自分のせいだと落ち込んでいた少女
そんな中行きつけのうどん屋に行くと
店員に声をかけられる
そして落ち込んでいた少女は一杯のうどん
さらに朗報に救われる
ある晴れた日の昼下がり、ある少女は
行きつけのうどん屋に向けて歩いていた。
少女が通っているうどん屋は
とても古くから続く老舗として有名だった。
そんな店に少女が通い始めたのは
2,3年ほど前の冬のことだった。
ルームシェアしている友人に誘われて
行ったのが通い始めるきっかけとなった。
友人も行くのは初めてだったが友人いわくネットでの
口コミもとても良いらしい。
そして私が引きこもらなくなったのも
このうどん屋に通い始めた頃だった。
その日は雪がちらつく雪模様で
ひんやりとした風が吹いていた。
漆黒の髪をなびかせ寒さに文句を言いながら友人と
歩いてその店まで向かった。
そのうどん屋は鰹と昆布の出汁がきいた
きつねうどんが人気メニューだった。
私達は店に着くと席を確保しうどんを頼んだ。
初めてなので何を頼むか迷ったが
人気メニューに間違いはないだろうと
2人ともきつねうどんを頼み
うどんを受け取って席についた。
口コミ通りの味ではあるが想像以上の味だったため
二人はとても気に入った。
気がつけば二人はお昼になるたびその
うどん屋に行ききつねうどんを食べる事が
習慣になっていた。
そしてうどん屋に通い始めて一年ほど経ったある日
事件は起きた。
友人が帰り道に私をかばって事故にあったのだ。
急いで救急車を呼び友人は治療を受け
一命はとりとめたものの
友人を治療した医者に告げられたのは
「もう友人は目を覚まさないかもしれない」
という一言だった。
そして私は友人が入院するために必要なものを
取りに行くため一度家に帰宅した。
家の中に入った途端私の中の悲しみが爆発し
目から大粒の涙がこぼれ落ちた。
「あいつがこんな事になったのは私のせいだ」
自分を責めながらひとしきり泣いた後病院へ向かい
必要なものを届けてから私は家に帰った。
その日の夜は何も喉に通らないと感じられるほど
落ち込んでいた。
そしてその日は眠りについた。
次の日起きると昨日ほどではなかったが
大きな喪失感に飲み込まれていた。
そしてお昼になるとお腹も空いたため
いつものうどん屋に向かった。
そしてきつねうどんをいつものように
注文しようとしたとき
店員さんに
いつもの白い髪のお嬢さんは
今日は一緒じゃないの?と聞かれた。
私は昨日起こったことをその店員さんに話した。
一通り話を聞き終えたあと
店員さんは私を励ましてくれた。
人に話すことができたことで
少し心が軽くなったような気がした。
だが心にできた喪失感という穴が
埋まることはなかったのだった。
そんなこんなで1年ほど過ぎたある日
普段は電話なんかあまりかかってこないはずの
スマホに電話がかかってきた。
電話は病院からだった。
最悪の展開が頭によぎったがとりあえず電話に出る。
医師からは自分が思っても見なかった
一言を告げられた。
友人が目を覚ましたというのだ。
私はその一言を聞いた瞬間家から病院に向けて
飛び出していた。
そして友人の病室に着くと
白い髪を風になびかせ外を見る友人の姿があった。
私はすぐに駆け寄り友人を抱きしめた。
退院まではまだ少しかかるようだったが
目を覚ましたというだけで私は嬉しかった。
そうして今ではまた友人とうどん屋に毎日通っている。
あのときうどん屋の店員さんが
落ち込んでいた私を励ましてくれなければ
今の私はいなかったかもしれない…
そういう意味では私は一杯のうどんに救われたのだ。
そんなことを考えながら今日も友人と
うどん屋へ行く道を歩いているのであった。