透明少女な双子の妹が普通科からヒーロー科を目指す話(仮)   作:峰下抄

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三人称回です。


12.葉隠霞VS爆豪勝己

 緑谷出久は二回戦第一試合で負った怪我の手術と治療を終えて、観客席スタンドに戻っていた。

 舞台上では第三試合、尾白猿夫対常闇踏影の決着がつこうとしていた。

 常闇の個性『黒影(ダークシャドウ)』の射程距離とパワーに、なんとか尻尾を用いた機動力で対抗しようとした尾白であったが、黒影の牙城を崩すことができず、粘ったものの降参に至っていた。

 

「飯田くんと芦戸さんの試合は飯田くんの勝ち……。ああ、やっぱり見たかった……」

 

 見えた範囲で第三試合の分析の独り言を始める緑谷だったが、その背中に飯田天哉の声が掛かった。

 

「緑谷くん! 手術無事成功したんだな! よかった」

「うん、ありがとう。飯田くんもおめでとう。……どうやって勝ったのか聞いても?」

「試合開始と同時にレシプロバーストで場外へ引っ張り出した! 少し手を酸で焼かれたな!」

「なるほど」

 

 二人は話をしながら観客席に移動していく。

 麗日お茶子と並んで三人で席に座ると、第四試合のアナウンスがスタジアムに響いた。

 

『二回戦も最後の第四試合! 葉隠対爆豪!』

 

 舞台に登場する爆豪勝己と葉隠霞の姿に歓声が上がる。

 片や入学前から注目を集めていた入試トップのヒーロー科男子、片やここまで下剋上を果たしてきた普通科女子。対照的な二人だ。

 

「爆豪くんは二試合連続で女子と当たることになったが……緑谷くんは次の試合、どう見る?」

「えっと……――まず麗日さんの試合と同じでかっちゃんのことだから容赦なく爆破で攻めるね。そして妹さんの個性は多分お姉さんの葉隠さんと同じで『透明』だと思うけど、麗日さんと違って触られたら危ないってことがないはず。とすると前の試合は警戒して迎撃に集中していたけど今度は逆に速攻で攻めると思う。青山くんとの対戦では時間と隙を与えたら服を脱いでステルスしてきてたから、かっちゃんがそれを見ていたなら一番警戒してるのはそこになる――」

「……おお……」

「――妹さんはA組のことを葉隠さんから聞いてよく調べてるって言っていた。だからかっちゃんのことも葉隠さんが知ってることは知っていると思うし、さっきの試合も見ていたならかっちゃんの『爆破』は段々調子を上げていくことも把握しているはず。だとしたら妹さんが狙うのはまずどうにか隙をついて服を脱いで完全ステルスになった上での速攻……ちょっと矛盾するけど、時間を与えるわけにもいかないと考えるんじゃないかな」

「…………なるほど!」

 

 緑谷の怒涛の持説開陳に、隣に座る麗日は一拍置いて頷いた。

 問いを投げた飯田も予想はしていた通りの反応ではあるがその長文考察に目を白黒させていた。

 

「いずれにせよ、実力の上ではかっちゃんが負ける要素はないと思う。完全に透明になっても、かっちゃんが本気になったらステージに逃げ場はないし。……でも」

 

 ――まだ見せてないものがあるかもしれない。

 

 緑谷の口上はそこでようやく止まり、その様子を後ろの席から姉である葉隠透は見ていた。その表情は透明であるがゆえに誰にも見えなかった。

 

 

 

 

 

 

 舞台上の爆豪勝己は不機嫌そうに見えて、その通り不機嫌だった。

 第一種目でも第二種目でも一位を取れず、ようやく最終種目のガチバトルで本領発揮できるかと思えば相手は女子。それも二連続だ。

 先の一回戦では路傍の小石としか見ていなかった麗日お茶子の策に冷や汗をかかされた――にも関わらず、観ていた者たちのほとんどからは弱い者いじめとしか見られていなかった。

