『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

10 / 54
※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『ターボ』

 

「何だ?何だってんだ?」

鼻につく甘ったるい匂いがラルフを起こします

 匂いも去ることながら耳につく歌声に

  ラルフは目に見えて苛立ちを見せます

 

「ゲームはいつからうるさくなったんだ?」

歌声の発信源を突き止めるべく

 ラルフは目についた

  変な色の()らしき何かに登ります

 

登っていくほどに異様な光景

 ベタつく木の枝に

  呼吸する度に喉の奥が渇きます

 

「最悪だ!おかし(・・・)な国のレースゲームだろ?」

ラルフの眼前に広がるのは

 何もかもがカラフルなお菓子で作られた世界

 

「ここに用は無い…ない?ない!?」

ラルフの手元にある筈の勲章がありません

 身体のあちこちを探しても感触がありません

 

ラルフは周りを慌てて見回します

 やぶれかぶれな作戦であったものの

  手にした結果は満足のいく形であったこと

   その証拠になる勲章が

    その手を離れてしまったのです

 

「嘘だろ…嘘だと言ってくれ」

木を降り、周辺を

 シャトルの中をくまなく探します

  ですが影も形もありません

 

「俺のメダル…」

無くなったことに激昂したラルフは

 無闇矢鱈に周辺の木を薙ぎ倒していきます

 

叫ぶラルフを横目に

 そこから

  いそいそ(・・・・)と立ち去る人影がありました

 

 

その頃〈ヒーローズ・デューティ〉では

 復旧活動が行われていました

 

「プレイヤーが来るまでひとまずもつと思います」

「よくやったカルロス」

カルホーン軍曹はどこか悲しく

 どこか気の立っている様子です

 

そんな様子を見て

 フェリックスは居た堪れなくなっています

「コフート!私のホバーハウンドを!」

「お一人で行かれるおつもりですか?」

「ああ、ここはお前達だけで十分だ」

 

  

フェリックスは

【ゲーム・セントラル・ステーション】へ

 向かうカルホーン軍曹を

  不安そうに眺めます

 

他人に厳しく、信用していないためです

 

「逃げたサイ・バグを追う。

 コフート!明朝までに私が戻って来なかったら

 隊の指揮は貴様に一任する

 私を失望させるなよ」

「イエス!マム!」

フェリックスはその間に

 格納庫を見て回ります

 

「ジェイド!予備の武装は?」

「プレイヤーの到着が待たれるな」

「また、死ぬのか」

皆が失意を口にします

 サイ・バグとの交戦は

  それ程物量が必要となるためです

 

ですが格納庫にシャトルが突っ込んだ為

 大半の武装が変形、破損しています

  フェリックスは言葉を失います

「あのシャトルにはラルフも乗ってた」

 

ラルフが壊したも同然です

 俯いていたフェリックスはハンマーを取り出し

  中の整頓を始めていた

   ジェイドとマルコフスキーに近寄ります

「どうしました?」

「ラルフが壊した(・・・)ものは僕が直します」

 

 

「ステーション内を乱暴に飛び回ってから

 このお菓子の国のゲームに

 もの凄いスピードで飛び込んでいきました」

カルホーンは

 異常検査係サージに話を聞いています

  サイ・バグの行き先を確認するためです

  

【ステーション記録】

〈ヒーローズ・デューティ〉より異常検知

 非常用シャトル→非公認のツール検知

  異常渡航により抜き打ち検査を実行

   記録なし

 

〈シュガー・ラッシュ〉より異常検知

 非常用シャトル→非公認のツール検知

  異常渡航により抜き打ち検査を実行

   記録なし

 

「シュガー・ラッシュか…」

サイ・バグの特性をよく知るカルホーンは

 より苛立ちを強めます

 

「カルホーンさ…軍曹!」

「貴様の仕事仲間も、

 サイ・バグも私が解決しよう

 お前は自分の(ゲーム)に帰れ」

フェリックスに冷たく返事をするカルホーン

 ですが

 

「…僕も行きます」

「何を言ってるんだ?」

フェリックスがハンマーを強く握り締め

 カルホーンを見上げます

 

「自分の世界の外へ行くんだぞ?

