパンチと吸引の波状攻撃が迫ってきていた。
とっさに俺は、背中のやつの首根っこを掴んで乱暴に投げ込む。
恐ろしい吸引力によりやつはすぐさま吸い込まれ、吸引口を塞いだ。
やつは痛いと叫んでいるが、今はそれどころではないから無視することにした。あとで謝罪しようという気はある。
「ギ、キューインデキナイ……!?」
「これならロケットパンチは打ち返せるな!」
あちらが対処に手間取ったところを、パンチで振り落とし操縦席に再び叩きつけた。
そこで相手のボルテージは最高まで高まり、何か訳の分からないことを叫びながら操縦席を叩く。
そうすれば床に塗られたインクを手で叩いて吹き飛ばし、続けてその張り手で俺を潰しにかかってきた。
これも反撃不能とみて後ろに下がったが、地面を伝って重低音が響き、俺にダメージを与える。
「……実行力のある音響兵器……!? さっきからメカニズムも何も未知な攻撃ばかりを!」
愚痴を吐いても状況は変わらないが、それでも俺はこの未知に恐怖で負けたくなかったからそうした。
2回目の張り手、これを着実に回避し音響兵器も避け打ち返すと、表面積が多いからか大きなダメージとなる。
これを避けるためキューインキを起動しながらドリルチョップを繰り出すが、これはやつが口を塞ぎ打ち返せばよいことだったから苦戦せずタコワサは落ちた。
「ケリをつけるんじゃー!」
「ふ、はあぁぁぁぁぁ!」
全身に力を込めその力で地面を蹴る。
インクの竜巻をまとい高速落下、衝撃と竜巻がタコワサを包む。
スペシャルウェポン、スーパーチャクチ!
「グオッ……ヤ……ラ……レ……タ……!」
衝撃に耐えられずタコワサは吹き飛び、タコワサが叩きつけられたロボットも限界を迎えて爆発した。
吹き飛んだタコワサを確保するためにステージの中央に行くと、老人は意外なことを口にした。
「む……オオデンチナマズを持ってる割には弱いのぅ? タコワサ、
つまりそれは、この将軍が老人にとって想定以下の実力だったことを指す。
技術力で苦労したが、まさかこれより上があるのか。
しかし、その次のタコワサ将軍の言葉はもっと意外だった。
「むっ!? そうなのか!?」
「つまりとばっちりで倒してしまったと?…… すみません、謝罪します」
「……いんやしかしのぅ、ほんじゃいったい誰が」
そこまで会話がすすむと地震が起きた。
地中からケバインクが溢れ出し、それは先程のロボをタコワサごと覆って下に引っ張る。
「ぐあ……なんだ……!?」
その加重に耐えられなくなった地面は崩落し、共々奈落へ落ちていく。
「ぐわーっ! 3号ーー助けてくれぇいーー!」
俺はそれに応えようとするが、手は空を切り老人は触手のようなものに巻き取られ連れ去られる。
それだけでない。崩落する岩などが落下し支給された装備を破き、砕き、俺自身にあたり意識が遠のく。
ああ、これは助からない。
手放せば、
そんな暖かい声が、思考を包んで、意識を手放した。