読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
ラルフは〈パックマン〉に向かいます
閑散とした
【ゲーム・セントラル・ステーション】を
のっそりと歩きます
悪役の会に参加すると言って出てきたものの
気乗りせず、脇道に腰を落ち着け
勲章とバッヂを眺めます
「ラルフ?」
そんなラルフに声をかける男がいました
「ザンギエフか」
ロシア人プロレスラー、鍛え抜かれた肉体
「赤きサイクロン」の異名を持つ
巨漢のプロレスラーでした
「お前、それ…」
「あぁ、これか」
「てっきり古い
奴だとばかり思ってたよ」
ザンギエフはラルフの手にある二つの品を
見て驚きを隠せずにいます
「ヒーローメダルを手に入れたんだな」
「あぁ、そうだな」
「嬉しそうに見えないな」
ラルフはザンギエフから目を逸らします
「なぁザンギエフ…俺は
悪役を辞めたいなんて思ったことはない」
「…」
「俺は、俺はただ、何がしたかったんだ?」
「ラルフ」
ラルフはメダルを眺め落ち込みまさか
ザンギエフはその傍に座ります
◇
「なぁ、ラルフ
悪役の会で言いそびれたことがあるんだ」
「誤解がどうとか…」
「そうだ」
ザンギエフは〈ストリートファイター〉を
指さします
「【プレイアブルキャラクター】
俺たちはそう呼ばれている」
「プレイアブル?」
「プレイヤーからメダルを渡され
一緒に旅をするんだ」
「それで?」
「プレイヤーと共に
旅先で戦うんだ自分の目標に向かってな」
「…」
「選ばれなかったキャラクターは
その目標を阻む悪役として絡むんだ」
「じゃあ何だ?
悪役でありヒーローってそういうことか?」
「あぁ、悪役ってのは部分的にな」
ラルフは勲章を眺めます
「誤解を招く自己紹介をしてすまなかった」
「いや…謝るのは俺の方だ
あの時は話も聞かずに」
「あのパンチか?結構効いたぞ?」
謝ろうとラルフは頭を下げようとします
ザンギエフはラルフの肩を軽く小突く形で
頭を下げる行為を止めます
◇
「なぁザンギエフ、俺は友達を怒鳴ったんだ
今更行って仲直りなんて…虫が良過ぎるか?」
「眉間に皺が寄っているぞ!
笑顔を忘れるな!さぁ笑え!」
ラルフが悩み考え込もうとする中
ザンギエフはラルフを立たせると
人差し指で眉間を指さします
「俺たちは
だからといって悪いやつだとは限らないだろ」
「あぁ」
「なら、思いっきりぶつかってこい!」
ザンギエフはラルフの背中を叩きます
ラルフはよろめき背中をさすります
「なぁザンギエフ…ピンキーに
また悪役の会に
行っていいか聞いててくれるか?」
「あ〜それなんだがラルフ
悪役の会は…」
ザンギエフが言い淀み
ラルフは心配します
「悪役の会は
ヒーローも参加することになったんだ」
「そうなの?」
「それでもよければ…なんだ」
「何だそれじゃあ…」
「ダメだよな」
「名前を変えなきゃな」
ザンギエフの予想を裏切り
ラルフは笑います
「ラルフ…いいのか?」
「あぁ」
「ヒーローだぞ?」
「だから?」
「いや…俺は誤解をしてたみたいだな」
ザンギエフは手のひらを差し出します
ラルフはそれを握り返します
「待ってる」
【セキュリティ警報】
突如【ゲーム・セントラル・ステーション】に
警報が鳴り響きます
「何だ!?」
「〈シュガー・ラッシュ〉に
〈ヒーローズ・デューティ〉?」
「…まさか!?」
耳につく不快な音
ヘリコプターの羽音が聞こえてきます