 策を受けて相手を脅威であると認めたのに、そこが彼女の限界であったことも不完全燃焼に拍車をかけた。

 そして曲がりなりにも『無重力』の個性を警戒していただけに、次の相手の個性が『透明』に過ぎないことも、彼に不満を溜めていた。

 開けたステージ、号令(よーいどん)で始まる戦いにおいては全くもって脅威にならない個性だ、と彼は考える。

 完全に透明になられたら面倒ではあるがそれだけだ。不意打ちを仕掛けられたところで一撃でやられさえしなければ反撃で倒せるし、なんなら適当な爆撃でまとめて吹き飛ばせばいい。

 いっそ最初から服を脱いだ状態で試合開始したほうが良いハンデになるのでは、そんなことすら頭によぎっている。

 

「爆豪勝己くん――――はじめまして」

 

 そんな彼に、彼女――対戦相手の葉隠霞は声を掛けてきた。

 なんだ? なんのつもりだ? と胡乱げに爆豪は葉隠を見やるが、チッと舌打ちをした。相手の顔は透明で見えず、様子が窺えないのだ。

 

()()()()()()()()()()()()()()。……あ、いや、違う。そういうことがいいたいんじゃなくて」

 

 じわりと剣呑な雰囲気が漂う台詞が吐かれた、と思いきや彼女はあたふたと慌てたように両腕を振り回した。

 服装が動くジェスチャーに既視感を覚え、そういえば自分の前席の双子だったかと今更に思い出していた。

 

「んだテメェ。自分が入試で落ちたからって、リベンジでもしたいのかよ」

 

 彼女は普通科で、双子の姉はヒーロー科。ということはこっちは入試の実技試験に落ちたのだろうと彼は当たりをつけた。その推測は事実正しい。

 

「んんー……、いやまあ、そういうトコも()()()()()んですが……。こんな機会でもなければあなたと面と向かって話すことなんてなさそうで……。ええっと、()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 ――コイツ、俺のこと煽ってやがんのか? と思う爆豪。

 彼の反応を見た彼女は、さらに慌てたように見えない全身で違う違うそうじゃないとアピールし始めていた。

 

「は、話すことまとめずに話したい気持ちだけで先走ったら、その、ダメですね!?」

 

 がっくり、という様子を全身で表現してみせる透明少女。端的に言えば彼女は緊張で一杯一杯だった(テンパっていた)

 後で姉伝手でなんとか……、と呟く彼女は手袋とリボンを外しポケットに仕舞うと、気を取り直すようにぱちん、と両手で両頬を叩いた。

 

「――――――――」

 

 透明で見えないはずの葉隠から、爆豪は真っ直ぐ向けられた視線を感じた。

 言葉はない。一度大きく息をしてから、試合開始の合図を待っている。

 

「……そろそろいいかしら? 二回戦第四試合――」

 

 二人の選手の様子を見ていた審判が準備よしとして、声を掛ける。爆豪も身構えた。

 

『――――START!!』

 

 狙うは速攻。爆豪は開幕と共に跳び出した。が――

 

(――っ、なんだ!? ――手袋?)

 

 小さい何かが目の前に飛び込んできた。そのせいで踏み込みがほんの少しだが、鈍る。

 出鼻をくじかれた、と内心で舌打ちをしながら、右手を振るって相手が立っていたはずの場所へ爆発を浴びせる。

 

『爆豪の速攻爆撃! だが葉隠、これを避けている!』

 

 爆豪に手袋を投げつけて牽制した葉隠霞は、爆豪の左手側に回り込んで避けていた。

 彼女は反撃に手を出そうと拳を握ってはいたが、爆豪は避けられることを攻撃する前には気づいており、反撃に反撃を合わせようとしていた。

 読み合いが回っており、爆豪の反応速度を先の試合で見ていた彼女は攻撃を諦めた。ならば、と次の動きに移る。

 

「…………」

 

 爆豪の初撃は地面を抉り、これも先の試合同様に煙幕を生んでいた。この煙幕に彼女はまぎれる動きを見せていた。

 彼女は素早く上着をインナーごと脱いで左手に持った。もう一方の右手は抉れた地面から生じた小石を掴んでいる。

 

「そこかァ!」

 

 煙幕が薄れ、爆豪には彼女が掲げた上着のシルエットが見えた。

 そして掴みにかかろうとするも、ふわりと上着は宙を流れた。

 

(――また、囮か――?)

