読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
一方そのころ
カルホーンとフェリックスは
キャンディツリーの森を
練り歩いていました
目的地は遠く、はっきりしていません
ですが不意に香った油の臭いが
菓子の匂いに混じった油の臭いが
目的地がすぐそこである事を告げます
「どうやら…おまえの仲間は
だてに毎日壊しているわけではなさそうだな」
少しだけ歩けば
辺りには倒されたキャンディツリーが
道を開けています
シャトルの周囲はより酷く
キャンディツリーが悉く粉砕されていました
もはや粉同然です
カルホーンは銃を構えながら
用心深くシャトルに近づきます
シャトルのコックピットが
ゆっくりと開かれます
「ラルフは乗ってる?」
コックピットは高い上、底が広く
不時着したシャトルを見上げる形では
内観を外部から
十分に確認する事は不可能でした
カルホーンは注意深くクリアリングします
そのせいでフェリックスがたずねますが
カルホーンは
無言で周囲を警戒し続けています
やがて問題のないことが確認でき
銃身を最低限下げたカルホーンは
短く返します
「いない」
カルホーンはシャトルに備え付けてある
いくつかの装備を確認していましたが
シャトルの中の何かを見て
血相を変えます
シャトルから手早くバッグを肩に通し
ホバーハウンドを発進させます
フェリックスは理解できないまま
カルホーンに回収される形で
ホバーハウンドに同乗します
「カルホーン軍曹?」
「必要なものは回収した城に向かうぞ」
キャンディツリーの森が終わり
チョコレート岬超えを始めます
「一体何があったんです?」
「ここの住民の避難誘導を行う」
カルホーンは戦闘服の頭の部分を
フェリックスに被せます
そこには緑色の画面が映し出されており
おびただしい数の白い点が
四方八方を埋め尽くしています
「レーダーの故障じゃなかったんだ」
「これはどうやってみるものなんです?」
「レーダーと言って周囲の状況を知らせてくれる
円の中心はそのかぶってるもので」
「はい…」
「その白い点は全てサイ・バグだ」
「塗り潰されてますよ!!?」
◇
カルホーンは〈シュガー・ラッシュ〉に
入ってからずっとレーダーによる
サイ・バグの発見を優先に動いていました
キャンディツリーの森
チョコレート岬からカプリコーンの丘
カート工場の時もです
ですがカルホーンのヘルメットには
いつもおびただしい量の
白い点が発生しており故障とばかり
考えていたようです
ですがレーサーの受けた強襲
カート工場までの道のり
シャトルのレーダーを確認して尚
白い点は変化を見せませんでした
そこでカルホーンは最悪を想定しました
もしかしたらレーダーの故障ではなく
「ここは既にダメかもしれん」
カルホーンの言葉に
フェリックスは地面を見つめます
「どうにかしないと…」
【ハンマーの音】
◇
「ラルフ!早く早く!」
ダイエットコーラ山にて
棒つきキャンディの前では
今も
ラルフの運ぶカートを
今か今かと待っています
「もう時間がないから急いで!」
ヴァネロペはラルフの手から降ろされたカートに
乗り込むとその場で一回りします
「良いねぇ、絶好調!!」
「おい、あまり飛ばし過ぎるなよ」
グミ高原を慣らし運転するヴァネロペ
程なくしてラルフのもとに戻ってきます
「そうだね、いや、ダメ…抑えきれない!
こんなの信じられない」
「何が?」
「だってずっと夢見てきたことがかなうんだよ」
カートから飛び出たヴァネロペに
青いノイズが走ります
ですが、普段のブレではなく
瞬間移動のような挙動を見せ
ラルフの気づかない速さで
動き回っています
ヴァネロペは一層ハイになっています
大はしゃぎです
「でも…なんだかお腹が痛くなってきちゃった
どうしたんだろ?食べすぎかな」
「おい、変なもの食べたんじゃないだろうな?」
「キャンディ!もうおいしくって
止まらなくなっちゃった
でもあたし!あたし…」
「ちゃんと
「心配ない…おまえは人気者になれるさ
だって、優勝するんだろ?」
「うん!優勝する」
◇
落ち着きを見せたヴァネロペが
リケティ・スプリット2世に飛び乗ります
ラルフはカートの羽部分に座ります
ギアの音、エンジンの唸りが響くなか
発進かと思いきや
「あっ、待って
ちょっと忘れ物したすぐ戻るから!」
「急げよ!」
寸でのところでカートを急停車させると
2本の棒つきキャンディまで
急いで戻っていきます
ラルフはその様子を満足げに見ていましたが
聞こえたクラクションの音で驚きます
「やぁ、大男ようやく見つけたぞ?」
「お前!何でここに?」
クラクションの音の先
そこにはキャンディ大王が立っていました