読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
抜き足差し足で行動する
ヴァネロペにつられるように
ラルフも忍び足でついて行きます
忍び足は遅く
周囲の確認をするのに十分な時間がありました
工場の近くのカプリコーンの丘には
車の外装が放棄されているのが見えます
コーティングが剥がれ
チョコレートのフレームが
剥き出しになっている車の外装
高く積み上げられたタイヤの数々は
形が歪み、崩れています
「おい、本当にここにカートがあるのか?」
「ねぇ?あたし達握手したよね?信じてよ」
◇
「おい!なんだこれ?」
ヴァネロペの顔の絵にばつ印描かれています
不審に思ったラルフは、ヴァネロペに聞きます
「私、見ての通りバグキャラでしょ?
だから入っちゃダメなんだ」
「お前本当は泥棒なんじゃないのか?」
「やるの?やらないの?」
舌の根も乾わくことを忘れる
ヴァネロペの回る口に
不機嫌ながらラルフは小さい扉を殴りつけ
粉砕します
無機質な金属音は工場の騒音で消えてしまい
ビヤードパパを起こすことはありませんでした
◇
「なんだここ?美術館か?」
ラルフが小さな扉から中に入ると
長い通路が現れます
左右にはレーサーの写真と愛車
通路の最後には
【ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ】の絵
「私、立ち絵はあるけど愛車はないの」
ヴァネロペはラルフに振り返ることなく
淡々と告げます
ヴァネロペの絵には確かに
愛車があるべき所には
青いノイズが入っています
真っ直ぐの通路を通り切った先には
円状の部屋に着きます
入ってきたキャラクターを出迎えるように
周囲をぐるりと囲む車の絵
部屋の中心の床にはボタンがあります
【ベーカリーへようこそ!】
アナウンスがラルフとヴァネロペを出迎えます
◇
『ベーカリー』
プレイヤーは壁にかけてある写真のいくつかの内
一つを選択し本戦に向け
カートを作る必要があります
カートの外装の種類は7つ+1つ
それぞれ性能に突出した部分があります
これらには
・レーサー性能
・チェイサー性能が設けられています
レーサー性能
・最高速度
・ハンドリング
・復帰力
チェイサー性能
・加速アイテム
・妨害アイテム
・防御アイテム
・特殊アイテム
【レーサー性能】
・最高速度
レース全体を通して速度が出ます
・ハンドリング
最高速度こそ劣りますが操作性は抜群です
・復帰力
コースを外れる、急ハンドル等
レーサーにとっての不測の事態から
早くレースに戻れます
【チェイサー性能】
・加速アイテム
使用することで短時間の間
速度を上げることができます
・妨害アイテム
使用することで対象を
レースに不利な状態にします
・防御アイテム
使用することで自分を
レースに不利な状態から守ります
・特殊アイテム
使用することで様々な効果が現れます
特定のカートでしか出ない物
特定の状態でしか出ない物など
多岐にわたります
【プリセット】
・愛車
キャラクターに設定されたカートです
作業工程が一つ減ります
これらは
大王のレシピと呼ばれます
以上から外装が決まったのなら
『ミニゲーム』の始まりです
【制限時間は一分だ】
アナウンスと同時に壁の絵の先へ通されます…
◇
ヴァネロペが部屋のボタンを踏むことで
円状の部屋の絵がライトアップされます
7つ+1つ?の絵をヴァネロペは見回します
1つ?の絵はライトアップこそされていますが
ボヤけており青いノイズが度々見られます
ライトは不規則に点滅を繰り返しています
「おい、このカートはいったい?」
「押しても無駄だし、触らないで
あ、これ最高!」
ラルフの興味を他所に
ヴァネロペは7つの中から気に入った
外装の絵に触れます
「ちょっと待てよ?じゃあカートは?」
「これから
大王のレシピを使って、二人で作るんだよ」
【さぁカートを作ろう!】
「え?いやいや待ってくれ」
ラルフが慌てる中
ノイズ混じりにヴァネロペが走り出します
「ラルフ急いで!指示通りにやらないと」
ミニゲームが始まりました
◇
【スタート!最初に材料を選ぼう!
