『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『壊し屋ラルフ』

〈フィックス・イット・フェリックス〉は

 30年前からある古いゲームです。

 

ゲームのストーリーは

 架空の町ナイスランドの一画

  とあるビルが舞台です。

 

コインを入れると

 悪役のラルフがアパートをよじ登り

  アパートを殴り壊してしまいます。

 

窓ガラスが忽ち割れ

 ズレたレンガが地面に落ちます。

 

アパートに住んでいた人たちは恐怖に震え

「助けて!フェリックス!」と叫びます。

 

ゲーム内容はこの悪役のラルフが

 アパートを壊した所から始まります。

「壊してやる!」既に半壊しています。

 

ナイスランドの

 住民ナイスランダーは助けを呼びます。

「助けてフェリックス!」すると

 

主人公が颯爽と登場します。

「OK!僕が直すよ!」金色のハンマーを片手に

 明るい態度笑顔が素敵な好青年

  プレイヤーである貴方は彼を操作して

   ラルフが壊してしまったアパートを

    直していきます。

 

 

「…理不尽だ」

ラルフは空の下にいました。

 背中は泥まみれ、住民がアパートへと

  帰って行くのをただ眺めています。

 

ラルフはいつも複雑な気持ちでいっぱいです。

 何故なら一度も

  感謝をされたことがなかったからです。

「修理するのが目的だからな

 フェリックスがヒーローなのは当然だ」

ラルフは立ち上がりながら自分に言い聞かせます。

 

体に付いた泥を払い、何処かへと歩き出します。

ラルフの鼻にはパイの匂いが纏わり付きます。

それは自分ではなく

 フェリックスへのお礼の品です。

 

主人公フェリックスは修理屋です。

父親から譲り受けた魔法のハンマーを使って

 何でもすぐに直すことができます。

ハンマー一振り、即終了ラルフが壊した所も

 あっという間に直してしまいます。

 

 

「ハンマーがなかったら、

 あっという間に直すなんて絶対無理さ」

別の日

 背中を泥まみれにしながらラルフが呟きます。

 

泥を払いながら

 屋上の眩い光を恨めしく見つめます。

「ヒーローメダル…」

現実の通貨は主人公にとってのメダル

 頑張った(・・・・)者へのご褒美です。

 

「俺は…」

ですがラルフはどうでしょう?

 コインが投下されれば必ずアパートを壊します。

  必ず壊します。

 

それが褒められたことなんて一度もありません。

あの時でさえも

 

 

「うわぁ!?」

ラルフの足元で声がしました。

 何事かと思い、覗き込みます。

 

【残機の減る音】

一輪の花を胸元に目を閉じたフェリックスの姿が

 ありました。

「フェリッ…」

 

住民の叫び声が少しだけした後

『GAME OVER』の文字が表示されています。

「?」

いつもならナイスランダーに

 投げ飛ばされる所ですが何ともありません。

 

 

「失敗しちゃった」

画面の向こう側の子供が居なくなります。

 フェリックスがクリアした時と同じ様にです。

「やったのか?」

 

不思議に思いながらラルフは呆然とします。

「大丈夫?フェリックス」

「やった!やったんだ!!」

フェリックスを心配するナイスランダーを他所に

 ラルフは喜びます。

 

「やったメダルが貰える!」

期待を胸にメダルを待ちます。

 

「何て酷いやつなんだ

 フェリックスがこんな状態なのに」

ナイスランダーはラルフを睨みつけます。

そんな事をお構いなしに

 ラルフはメダルを待ちます。

 

スコア画面が映し出された画面が終わり

 コインが新しく投下されます。

『コイン警報』

「おい!俺のメダルは?」

ゲームが始まるアナウンスが入り

 ラルフは困惑します。

 

「僕が直すよ!」

フェリックスは持ち場へと復帰しています。

「どういう事だ?」

 

訳もわからず、今度は投げ飛ばされました。

 そう、ラルフはどんなに上手く壊しても

  決してメダルなんて貰えません

 

 

「…」

あの時のことを思い出しながら

 今日も泥まみれの体を動かし泥を払います。

 

立ち上がり

 いつもの様にラルフはアパートの裏手に

  しゃがみ込みます。

アパートの裏

 ゴミ捨て場、食べカスや、レンガ、ガラス片

 

ラルフは

 それらを踏み砕きながら切り株(・・・)へと向かいます。

「パイか」

我が家(・・・)に背中を預けレンガを掛け布団にして

 朝を待ちます。

 

仕事があることは幸せだと感じつつも

 どこか不快感を胸に眠りにつくのです。

壊し屋ラルフの一日はこうして繰り返されます。

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