読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
「何だ?何だってんだ?」
鼻につく甘ったるい匂いがラルフを起こします
匂いも去ることながら耳につく歌声に
ラルフは目に見えて苛立ちを見せます
「ゲームはいつからうるさくなったんだ?」
歌声の発信源を突き止めるべく
ラルフは目についた
変な色の
登っていくほどに異様な光景
ベタつく木の枝に
呼吸する度に喉の奥が渇きます
「最悪だ!
ラルフの眼前に広がるのは
何もかもがカラフルなお菓子で作られた世界
「ここに用は無い…ない?ない!?」
ラルフの手元にある筈の勲章がありません
身体のあちこちを探しても感触がありません
ラルフは周りを慌てて見回します
やぶれかぶれな作戦であったものの
手にした結果は満足のいく形であったこと
その証拠になる勲章が
その手を離れてしまったのです
「嘘だろ…嘘だと言ってくれ」
木を降り、周辺を
シャトルの中をくまなく探します
ですが影も形もありません
「俺のメダル…」
無くなったことに激昂したラルフは
無闇矢鱈に周辺の木を薙ぎ倒していきます
叫ぶラルフを横目に
そこから
◇
その頃〈ヒーローズ・デューティ〉では
復旧活動が行われていました
「プレイヤーが来るまでひとまずもつと思います」
「よくやったカルロス」
カルホーン軍曹はどこか悲しく
どこか気の立っている様子です
そんな様子を見て
フェリックスは居た堪れなくなっています
「コフート!私のホバーハウンドを!」
「お一人で行かれるおつもりですか?」
「ああ、ここはお前達だけで十分だ」
◇
フェリックスは
【ゲーム・セントラル・ステーション】へ
向かうカルホーン軍曹を
不安そうに眺めます
他人に厳しく、信用していないためです
「逃げたサイ・バグを追う。
コフート!明朝までに私が戻って来なかったら
隊の指揮は貴様に一任する
私を失望させるなよ」
「イエス!マム!」
フェリックスはその間に
格納庫を見て回ります
「ジェイド!予備の武装は?」
「プレイヤーの到着が待たれるな」
「また、死ぬのか」
皆が失意を口にします
サイ・バグとの交戦は
それ程物量が必要となるためです
ですが格納庫にシャトルが突っ込んだ為
大半の武装が変形、破損しています
フェリックスは言葉を失います
「あのシャトルにはラルフも乗ってた」
ラルフが壊したも同然です
俯いていたフェリックスはハンマーを取り出し
中の整頓を始めていた
ジェイドとマルコフスキーに近寄ります
「どうしました?」
「ラルフが
◇
「ステーション内を乱暴に飛び回ってから
このお菓子の国のゲームに
もの凄いスピードで飛び込んでいきました」
カルホーンは
異常検査係サージに話を聞いています
サイ・バグの行き先を確認するためです
【ステーション記録】
〈ヒーローズ・デューティ〉より異常検知
非常用シャトル→非公認のツール検知
異常渡航により抜き打ち検査を実行
記録なし
〈シュガー・ラッシュ〉より異常検知
非常用シャトル→非公認のツール検知
異常渡航により抜き打ち検査を実行
記録なし
「シュガー・ラッシュか…」
サイ・バグの特性をよく知るカルホーンは
より苛立ちを強めます
「カルホーンさ…軍曹!」
「貴様の仕事仲間も、
サイ・バグも私が解決しよう
お前は自分の
フェリックスに冷たく返事をするカルホーン
ですが
「…僕も行きます」
「何を言ってるんだ?」
フェリックスがハンマーを強く握り締め
カルホーンを見上げます
「自分の世界の外へ行くんだぞ?
死んだら復活できないんだぞ?」
「いくら言っても無駄ですよ
ラルフが壊した物は僕が直します」
「震えてるぞ?無理をするな」
「あなたと…一緒に行きます!」
震えているフェリックスが
カルホーンを強く見つめます
カルホーンはそれ以上言葉を交わすことなく
静かに愛用機ホバーハウンドの
空いた空間を指さします
フェリックスは今一度
自分の仕事に向き合います。
◇
ホバーハウンドとは
ホバーボードの一種です
カルホーン軍曹の愛機
搭載しているエンジンがヒト世代前であり
加速は優秀ながらその燃費の悪さから
長期運用は想定されておらず
短期決戦向けといえます
設計されたカスタムホバーボードであり
燃費は更に悪くなっていますが
加速力はシャトルに迫ります
このホバーハウンドを扱えるキャラクターは
〈ヒーローズ・デューティ〉の隊の中には
カルホーン以外はいません
◇
高速飛行中カルホーンは目標を見据えます
フェリックスはというと
啖呵を切った手前弱音を吐きませんが
後悔をしています
「しかし、フェリックス
貴様が言っていた
「カルホーンさ…軍曹は
センターに来ていくらですっけ?」
「さぁな、7日かそこらだろ」
実際、カルホーンが登場する
〈ヒーローズ・デューティ〉は
新しい筐体です
「なら知らないのも無理ないですね」
「で?」
◇
〈ターボ・タイム〉
19年代のレースゲーム
プレイヤーは俯瞰視点でコースを確認できます
筐体の名前にある
ターボというのは本作品における
ヒーローの名前です
白と赤を基調としたレーススーツに
これまた白と赤色のヘルメットを被った
2頭身のキャラクター
プレイヤーは俯瞰視点から
キャラクターのターボを操作して
全コースを制覇するのが目的です
ハンドル操作にアクセル、フットブレーキのみ
ハンドブレーキやクラッチはありません
ターボはとても自分が大好きです
連戦連勝、史上最高のレーサー
口癖は『ターボタスティック』
自分を称賛する言葉です
とても人気のゲームでした…
*これはゲームの説明です
◇
【ターボ】
19年代後半になり
とあるゲーム筐体がゲームセンターに
設けられました
〈ロード・ブラスターズ〉です
従来の俯瞰視点とは異なり
第二者視点、プレイヤーは車体を
後方から間近で確認でき、コースの中を
擬似的に走ることができます
新型のゲーム体験
子供達は〈ロード・ブラスターズ〉に
流れていきました… … …
◇
「子供の人気を取られたターボは
酷く嫉妬したんだ」
◇
… … …新型のゲーム
最新ゲーム機の美しいグラフィック
臨場感あふれる効果音や音楽
しかし、それだけではありません
美しさも効果音も音楽も
プログラムによるものです
それだけ複雑です
世代が変われば
そもそも互換性はありません… … …
◇
「他のゲームを訪れたことは?」
「できることは知ってる
だが行ったことはない」
「注意事に
【自分のゲームの外で死ぬと、復活ができない
そこでゲームオーバー】」
「知ってる」
「それだけじゃないんです」
◇
【ターボ】
互換性の存在しないプログラムは
実行できません
ターボとは実行不可・異常状態
ゲームオーバーとなったモノは
プログラムにより処理がなされます
ですが存在しないキャラクターや
オブジェクトが実行対象となった場合
再現不可・進行不可のバグを引き起こし
筐体の機能を阻害してしまうのです
◇
「ターボが
〈ロード・ブラスターズ〉で
他車両とぶつかって壊しちゃったんだ」
「なるほど、だからターボなのか」
◇
「ならサイ・バグを殺したら…」
「問題は巻き込まれることなんです」
「気をつけよう」
フェリックスとカルホーンは
〈シュガー・ラッシュ〉に突入しました