『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『レーサーに在らず』

「俺の幸せへの切符…

 どっかに飛んでいっちまった」

薙ぎ倒されたキャンディツリーの中で

 笑うしかないラルフは

  いつもと違う空を眺めています

 

オレンジ色の空を眺めるラルフは

 徐々に深い藍色へ変化する様を

  まじまじと見せつけられ

   ため息をこれでもかと吐き出しています

 

【エンジンの音】

「何だよ…人が悲しんでるってのに」

身体にキャンディツリーがくっついていることを

 お構いなしにラルフは立ち上がり

  音のする方向に歩いていきます

 

 

「やあ、レーサー仲間の諸君!元気そうだね」

キャンディツリーの境目

 チョコレートの岬

  その一角にレーサー達が集まっています

 

「ライバルのカートをチェックしに来たの?」

ヴァネロペを取り囲む形で

 レーサー達は集まっています

  何やら一触即発な雰囲気ですが

   ヴァネロペは知ってか知らずか

    明るく出迎えています

 

「どう?これがあたしの愛車

 リケティ・スプリットだよ!」

ヴァネロペは自分の近くにあったおおい(・・・)

 とりさらい自慢げに披露します

 

現れたカートは他のモノと比べ

 一回り小さいものでした

 

しかし、その中身(・・)

 外見からは考えられない作りをしていました

  ペーパーキャンディのタイミングベルトに

   クランクシャフトに化石チョコ

    タイミングギアにはムーンクッキー

     ピストンはマシュマロ など

 

かなりのこだわりが感じられます

 ですがおおよそ車と呼べる代物ではなく

  車もどきでしかありません

   何と言っても動力が足漕ぎ(・・・)なのです

「もう、ヴァネロペったら

 それって、すごく…あんたらしい」 

 

そのカートについて最初に感想を述べたのは

 レーサーのタフィタでした

  カートを一瞥し、真面目な顔でいいました

「でも、レースに出れないのわかるでしょ?」

 それを合図にレーサー達は

  リケティ・スプリットに詰め寄り始めます

   ただならぬ雰囲気です

 

 

「やめて!みんなみたいに

 レースに出たいだけなのに!」 

泣きそうな声でヴァネロペは懇願します

 

リケティ・スプリットは

 見るも無惨な姿になっていきます

 

「あんたがレーサーになれるわけないでしょ

 自分のカートも(・・・・・・・)ないんだから」

ヴァネロペは涙ぐみ

 声にならない嗚咽を飲み込みます

 

その時、短い地鳴りを伴い

 地中からカートを突き上げる形で

  サイ・バグが飛び出してきました

 

茶色に薄紅色、彩り豊かなサイ・バグが

 ダース単位で出てきては周囲のお菓子を

  貪り食します

 

その様子を見てレーサー達が次々

 チョコレート岬を離れていきます

  残ったのは

   カートだった何か(・・)だけです

 

ヴァネロペは

 ハンドルだったプレッツェルを抱え

  その場にうずくまります

 

サイ・バグの一匹が2人(・・)のレーサーに気付き

 歯を鳴らします

  開けた口から口内の怪しい緑色がさし

   髪のキューティクルに反射します

【衝突音】

 

 

少し前のことです

「?」

「どうした?」

フェリックスが見回します

 カルホーンはその様子を警戒しながら

  気にしています

 

「誰かの話し声が…」

「現地民かも知れん、話を聞くとしよう」

フェリックスとカルホーンは

 声のする方向に移動を始めます

 

 

「カルホーン軍曹!」

「分かっている!!!」

聞こえる声が話し声から

 言い争いへと発展し

  果てには叫び声になりました

 

ただならない雰囲気に

 カルホーンはホバーハウンドを投げ

  飛び乗りフェリックスをおいて行きます

 

キャンディツリーの枝が次々手折られていきます

 パキパキと折れていく枝が途切れ

  茶色の岬に差し掛かった時

 

まるでサーフィンをする様な動きが少し乱れます

 現地民の前にサイ・バグが迫っています

 

乱れた操作を即立て直したカルホーンは

 サイトを覗き込みます

 

ですがカルホーンは気がついています

 サイトの端に映るもう1人を救うには

  手数が足りません

 

カルホーンはホバーハウンドから飛び退き

 奥のサイ・バグに照準を移し

  吸った息を肺にとどめトリガーを引きます

 

 

ホバーハウンドの一撃は

 サイ・バグをよろめかせ

  間抜けに空いた口がカルホーンの

   方向に向きます

 

一瞬の隙に照準の先のサイ・バグを仕留めると

 眼前のサイ・バグに蹴りを放ちます

 

カルホーンはヴァネロペの前に割って入ります

「現地民、大丈夫か?」

「兵隊さん?」

仲間(・・)を連れて逃げろ!」

「…なかま?」

ヴァネロペはよろめきながら立ち上がり

 プレッツェルを抱えたまま

 

「おい!現地民聞こえているか?」

フェリックスと入れ替わりで

 キャンディツリーの森へと

  一人で逃げてしまいました

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