読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
ラルフはお菓子の電車に揺られています
程なくして
【ゲーム・セントラル・ステーション】に
到着します
開店まで長くもなく
短くもない時間が残っています
「抜き打ちのセキュリティチェックです
名前は?」
「ラルフ」
「どこからいらっしゃいましたか?」
「〈シュガー・ラッシュ〉から…」
「お菓子はお持ちですか?」
「いや、持ってない」
「どちらへ向かわれますか?」
「〈フィックス・イット・フェリックス〉」
「他に申告するものは?」
「あんたも熱心だな」
「これが仕事ですから」
◇
ナイスランドに列車が入ってきます
「フェリック…ッ」
ナイスランダーがそれを出迎えにいきますが
それがラルフだと分かると
静まり返ります
「よぉ、ジーンは?」
ナイスランダーにラルフは質問をします
ナイスランダー達がアパートを指差すと
ラルフはゆっくりと
出入り口まで歩いていきます
〈フィックス・イット・フェリックス〉は
夕日色に包まれていますがその原因を
気にする事なくラルフは歩き続け
いつぞやの約束の部屋へと到着しました
がらんとした廊下、狭い階段を抜け
アパートの最上階
その扉を開けます
「ジーン、来たぞ」
「そうか、きみは本気だったんだな」
灯りは外光ただひとつ
薄暗い部屋でひとり
カウンターでマティーニを注いでいる
ジーンが出迎えます
「よお調子はどうだ?」
「みんなから怒られたよ」
「そうか…さぞ
「…」
「メアリー達は何をしてるんだ?」
「電源が抜かれるか
お前達が戻ってくるかで迷ってるんだ」
時計の秒針の音が静かに部屋に響きます
◇
「朝になれば、電源を抜かれるな」
「ラルフ…」
ラルフはゲームの画面に貼られた
『故障中』の張り紙を苦笑します
「約束は約束だな」
ジーンは懐から鍵を取り出し
ラルフへと手渡します
「この最上階はきみのものだ…短い間だが」
「ジーン、これだけ言わせてくれ
おれは、こんなつもりじゃなかったんだ」
「じゃあ、何がしたかったんだ?」
静かにジーンがラルフに尋ねます
「さぁ、分からなくなった」
鍵をバーカウンターに置いたラルフは
オーバーオールのバッヂをなぞります
◇
「ジーン、お前はどうするんだ?」
「私は他のゲームで笑い者になるのは御免だ」
ジーンはナイスランドで心中する腹持ちの様で
バルコニーに移動すると
マティーニを煽ります
ラルフはその様子につられて
バルコニーに出ます
『故障中』の張り紙が
景観を崩していることは明らかです
「なぁ、鍵は必要か?」
「君の部屋に入る物好きはいないだろ」
ラルフは鍵を手の上で数回遊ばせ
モニターに向かって投げつけました
【ゲームのBGMとSE】
空気を震わせる音が
モニターを揺らします
その振動で張り紙に使われていた
使いまわされ、黄ばんで接着力のない
セロハンテープが取れます
「ナイススロー」
「ありがとよ」
ナイスランダーにとっては馴染みのある景色と
それを初めて見るラルフ
ゲームセンターを
いつもはプレイヤーの顔を見てばかりのため
ラルフはゲームセンターのそんな
景色を目に焼き付けようとします
「マティーニでもどうだ?ラルフ」
「…ジーン、あれ見えるか?」
「
〈シュガー・ラッシュ〉のゲーム機が見えます
目についた筐体は
『シュガー・ラッシュ』
筐体の側面には白いレーサー
デフォルメされた見た目とは裏腹に
華麗なドリフトの一瞬を描いた絵により
女の子が最高のレーサーであることが
分かります
「ヴァネロペ?」
「おい、ラルフ?どこへ行くんだ?」
「悪役の会に」
ジーンが見送る中
【ゲーム・セントラル・ステーション】へと
ラルフは向かいます