スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

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我が子は旅に出ている。親として、その事実を忘れることなど一日もない。

俺は軍勢を率いて遡上を繰り返し、戦いの中で意味を見いだしていた。

その遡上で死に旅立った者がいたならば、妻にその亡骸を渡し料理に昇華して供養する事にしていた。

そのどれともつかぬ方法を(モッ)て対話を探した我が子は今、どこで何をしているのだろうか。

 

烏賊(イカ)の言葉で『シェケナダム』と呼ばれるそこで、今日とて我らは美味になる鍛錬を行っていた。

そこを守備しているのは四人の烏賊と(タコ)で、これまでの経験からそれが青二才(アオニサイ)どもの集まりで有ることはすぐにわかった。

一人は俺に立ち向かい頭のそれを狙おうと引き金を引くが、それが袋に命中する事などはなく、ことごとく外皮(ガイヒ)に弾かれる。

唾液を頭に送り、限界まで膨らませた袋を投げてそれと助けにきたであろうもう一人を葬る。

近くで仲間の大物が金イクラに変わる音がする。鉄塊の音から鉄板が交通事故を起こしたらしい。

仕方がない。こちらも大物になりたての青二才が多く、俺が統率を率いて鳴らしている状況なのだから。

しかしまだあちらの方が青く、サイレンと共に逃げるようにして引き上げていった。時間切れというところだろう。

「大物の犠牲は三つか。せめて阿頼耶識(アラヤシキ)の先に安らぎがあらんことを願う」

残った少々の亡骸を抱えこちらも引き上げる。後は己の血肉にして生きるのみと思い、我らの縄張りでそれを妻に渡した。

その時だった。

 

『みんな! 力を貸して!』

 

俺の、いや、我らの耳識(ニシキ)が我が子の声を拾った。

麒麟(キリン)……!?」

「麒麟は行方不明じゃないのか!?」

「……我ら全員がこの声を聞いているならば、最後まで聞け、何事かあったのやもしれん」

我らは必死に我が子の声に耳を傾ける。そんなことは我が子が麒麟と呼ばれているが故に成せた芸当かもしれない。

『今、この声がもし聞こえるなら祈って欲しい。ボクは旅で見つけたアイボーや仲間たちと世界を守りたいんだ』

「我らの世界が危ないのか? それに祈れ、とは……?」

『この世界を壊そうとするバケモノに対抗する為には、多分生きて世界と対話しなくちゃだめだ。ボクにはその解がわかったかもしれない』

「どうすればいいのだ? ただ神頼みとはいかぬはずだ」

『目をつぶって、この世界がどうであって欲しいか祈って。もし、ビートが聞こえたらそれに身を委ねて!』

言われたとおり我らはすぐに祈った。

子供の親が願う世界などただ一つ。

我が子が幸せであることだけだ。

強く願えば確かに一定の波動が意識に響く。

それは烏賊の波動に蛸が混ざり、それ以外の波動も一度に感じる。

それは常世(トコヨ)に生きるすべての波動と言っても過言ではない。

 

「……そうか、これがお前の答えか」

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