スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

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Reaching out to the floating binary stars

ケバインクがあらゆるところにこびりつくあんぜんフロンティア号上層に降り立って上を見上げる。

最上部までは30メートルあるかと言ったところか、おそらく出口は30メートルのうちどこかだろう。しかし一本シャフトが通っているのみで通常の手段では登れるようにはできていないようだ。

『発射シークエンスが最終段階に移行しました。隔壁を閉鎖します、ご注意ください』

さらに間の悪いことに2枚の隔壁で上が閉鎖される。なんとしてでもアタリメ老人のところに行かせないつもりか。

「閉じこめられちゃった! ど、どうしよう!?」

「いけずやねぇ、そないに2人きりになりたいんか?」

女将(オカミ)たちの力でブチ抜けんか?」

「いやそれはさすがにワタシ達でも……ん?」

司令は疑問符を浮かべながら周りを見渡す。それに合わせて僕も周りを見渡すと、電気を放つ小さな玉が連なりながら宙を浮いている。

エネルギーコアが浮いてる……でもなんで?」

「……見た感じデンチナマズと同じ性質を持っていそうですね」

『あっ! 上の方にスイッチがあるみたいだよ』

マンタローの言葉で情報がつながり、ブラストと顔を見合わせて合意する。

「もしかするとエネルギーコアを集めてスイッチを起動すれば、あの隔壁を何とかできるかもしれません」

「ものは試しだね。やってみようか」

幸いロケットの内壁やシャフトはインクで塗れるように設計されているため、ラピッドモードで塗りシャフトを上る。

シャフトには作業用の金網が張られており、そこからバイタコトルーパーの攻撃が飛んでくるが、素早く司令がチャージショットを当てて倒しエネルギーコアを回収する。

ムゲンショクワンダーのカンヅメを回収した司令はそれの中身を半分とると僕に渡す。

残りの半分を口に含み身体を変異させると、腕が伸びるようになり手のひらに粘着性を得る。

ショクワンダーというスペシャルウェポンは本来、その腕がなせる自由度と機動力で奇襲するものだ。

「ショクワンダーがあればこのエネルギーコアは回収が楽になる。ワタシは右、3号は左をお願い!」

「わかりました!」

僕はエネルギーコアに手を伸ばし、その先の壁に手を貼り付けてエネルギーコアを回収する。

2人であればそこまで時間をかけず回収しきり合流してスイッチを起動する。

『非常システムリクエスト、電力供給規定値突破。非常システム作動、第1隔壁解放します』

「開いたっぽい、もう1枚隔壁あるっぽいからガンバ~」

「ケバインクとやらがびっしりついとるから気をつけるんじゃぞ!」

ショクワンダーで上に向かい散らばる星に手を伸ばす。

上へ上へ、光る星を(ふところ)にかかえながら。

 

かつて、祈りを胸に夜空へ手を伸ばしていたあの時。僕は、流れ星が欲しかった。

流れ星が願いを叶えてくれるなら、自分の手の中にそれがあればきっと元通りになると思った。

祈りが届いて星や竜が夜空から降りてくればいいのになんて、都合のいいことをずっとずっと考えていた。考えるしかなかった。

でも、今は違う。

僕には願いだけじゃなく力がある。

 

『非常システムリクエスト、電力供給規定値突破。非常システム作動、第2隔壁解放します』

「隔壁開いた! 最後はドアだよ!」

「壁ケバインクだらけや! どないすんの!?」

「完全にケバインクって訳ではありません。 壁についているブロックを飛び移ればいけます!」

「そこにエネルギーコアもあるね。タコスナイパーに追いつかれないように行こう!」

 

星が降りてこないのなら、神竜が降りてこないというなら。

僕が星を取りに行けばいい、僕が竜になればいい。それだけの力が今、僕にはある。

祈っていても進まない、僕の生き方は僕以外の誰かが決められないのだ。それがたとえ司令だったとしても、兄さんだったとしても。

なら僕はもう待つだけ、逃げるだけをやめる。

あんぜんフロンティア号に浮かぶ連星、その光に人間がどんな祈りをこめてここに浮かべたかは知らない。

クマサンが何を願ってこれで虹色に染めようとしているかも、正確にはわからない。

だが、僕は僕の意志でクマサンを知りたいと止めたいと思っている。

 

「だから今は、この星に手を……伸ばす!」

最後のエネルギーコアを手に取りドア前のスイッチに降り立つ。

『非常システムリクエスト、電力供給規定値突破。非常システム作動、エアロック解除、非常ハッチ解放します』

「開いた! 3号、ついてきて!」

「はい!」

非常ハッチの先には白い光が射している。おそらくこの先にクマサンはいる。

ならばもう、僕に残された道は1つだ。

僕はショクワンダーの腕をハッチに伸ばした。

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