 

 脳裏によぎるは一回戦のこと。そこにあるのは上着だけだった。

 本人はまだ煙幕にまぎれているのか、それとも――

 

 コツン、と小さな音が背後から聞こえた気がした。

 

 後ろまで回り込んだのかと、咄嗟に身を捩って振り返る。

 しかし、そこには何もない。()()()()()()()()()()()

 

 今度こそ嫌な予感がした爆豪は、もう一度上着が浮いていた方を見た。

 一回戦では麗日の個性で浮いていた。だが、今回はただその場に放ったような浮き方だった。なら葉隠はそのすぐ近くにいなくてはおかしい。

 正面を向きなおした爆豪の目の前には、その予感通り、相手の姿――前蹴りの姿勢を取る葉隠の靴とズボンがあった。

 爆豪の右膝を狙った葉隠の前蹴りがヒットする――も、所詮は女子の力。A組男子の中でも特に喧嘩慣れしている爆豪にとっては、一瞬ひるむ程度のダメージにしかならない。

 

「――(かり)ぃ!」

 

 そして蹴られたということはそこに居る、ということ。振り向きざまに、爆破しながら腕を振り払った。

 

「チッ――――」

 

 爆破を当てる瞬間、右膝にもう一度蹴りの感触が来ていた。二度蹴りして、その反動で距離を取ろうとしていたのだ。

 爆発の煙の向こうで、地面を滑る音を爆豪は聞いた。

 

(当たったとは思うが……)

 

 タイミング的には当たっているが浅かったか、後ろに跳んで衝撃は逃したと言ったところか。

 爆豪としては追撃したかったが、粉塵の先に相手がそのままいるとは考えられなかった。

 葉隠の足音は小さい。爆豪には知るよしもないが、彼女の持ち込み装備である靴の消音性が効果を発していた。

 そして爆豪の耳には足音の代わりに、周囲のあちこちから小石が跳ねる音が届いている。

 葉隠の露骨な陽動に内心、うぜぇ! と爆豪は苛立ってはいたがじっと耳を澄ませていた。

 

 ――空を切って飛来する(つぶて)の音が聞こえ、手の平サイズの投石が爆豪の左側頭部を直撃した。

 

 小石と言うには大きい投石は流石に痛かったが、それを無視し――否、怒りに変えて、爆豪は瞬時に投射地点を逆算した。

 

「――そ・こ・か・ァ・ッ!!!!」

 

 右手に起こした爆発を推進力に、投射地点へ向けて飛ぶ。この試合初めての『爆速ターボ』。

 目途をつけた場所には何もない。しかし、爆豪は構わず左手を振り回して爆破した。

 

「――――っ!」

 

 悲鳴を殺して息をのむ音は、果たして彼に聞こえただろうか。

 爆撃の寸前、何もない地面に砂埃が舞っていた。爆豪の動体視力はそこに確かに新たな足跡がつくのを捉えていた。

 そして砕けた地面の瓦礫が舞い上がる爆音にまぎれつつも、何かが地面を転がる音を聞いていた。

 ――もう逃さない、と音を追いかける爆豪。

 粉塵の煙幕の中だが、どうせ相手はもう完全に透明になってしまっている。ならば目隠ししていようが一緒だ。

 投石程度の攻撃しかできないなら、こちらから攻め切ってしまうほうが手っ取り早い。

 音と煙の流れを頼りに気配を辿る。そして彼が走り寄ってきていることに彼女も気づいたのか移動音が静まったが、爆豪の感覚ではほんの2メートル先に居る。

 爆豪は無意識下で戦術を選択した。相手に忍び足で移動させる隙は与えない。近づいて、広げた爆発で削る。

 

(無駄に隙を窺おうとするビビり相手に余計な時間をかけるなんて真似はしねぇ――)

 

 相手を下に見るのは彼にとっては平常運転だ。

 そして、相手の彼女にしても、格上の相手に手段なんて選べないと割り切っていた。

 

「――――ッ!?」

 

 目標地点まであと一歩、と踏み出した足が強烈な違和感を以って止められた。

 段差に気づかず想定外の高さに足を下ろしたときのソレに――爆豪は瓦礫が転がってるのを見落としたのか足元を一瞥するも、何もない。彼の足は()()()()()()()()()()()()

 しかしそのことを認識するよりも早く、爆豪は殺気を感じていた。

 ハッとして意識を前に向けると、また石が向かってきていた。だがそれは投石ではなく、葉隠が凶器にすべく掴んで殴りかかろうとしていて――

 

 ――――BOOOM!