 死んだら復活できないんだぞ?」

「いくら言っても無駄ですよ

 ラルフが壊した物は僕が直します」

「震えてるぞ?無理をするな」

「あなたと…一緒に行きます!」

震えているフェリックスが

 カルホーンを強く見つめます

 

カルホーンはそれ以上言葉を交わすことなく

 静かに愛用機ホバーハウンドの

  空いた空間を指さします

 

フェリックスは今一度

 自分の仕事に向き合います。

 

 

ホバーハウンドとは

 ホバーボードの一種です

 

カルホーン軍曹の愛機

 搭載しているエンジンがヒト世代前であり

  加速は優秀ながらその燃費の悪さから

   長期運用は想定されておらず

    短期決戦向けといえます

 

設計されたカスタムホバーボードであり

 燃費は更に悪くなっていますが

  加速力はシャトルに迫ります

 

このホバーハウンドを扱えるキャラクターは

〈ヒーローズ・デューティ〉の隊の中には

 カルホーン以外はいません

 

 

高速飛行中カルホーンは目標を見据えます

 フェリックスはというと

  啖呵を切った手前弱音を吐きませんが

   後悔をしています

 

「しかし、フェリックス

 貴様が言っていたターボ(・・・)ってのは何だ?」

「カルホーンさ…軍曹は

 センターに来ていくらですっけ?」

「さぁな、7日かそこらだろ」

実際、カルホーンが登場する

〈ヒーローズ・デューティ〉は

 新しい筐体です

 

「なら知らないのも無理ないですね」

「で?」

 

 

〈ターボ・タイム〉

19年代のレースゲーム

 プレイヤーは俯瞰視点でコースを確認できます

 

筐体の名前にある

 ターボというのは本作品における

  ヒーローの名前です

 

白と赤を基調としたレーススーツに

 これまた白と赤色のヘルメットを被った

  2頭身のキャラクター

 

プレイヤーは俯瞰視点から

 キャラクターのターボを操作して

  全コースを制覇するのが目的です

 

ハンドル操作にアクセル、フットブレーキのみ

 ハンドブレーキやクラッチはありません

 

ターボはとても自分が大好きです

 連戦連勝、史上最高のレーサー

  口癖は『ターボタスティック』

   自分を称賛する言葉です

 

とても人気のゲームでした…

*これはゲームの説明です

 

 

【ターボ】

19年代後半になり

 とあるゲーム筐体がゲームセンターに

  設けられました

 

〈ロード・ブラスターズ〉です

 従来の俯瞰視点とは異なり

  第二者視点、プレイヤーは車体を

   後方から間近で確認でき、コースの中を

    擬似的に走ることができます

 

新型のゲーム体験

 子供達は〈ロード・ブラスターズ〉に

  流れていきました… … …

 

 

「子供の人気を取られたターボは

 酷く嫉妬したんだ」

 

 

… … …新型のゲーム

最新ゲーム機の美しいグラフィック

 臨場感あふれる効果音や音楽

 

しかし、それだけではありません

 美しさも効果音も音楽も

  プログラムによるものです

 

それだけ複雑です

 世代が変われば

  そもそも互換性はありません… … …

 

 

「他のゲームを訪れたことは?」

「できることは知ってる

 だが行ったことはない」

 

「注意事に

【自分のゲームの外で死ぬと、復活ができない

 そこでゲームオーバー】」

「知ってる」

「それだけじゃないんです」

 

 

【ターボ】

互換性の存在しないプログラムは

 実行できません

 

ターボとは実行不可・異常状態

 ゲームオーバーとなったモノは

  プログラムにより処理がなされます

 

ですが存在しないキャラクターや

 オブジェクトが実行対象となった場合

 

再現不可・進行不可のバグを引き起こし

 筐体の機能を阻害してしまうのです

 

 

「ターボが

〈ロード・ブラスターズ〉で

 他車両とぶつかって壊しちゃったんだ」

「なるほど、だからターボなのか」

 

 

「ならサイ・バグを殺したら…」

「問題は巻き込まれることなんです」

「気をつけよう」

フェリックスとカルホーンは

〈シュガー・ラッシュ〉に突入しました

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。