スプラトゥーン3 return to the beginning   作:キール・フェストリー

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REprologue: Desert travelers

僕は一仕事を終え、砂漠の岩陰で休んでいた。

といっても太陽と灼熱の暑さでまともに休めるわけがないのだけど、今はそれでよかった。

 

『さよなら、ヴァンダさん、レリアさん』

 

さっきまで家族だった他人(ヒト)に別れを告げて家を出てから1時間。

僕は未練を断ち切ってそこまで時間が流れてないと言うのに、遠くの過去を見るような感覚がしていた。

 

金色(こんじき)の砂漠にいっそうの風が吹く。

これ以上ここにとどまると、せっかく断ち切った未練とともに砂で埋もれてしまいそうだ。

「行くか?」

『そうしよう』

僕は相棒に確認してその場を離れ、ポケットに入っていた鍵を投げ捨てた。

あんなところの鍵は、もう必要がないから。

あてもなく歩こうとすれば後ろから相変わらずついてくる相棒の足音がじれったく、そしてとても頼もしかった。

 

相変わらずオアシスでもないのに、サボテンを中心として花の(くれない)が広がりテントが円を書くようにいくつか張られている。砂漠の風景としてはかなり異常かもしれないが、ここは間違い無く集団キャンプ場だ。

()しくもあの時と同じところへをついたらしい。

そのキャンプを仕切るおやっさんのテントで、僕はこの異常事態について聞いてみることにした。

「お久しぶりです」

「おまえさん……うむ、地下の仕事を探していたやつか。確か名前は……」

「カトレアです。こっちはコジャケのブラスト」

「くお!」

「そうか、どうだった。修羅場の一つや二つ乗り越えた顔をしておるが」

「いったい修羅場がいくつあったか……とにかくいろんな意味で貴重な体験でしたよ」

「貴重ねぇ」

「そういえば後ろの花達はいったい……」

俺がそう説明すると、後ろの方から「くお」と言う高い声が聞こえる。

相棒も気になるようでおやっさんに説明を求めている。

「……貴重と言えばそいつも貴重じゃのう」

とおやっさんはほほえんだからこのことについて知っているおやっさんに驚いた。

「砂漠はまれに花畑になるんじゃ。フラワーリングデザート、といったかな?」

「フラワーリングデザート……」

僕はその言葉を飲み込もうとして、納得が行かずこぼす。

今まで砂漠は金色のもので、枯れ草かサボテンくらいしか植物は無いものだと思っていたからだ。

「しかし、言葉は知ってても見るのは初めてじゃ。大雨が降ったかと思えば昨日からこんな調子なんでな」

そういうとおやっさんはテントから小さい箱を出して目の前に構えた。レンズがついているからそれがカメラだとわかる。

「ほれ、おまえさんもやるよ」

「こんなカメラ、いったいどこで?」

「おまえさんらが持ってきたジャンクで組んだんじゃ。ワシは一文無しになるまで写真屋だったからの」

渡されたカメラでその景色を撮影してみる。レンズに写る紅の庭は肉眼で見るのとは違う少しかすんだ色になる。

それを撮影して、いかにもというハンドルを回せばその場で小さな写真が出てきた。

「放浪して改めて思ったが、やはり写真はいい。目で見たものをもう一度見ることはできんが、写真ならそれを残しておける」

「残して、ですか」

「おまえさんがどうしようと勝手だが、気が向いたら撮ってみるといい。後で見返せば何か思うことが変わるかも知れんよ」

「ありがとうございます」

そうして、カメラを(ふところ)に僕はキャンプ場を発った。

 

ほっつき歩いて老朽化の進んだ無人プラットフォームに着いたから、僕は気まぐれで駅の地名表示を見た。

「……バンカラ線工業第二。そうか、次の目的地は決まったな」

「くお!」

相棒に同意を得てそこに向かうため、狙ったように来た電車に飛び乗った。

ひとたび電車に乗り込めば車内はやはり静かで、今までの出来事が走馬灯のように流れる。

それを振り切って前を向くとのんきに相棒が揺られていて、それに身を任せることにした。

そうして揺られること20分。相棒は席を飛び降りたのでついて行くと、目の前には覚えのある街並みが見えていた。

 

その街の名前は『バンカラ街』、再開発の進む街である。

僕はここに、戻ってきた。

いろんな縁と出会ったこの街に。

その街を改めて見るために、僕らは前へ進み出した。

 

僕らの旅は、ここから始まる。




今回でこのお話はおしまいになります。
はじめてのハーメルンへの投稿でしたが、感覚を掴むことができましたし、やりたいことをすることができました。
ここまで読んでくださった方々、ほんとうにありがとうございました。

サイド・オーダーの小説は先にpixivに投稿してからハーメルンに演出強化して投稿しますので、よろしくお願いします。
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