 

 爆豪は咄嗟に、準備していた右手の爆発を正面に浴びせた。

 回避を難しくする意図の、広げた爆発だった。効果範囲を広げたため、威力自体は薄まっていた。

 

「――っ、ぅあああああああああ!!!!

 

 試合が始まって初めて葉隠が声を発した。

 爆発に耐え踏ん張るために。

 自らを奮い立たせるために声を張り上げていた。

 左手に持っていた石こそ爆発の衝撃で手放してしまったが、絶叫と共に彼女は左手を伸ばす。

 

 ――GRAP!

 

 爆破で振りぬいた爆豪の右腕を、見えない手が掴んだ。

 ぐいっと右腕を引っ張られる感触に、爆豪は見えない相手がこちらを殴ろうと振りかぶっている姿を幻視した。

 

「――――がっ!!??」

 

 そして、爆豪は()()()()()()()()、彼の視界は明滅した。

 予想外の痛みと衝撃に、一瞬、気が遠くなる。

 踏み止まるも、よろめいた爆豪は背後に回り込む気配を感じた。

 

「ぐっ!? ――ッ!?」

 

 ――細い紐か何かが首を一周し、絞められる。

 さらに葉隠は爆豪の両肩に飛び乗るように全体重をかけて、彼を引き倒した。

 地面に座り込むような体勢になった爆豪、彼の両肩に両足をかけて突っ張り全身の力で首を絞めにかかる葉隠。

 反射的に首に手をやった爆豪だが、首に食い込んだ何かよりも、自身の背後に居る相手へ意識を向けた。

 左手を後ろに向けて爆破する。

 向きが悪かったのか、少しだけ絞める力が緩んだだけだった。

 もう一度、今度は右手を向ける。

 今度は外れたのか我慢されたのか、力も緩まなかった。

 

「――……ッ!!」

 

 ――BOOOOOOM!!

 

 窒息と圧迫で赤くなる視界に爆豪は命の危険を感じ、咄嗟に出せる全力の爆発を、自身への自爆も辞さない威力で以って放った。

 

「ぐぁっ……」

 

 堪らず葉隠の手が緩む。爆豪はようやく一息、息を入れるとすぐさに自身の首を絞める紐――彼女が試合前に解いて仕舞っていた長いリボンだ――を掴み、焼き切った。

 突っ張っていた葉隠は張力を完全に失い、「あっ」と声を漏らして地面に倒れていた。

 自由になった呼吸に、げほげほ、と咳き込みながらも爆豪は反転し、四つん這いになって相手へ向いた。

 葉隠の姿は見えないが、気配は確かにそこにあった。

 立ち上がりながら、右手を振りかぶる。もう容赦はなかった。

 

「……あ……」

 

 呆然とした声だけが爆豪の耳に届く。無視した。

 爆発を、確かに浴びせた。

 

「――――――――」

 

 じわり、と。

 葉隠の靴と、爆発を浴びボロボロになっていた体操服のズボン、その姿を見せた。

 そして、動きはない。

 油断なく、爆豪は右手を見えない葉隠に向けたまま、待った。

 

「…………まいり、ました」

 

 絞り出すような小さな声の葉隠の降参を受けて、

 

「――勝者、爆豪くん!」

 

 審判は高らかに、爆豪の勝利を宣言した。

 

 

 

 

 

 

 

『さあ! 二回戦最後の試合も決着がついたわけだが、ちょっとさっきの試合、実況席から見てても難解だったな!

 というわけで、試合の映像を振り返ってみよーう!

 まずは、試合開始直後から! ここで爆豪は速攻を仕掛けに行っていたんだが』

『葉隠が牽制に手袋を投げつけて、気を散らした。ポケットに仕舞ったと見せかけて、手に持って透明化していたな』

『そう! 葉隠妹の個性は自身が透明であることだけではなく、触れているものも透明化できるってわけだな!

