スプラトゥーン3 return to the beginning 作:キール・フェストリー
ここは謎の施設──目に入ったロケットなど視覚情報から考えるに、宇宙開発でもしている施設か──は『オルタナ』と呼ばれる場所で、6つの「サイト」という区画に別れているらしい。
うち、アタリメ老人の発信機と似た波長が3つ確認されたので、俺たちでケバインクの事も含め調査してこいとのことだった。
「……確かにここは広いですけど、3人でやっていればかなりのペースでことが進みますね」
といったら1号と2号は申しわけなさそうな顔を浮かべて謝罪する。
「あゴメン、1号とワタシはパスでよろ。仕事が立て込んじゃってるから」
「お忙しいんですか?」
「ごめんねー! 今までの調査も仕事の合間縫って来てたから、多分これからも時間があんまりとれなくて……」
「じゃあ、俺一人ですか? まあ良いですけど」
「……もしあれだったらワタシも前線に出ようか?」
そう司令が口に出すから、俺は「大将が出てしまうのはまずい」と言おうとしたが、それは1号が意外な観点から懸念を示した。
「でも司令は、ガラスの破片が刺さって失明してるって……」
「……右目はね、でも完全に盲目じゃないから大丈夫!」
俺はてっきりそういうファッションの類の眼帯かと思っていたが、司令は本当に失明しているらしい。ならばなおさら前線に行かすわけには行かないだろう。
「いえ、確かに悪態はついてしまいましたけど俺だけでもやれます。いざとなればこいつだって利用しますから」
「そっか、わかった」
その返事を聞いて、俺はオルタナ最初のヤカンに入場した。
着地をすればそこはガラス張り狭い部屋。
目の前には自動改札機のようなものが配置され、足下には何か低い台のようなものがある。
近いところで言えば無菌室だ。
もちろん俺が本物の無菌室など見たことはないが、小説で知識としては知っている。
視覚で状況把握を終えたところで、無菌室のスピーカーから音が鳴り、俺のクツが台に固定されて、何か認証プロセス的なものが始まった。
しばらくのプロセスのあと、無機質な機械音声がスピーカーから案内を始める。
『こんにちは。私はサポータープログラム、イルカ。このオルタナ市民プログラムをナビゲートさせていただきます』
「わっ! 何かしゃべり出したよ!」
『参加にあたって新規登録をさせていただきます。参加者のお名前を入力してください』
「カトレア、です」
音声入力らしいので声で登録を行うと、透明感のあるビープ音とともにイルカは登録完了の旨を告げた。
イルカの案内を要約すると、このオルタナにちりばめられたミッションによって知力と体力を計るプログラムであり、ミッションクリアした場合は報酬としてイクラが支給されること。
また、ミッションの進捗状況に応じてオルタナログなる機密情報が解放されることが伝えられた。
俺はヒーローシューターを改めて持ち直し、ゲートをくぐって開始した。
白に青を薄めた、と言えば正確か。そんな空といやに清浄な空気が流れ込む。
ゲートをくぐり、ライドレール──ジェットコースターのレールのように1方向だけへ進むレールだ──を抜けた先はそんな場所だった。
目の前に見えるのはカギで開くドア三つ。
左右にはジャンプマットやライドレール、カンケツセンなどといったギミックが展開される。
そのギミックらを使用して問題を解決し、カギを手に入れろということか。
俺は手始めに左手にあるカンケツセンから手を着ける。
カンケツセンのふたをインクで開けて上昇。そしてシューターの射程外にあるインクレールを、やつを投げて起動し向こう岸へ渡る。
その先、プロペラのついたリフトを漕ぎ風を切る。
2号は気持ちよさそうな声を響かせるが、──通信機越しで俺の体感を感じるはずは無いのだが、映像も同時に伝わるハイスペック通信機だからか視覚的にもわかるのだろう──俺はその風が鋭く、痛みを感じて不快だった。
渡りきればカギがあったからそれを回収。下に降りて次を探す。
近くにあった太鼓、『でんでんスイッチ』をシューターで撃ち壁面を引き出して、壁面を十分に染め上げた後、俺は身体を変形し壁を駆け上がった。
先祖が海洋生物であり、それに適した姿と環境で行動するのが効率的なのはよく分かるが、だからといって、それが重力に逆らって行動できる理由付けにはならないから現代でも原理が解明されていない、というトリビアを思い出したが今は関係ない。
ともかく俺はそうして壁を登り、それを2回ほど繰り返して2つ目のカギを回収した事実は疑いようがない。
残ったカギはおそらく開始地点の左、現視点での右前方にあると見てそちらに向かう。
見えた二輪車のようなものをこづくとそれは動きだし、細い横道を進んでから近くにあったスポンジに激突。スポンジは初期の10倍程度まで体積を膨らませて上部へ登る壁となった。
それを駆け上がってピロピロ──インクを使って伸縮する巻かれたベルトで、古典的なおもちゃと構造が似ている──を撃つ。それは橋となり、壁となり、さらに上へ向かう。
頂上でカンヅメを拾い、3つのインクパックがついた大筒『ウルトラショット』でタコを吹き飛ばしながらピロピロを伸ばせば、最後のカギを取る道は開いた。
「……後はゴールへ向かうのみか」
そうつぶやいて正面へ。3つのカギドアを解錠し向かうのはゴールらしきオブジェクト。
「塗り潰せばロックがはずれるみたいだよ!」
そういった司令の通り行動すれば、バラバラだったオブジェクトは塔を形成し、それが台座にはまって触れられるようになった。
それに恐る恐る触れば認証され、ゴール。
俺の意識ごと強制送還された。