『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『ヴァネロペの覚悟』

 

「待ってタフィタ!待ってってば!」

「レースに集中しな!!」

U字ターンに差し掛かり

 流石のタフィタとピンク・ライトニングも

  ヴァネロペの腕と

   リケティ・スプリットの性能に

    差を埋められます

 

「タフィタぁ…」

「最後の直線で勝負よ!」

興奮、高揚、充実感

 タフィタのギアは

  これまでになく上がっています

 

「…!!?タフィタ!」

ヴァネロペの必死の訴えあって

 タフィタもただ事ではないことに

  薄々気がつき始めますが

 

「…何?」

「何よ…これ」

空を覆い尽くすほどのサイ・バグの大群

 怪しげな緑色の光でいっぱいです

 

「うぇ!?」

「タフィタ!!」

最後の直線に差し掛かった直後

 そこかしこからサイ・バグが噴き出てきます

 

キャンディロードにもその余波と

 噴き出し口が現れ始めます

 

ひび割れたキャンディロードが

 走行の妨害を始めます

 

掴んだハンドルが力負けし始めます

「何なのよ」

「タフィタ危ない!」

 

ハンドルの調子が良くなく

 タフィタが資産を少し落とした時

  キャンディロードのど真ん中に

   大穴が空いてしまいました

 

急ハンドルで交わしたものの

 ピンク・ライトニングの車体は

  大穴を掠め

   タフィタを小さく持ち上げたかと思えば

 

後輪が広がった大穴の余波により

 車体を前転させる形で

  ピンク・ライトニングを吹き飛ばします

 

「タフィタぁ!!」

「!!?」

逆さになったピンク・ライトニング

 その下に潜り込んだヴァネロペが

  タフィタに両手を伸ばします

 

車体から乗り出したヴァネロペ

 リケティ・スプリットもそれに応える形で

  寄っていきます

 

対空し、速度をそのままに進む

 ピンク・ライトニングの軌道は

  弧を描きつつ落下してきます

 

青いノイズがヴァネロペに走ります

「…ヴァネロペ?」

 

 

タフィタの目にはヴァネロペが

 ブレて見えました

 

両手をこちらに伸ばすパーカー姿のヴァネロペ

 運転をする

  レーススーツに身を包んだヴァネロペ

「…ヴァネロペ?」

 

 

ピンク・ライトニングは落下し

 ぐちゃぐちゃに壊れていきます

  

リケティ・スプリットはそれを交わし

 ゴールラインを目指します

 

「【わたあめボディ】」

「何であんたが?」

ヴァネロペがタフィタを助手席に乗せつつ

 残った一方のアイテムを使おうと

  ヴァネロペはボタンに指を伸ばします

 

ですが

「「うわぁあああ!」」

 リケティ・スプリットの車体が

  勢いよく持ち上げられ

   タフィタとヴァネロペは

    車体から投げ出されてしまいます

 

 

「…ッ」

「ヴァネロペ…」

ヴァネロペとタフィタは

 コース脇に投げ出されてしまいます

 

ヴァネロペの身体に青いノイズが走ります

 タフィタはその中に再びレーススーツの

  ヴァネロペを見かけます

「…ッ?」

 

青いノイズでヴァネロペは

 タフィタの肩へ入り

  身体を持ち上げ支えます

「見捨てなさいよ…」

「…」

 

持ち上げられた視界の端で

 タフィタはゴールアーチが

  食い潰されたのを見届けます

 

 

青いノイズは

 二人のヴァネロペを交互に映し出し

  その度に歩幅以上に移動します

「ねぇ、ヴァネロペ…」

「…」

「工場でさ…嫌なもの見たの」

『ヴァネロペの絵』と

 それに大きくばつ印のついた小さな扉

 

「明らかにおかしいよね」

「…」

「ねぇ、ヴァネロペ

 あの時、レーサーになれるわけない

 自分のカートも(・・・・・・・)ないんだからって

 言ったでしょ?ごめん」

「…」

 

 

「あ…」

サイ・バグがヴァネロペとタフィタを

 見つけ近寄ってきます

 

「逃げて!」

ヴァネロペ達は

 キャンディツリーの森に入り込みます

 

 

「巻くなんて無理よ?

 カルホーンって人が言ってた」

「…」

 

無言のヴァネロペはその歩速を上げ

 キャンディツリーの森から

  チョコレート岬に向かって進みます

 

「ここって」

そこは…いつぞやの一角

 レーサー達とのいざこざの起こった場所

 

「あ…なるほど」

「ヴァネロペ?」

そこに残っていたのは

 フェリックスが直したリケティ・スプリット

  第一世、手作りの小さな(・・・)1人乗りカート

 

ヴァネロペはそれに向かって進み

 タフィタをリケティ・スプリットに

  丁寧に乗せ、シートベルトをつけます

「?何を」

 

【青いノイズ】

何もなかった筈のプレッツェルのハンドルに

 各種カートのボタンが出現します

 

それをヴァネロペが

 青いノイズ混じりに掴みます

 

タフィタはそれに触れることはできませんでした

「まさか…!?」

 

ヴァネロペはボタンに指を伸ばします

「やめなさい!」

タフィタは何かに気づき

 その行動をやめさせようとヴァネロペに

  手を伸ばします

 

ですが

 青いノイズにより回避され

  ボタンを同時に押されてしまいます

【わたあめボディ】【ニトロチェリー】

 エンジン音がキャンディツリーの森に響きます

 

「そんな!ヴァネロペ!!」

ヴァネロペに手を伸ばしたタフィタですが

 ヴァネロペの姿は

  徐々に小さくなっていきます

 

「ヴァネロペ!ヴァネロペ!!」

歪んだ視界の先に手を伸ばします

 溢れた涙で

  一瞬整った視界に

   白いスーツのヴァネロペが映ります

 

「…あ」

キャンディツリーの当たり判定をすり抜け

 再び視界に入ったヴァネロペは

  パーカー姿に戻っていました

 

「…ッ、ヴァネロペ!!!」

リケティ・スプリットの速度は

 徐々に上がっていき、とうとう

  ヴァネロペの姿は見えなくなってしまいました

 

ただ一つ

 ヴァネロペのいる方向に飛んでいく

  サイ・バグの姿だけが

   存在の証明と後悔をより強くしていきます

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