 第二種目や一回戦では敢えて使わず、わざわざ服を脱ぐことでカモフラージュまでしていた。クレバー!』

『爆豪の開幕速攻を避けて攻撃しようとする素振りは見せたが、爆豪のさらなる反撃を警戒して煙幕への潜伏を選択した』

『ここで葉隠はまず上着を脱ぎつつ、最初の爆発で生じた小石を拾いにいっている……んだが、ここからは煙幕と葉隠の透明化でカメラ映像で見てもよくわからなくなる!

 というところで、これだ! サーモ映像! これなら何が起きていたかよくわかる!』

『元々、葉隠姉妹の各種判定のために用意していたものだ。主要なカメラには同じシステムが仕込まれている。今回なら場外判定を機械的にチェックもしていた』

『――ということで映像に戻るぜ。上着を脱いだ葉隠が、あらかじめ小石を投げていたのがよくわかるな!』

『上着を掴んで敢えて爆豪に見せつつ、ここで上着以外、服と靴を透明化してる』

『一回戦の麗日を彷彿とさせるシチュだけに、爆豪は後ろに落ちた小石の音に反応!

 その隙に透明化を解除した葉隠がヤクザキック! だが爆豪にダメージは見られない!』

『体格差もあって、葉隠も予想はしていたようだな。もう一度蹴った反動で後ろに跳んでる……が、やはり爆発自体は喰らってるな』

『煙幕の中を転がるように逃げた葉隠は再び潜伏しつつ、上着と石を回収。今度は大きめの石も確保して、小石はあちこちに投げて爆豪へ嫌がらせ。

 おっとここからはずっと服も靴も透明化していて普通のカメラには映っちゃいないぜ!

 爆豪が待ちの姿勢の間に位置関係を計りつつ、投石で直接攻撃――だが爆豪は即座に反撃に出る!

 片手の爆発を推進力にしての爆速ターボで、葉隠に逃げる暇を与えない!』

『葉隠はぎりぎりまで動いていないが、爆豪はそこにいると確信していた。結果、広く伸ばした爆発がヒットしている』

『もう一度逃げる葉隠を、今度は追う爆豪!

 しかし、葉隠も無策で逃げたわけではなかった!

 逃げた先には試合開始の爆破でめくれた地面とその瓦礫がある!』

『大き目の瓦礫を透明化して、その後ろで体勢を整えた。そして右手に持った上着は、結んで石を仕込んで即席の武器にしている。左手にも石を掴んでる』

『まんまと透明化した瓦礫に足をかけた爆豪がバランスを崩しかけた!

 その隙を狙って葉隠が殴り掛かるが――爆豪の爆破が直撃! しかし葉隠はぎりぎり耐えた!』

『先の爆発同様、見えない相手に当てるために威力が薄くなっていた、ということはあるだろうな』

『葉隠が爆豪の右腕を掴んで、右手に持った()()を振りかぶって――クリーンヒット!

 結んだ上着と石の簡易フレイルが、ガードの裏から回り込んで爆豪の後頭部に直撃!

 爆豪にとっちゃあ、ステージの素材が比較的脆くできててよかったな! いや、脆いからこそ凶器に使われたのか?』

『敢えて硬くしすぎないようにして大怪我防止の意図があるからな*1。それでも充分硬いんだが』

『ダウンは免れた爆豪だったが、葉隠が素早く背後を取ってポケットからリボンを取り出し、首絞め! このあたりの動きはまさに暗殺者(ヒットマン)

 ……ちなみにリボン使うのはアリなの?』

『あのリボン自体は何の変哲もないリボンだ。おまけに念のためなのか、持ち込みアイテムの申請の中に入ってる』

『用意周到! 普通科女子こえーな!

 さて映像に戻るが、爆豪が思いっきり爆破して首絞めから逃れた!』

『パニックにならずに、的確に反撃に出た爆豪の闘争本能の勝ちだ』

『あわやと思わせた葉隠も、もはやこれまで! ズボンと靴の透明化も解除されて、降参を宣言!

 ――と言ったところで振り返りは終了だ! これでベスト4が出揃った!』

 

 

 

*1
独自設定・解釈




 原作では緑谷くんが観客席に戻るのは二回戦第4試合中(切島くん対爆豪くんの試合)ですが、今作中では二回戦第3試合中に戻っています。
 第2、第3試合が原作より長引いたとかそういう理由だと思っていただければ幸いです。
 物語に関わる深い理由はありません。

 タグに「残酷な描写」を追加しました。
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