『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『嘘の代償』

 

ヴァネロペは手作りのバッヂ(・・・・・・・)を片手に

 棒つきキャンディをくぐります

  ラルフの後ろ姿が見えます

「お待たせ!寂しかった?」

「ああ、なあ、ちょっと話があるんだ」

 

「何?あ、その前に

 まず片膝ついてファットマン」

「え?いや、どうして?」

「いいから、やってよ

 それとも何?いやらしい想像?

 オゲェ」

「ああ、わかったよ」

でかい体が歪み、ヴァネロペに首を垂れます

 

ヴァネロペはラルフのオーバーオールの

 肩紐にバッヂをくくりつけます

  その形は勲章(・・)のように見えます

「もういいよ」

「これは…『ハードワーカー』?」

「そ、ラルフってば洗濯も忘れて

 仕事熱心なんだから」

 

 

ヴァネロペは手についたバッヂの

 コーティングを舐めとり

  カートに乗り込みます

「さあ立て

 忠実なる相棒よ!

 運命があたし達を待っている」

 

未だに軽いカートに違和感を覚えたヴァネロペが

 振り返ります

「ラルフ、早く行かなきゃ

 考えるなんて似合わないことしないの!」

 

バッシングを行いラルフに乗車を促します

「ありがとう…頑張って行けよ」

「ラルフ?」

 

寂しく笑いヴァネロペに背を向けたラルフ

 ヴァネロペは何事かと進行方向に

  青いノイズで割り込みます

「何よ?あたしが負けるとでも?」

「あ?いや、違う…」

 

「歯切れが悪いな…歯生え揃ってます?」

「違う、もう…俺は行くよ」

「ねぇラルフ、はっきりしてよ

 どうしたの?」

 

 

知りたくなかった

 知ったせいで言葉の裏がどんなものか

  邪推してしまう自分が酷く

   醜く、幼稚に感じた

「なぁ、何で(・・)俺がシャトルに乗って

 ここにきた事を知ってるんだ?」

「…え?いやだって…」

 

固く閉ざそうとした口が勝手に話す

 ヴァネロペ自身も

  失言していたことに口を押さえます

「俺は一度もどんな乗り物で

 来たのか何て言ってないぞ」

「それは…えっと、その」

 

ヴァネロペが焦りを見せ

 後退りしているのが分かります

お前(・・)が知らないのも無理はないが

 予選で勝ってもメダルは手に入らないんだ」

「え?そうなの」

 

反応ひとつひとつが欺くための

 手段に見えて仕方がない

「予選では参加料が必要になるんだと」

「うん、スタートラインにある

 大きなカップにいれるんだよ」

 

「お前はどうやって払ったんだ?」

「ふ、普通に払ったんだけど?」

 

短い沈黙が物語るのは理解と懐疑です

「なぁヴァネロペ…本当の事を言ってくれ」

「なに…」

「本当はどうやって参加料を払ったんだ?」

 

ラルフの顔はいつぞやの鬼面と泣きっ面が

 合わさり、もう…感情がぐちゃぐちゃです

「ご、ごめん、ラルフ」

「謝罪が聞きたいんじゃないんだ

 どうやって予選に出たかを聞きたいんだ」

「…」

「どうしたんだ?話すのは好きだろ?」

 

「俺は利用されたんだな」

「ラルフ、あたし」

「行け」

「え?」

「カートも手に入ったろ?

 後は勝てばレーサーだ。行けよ」

「ラルフ…」

 

「さぁ!!行け!!!」

ラルフの叫びが山を揺らします

 地を揺らし

  コーラの弾ける音が聞こえてきます

 

「…」

ヴァネロペは今にも溢れかねない涙を堪え

 カートに乗り込みます

  エンジンの掛かる音がし

   数秒としない間に

    ラルフの前から居なくなっていました

 

グミ高原に残されたのは

『ハードワーカー』のバッヂと

 壊し屋のラルフだけでした

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