さあ、いらないものはどれかな!】
通された絵の先では
天井から伸びたチューブから
定期的に物が落ちてきています
そのほとんどが菓子の材料ですが
その中に関係ないものが混在しています
次々と落ちてくる物を装置の一枚板を回転させ
左右の器に分けていくのが第一工程です
早速ヴァネロペがコントローラーを手に
第一工程に挑みます
落ちてくるものはお菓子の材料は勿論ですが
その中には衣服や雑貨、紛らわしい物など
ヴァネロペは振り分け装置を操作し
振り分けます
◇
「おい?大丈夫か?」
ヴァネロペのテクスチャーが
仕切りにノイズを発生させています
「これでもがんばってるんだから」
器の中に次々と
いる物といらない物が入っていきます
器が赤色でライトアップされると
中身に入っていた物が投げ出されてしまいます
「…ッ、ダメだ」
「俺がやる」
ヴァネロペがコントローラーを手放します
ですが
「Ralph?」
「よし、粉物…パンツ、水?チョコ
紛らわしいなぁ」
ラルフは装置の板に飛び乗ると
チューブから飛んでくる物を選別し始めました
左右の皿にそれらしい物を投げ入れ
それ以外は投げるか殴り飛ばしています
「それ!それだよ!何で入れちゃうかな」
「おい!いちゃもんつけるんなら手伝わな…」
左右の皿の内、片方が赤いライトを受け
内容物がぶちまけられヴァネロペがグチをこぼし
それに反応したラルフの気が逸れた瞬間
チューブから勢いよく飛び出した小麦粉袋が
ラルフを吹き飛ばします
【さあ、材料を選んだら、次は混ぜよう!】
アナウンスに合わせて緑のライトが
お皿を照らします
◇
「ちょっとラルフ!重い!!」
お皿がベルトコンベアーへと移され
混ぜ合わせるための機械へと通されます
第二工程に移ります
巨大な泡立て器で
ダマが残らない程度に混ぜ合わせます
ヴァネロペは泡立て器から伸びた
クランクの前に移動し回そうとしますが
抵抗が強く回すことができていません
内容物にラルフが混在していることと
ヴァネロペのノイズ、力の不足により
回転が足りていません
ラルフは泡立て器に押さえつけられて
身動きが取れません
【制限時間の音45s】
「Ralph!」
「いつからゲームはこんなに
面倒くさくなったんだ?」
ヴァネロペがラルフの名前を叫びます
ラルフは項垂れつつ、材料を殴りつけ
お皿の中から脱出します
程よく混ざった材料が
緑色のライトに照らされます
【今度は焼こう!
オーブンをちょうどいい温度に保つんだ】
「ちょっと!仕事中にサボっちゃダメ!」
「ちょっとは気づかえっての…」
フラフラとラルフが器から退きますが
アナウンスとヴァネロペは待ってくれません
◇
第三工程は材料の焼き上げです
焼きを行うための巨大な釜戸へと
お皿が入っていきます
「手伝って」
「よし、任せろ」
釜戸からは管が伸びています
これは温度を上げる為の装置です
ヴァネロペが装置の吹子で飛び跳ねていますが
必要な温度には足りておらず
ラルフに助けを求めます
ラルフは吹子に拳を振り下ろし温度を上げます
しかし、吹子は早々に壊れてしまいます
【制限時間の音30s】
「Ralph…」
「待ってろ」
ラルフは吹子の管を取り外し息を吹き込みます
急激に上がった温度差で釜戸が揺れますが
これでは高すぎます
「もうちょい下げて」
「…ッ」
【制限時間の音15s】
少し焦げてしまいますが最終工程へと進みます
◇
【最後は飾りつけだ!】
「先ずはタイヤからだね!」
「適当にやってくれ…」
疲れ果てたラルフが四つん這いになっています
ヴァネロペはそれに構わず
最終工程の組み立てへと移ります
出来たカートの外装に
タイヤや、コーティングをしていきます
材料はそれぞれラッピングされており
ラッピングには的が備え付けられています
その風景はまるでシューティングゲームです
数ある材料の中から装置を操作して
プレイヤーはその的を
撃ち抜かなければなりません
的を撃ち抜く音が心地よく
ラルフは少しの間うとうとしてしまいますが
ヴァネロペに揺り起こされます
「Ralph!Ralph!!」
「…なんだ?こりゃ不味い!」
◇
【クリア〜!おめでとう完成だよ】
アナウンスが聞こえるのは最終工程の部屋
ですが
そこは煙が上がり色々な物が散乱し
火の手が上がっています
「釜戸が倒れてくるなんて…」
「ああ、取り敢えずクリアできたみたいだぞ?」
ラルフが話題を逸らします
◇
ヴァネロペとラルフは
ベルトコンベアーの先
カート作りに必要な4つの工程を終え
シャッターで閉じられた【本焼き】の
機械の前で待機しています
【これがきみのカートだ!】
出てきたカートはカスタムプロトタイプ型
タイヤがカウルボディに覆われており
屋根のない形状をしています
ですがその塗装はごちゃ混ぜで統一性がなく
お世辞にもラルフのセンスからは
綺麗なカートとは思えない物が
瓦礫に混ざって出てきました